魔薬施設攻略Ⅲ
投稿、遅れてしましました。
お待たせ致しました!
「貴様ぁっ!
我らが主人、パデルボルン様を貶め、あまつさえ我ら一族の者まで怪しげな手管でたぶらかすかっ!」
「あー…、えーと無駄だと思うけど、一応、聞いてみますが、自分達が魔薬で操られてるとか考えたりは…」
「なにをバカな事をっ!」
「ですよねー…。」
俺たちの前方、約50mむこうにある丸太で作られた防柵に、イシスさんのお父さん、イスマイールさんが仁王立ちしてらっしゃいます。
でもってムッチャ怒ってらっしゃいます。
まあ無理もないよね。
イスマイールさんからみれば、配下のダークエルフさん達の約半数、80名程のダークエルフさん達が、急に敵対しちゃったんだもんねー。
「ジャハダハール、お前ほどの者が情けないっ!
我が一族を束ねる、副長たるお前が容易くたぶらかされるとはっ!」
「…族長……。」
「我らは一族を導く者として、常に気を引き締めておらねばならんのだ!
それをお前という奴は、怪しげな魔法に簡単に魅了されおって…つくづく情けないっ!
私ならその様な賎しい魔法、パデルボルンへの忠義の想いで、決して掛かることは無いぞっ!」
「ぞ、ぞくちょおー、そ、そこまでにして下さいぃー!」
イスマイールさん、それ以上言わない方が…。
正気に戻ったとき、それ全部自分に返ってきちゃいますから(笑)!
横にいる当のジャハダハールさんも、なんともいえない顔をなさってらっしゃいます。
具体的にはこんな感じ。→(´д`|||)
いやイスマイールさんは、真面目に檄オコなんだが。
でも魔薬の洗脳が解けた後の彼の結果が予想できる俺としては、喜劇にしか見えんのよ。
ジャハダハールさんも、頑張ってくれたのにねー。
まあその頑張りのせいで、今の状況になっているのだが。
ジャハダハールさんは、『敵の増援が現れ、仲間がピンチ!』というウソ情報をもってイスマイールさんに報告。
そのピンチっぷりを、ジャハダハールさん、頑張って迫真の演技で伝えてくれたようです。
その結果、50人に近い人数を俺たちの所へ誘い出してくれたのだ。
その彼らを【ヒールオール】で正気に戻し、全員で魔薬施設にやって来たってのが現状でございます。
「皆の者!
元は仲間であったとしても、情けをかけるな!
ここで我らが倒れれば、パデルボルン様が窮地に立たされるぞっ!」
「「「おおっ!」」」
イスマイールさんの檄が飛んだあと、魔薬施設にいたダークエルフさん達が次々に精霊を召喚し始める。
同時に弓が射られ、矢が雨あられと飛んできた。
「反撃は不要だ!
全員、回避ーっ!」
それに対してこちらのダークエルフさん達に、かねてからの打合せ通り、ジャハダハールさんは専守防衛の指示をだす。
魔薬施設から一定離れれば、周りは森なので木々を盾にできる。
こちら側のダークエルフさん達も精霊を召喚するが、守りの精霊魔法などを中心にして攻撃はしないでおく。
「魔物使いの似非勇者よ!
どうせ貴様の魔物による魅了か何かであろう。
なら貴様を倒せば、魅了は解けるはず!
―精霊使いはあの男を集中せよ!
あとは他の者を牽制するのだ!」
イスマイールさんは、どうやら俺がモンスターの力で魅了させていると考えたようだ。
イスマイールさんの命令通り、ダークエルフさん達が召喚した精霊モンスターは俺を狙って向かいだしてくる。
そしてイスマイールさん自身も、召喚の呪文らしき言葉を唱え始めた。
「『我は喚ぶ。
我が親しき隣人、我が頼もしき守護者よ。
顕現せよ!【ストームエレメント】ッ!』」
さすがダークエルフ一族の長であるイスマイールさんだ。
風精霊のなかでも、高位の"ストームエレメント"を召喚できるのか!
イスマイールさんが立つ防柵の丸太の前に、数mの高さになる大きな竜巻が出現する。
竜巻は一際風力を強めたあと、弾けるように強風を周囲に撒き散らして消えた。
そして竜巻が消えた場所には、半透明のツルッパゲな人の姿があった。
その者の下半身は、先程の竜巻を小さくした様な風が渦巻いていた。
ストームエレメント HR Lv 21
(精霊族/風属性/cost 40)
AT:16,500/16,500
DT:16,500/16,500
【風精霊魔法/中級】【無効/風属性攻撃】【吸収/風精霊魔法】
しかもレベルが21か。
なかなか強力じゃないですか。
これは倒しがいがありますね!
「ジャハダハールさん達は俺たちから離れて!
ダークエルフさん達の指揮はお任せします!」
「は!承知いたしました!」
"ストームエレメント"の風精霊魔法は、範囲攻撃があるからね。
イスマイールが言う通りなら、俺を狙ってくるはずだから、近くにいると魔法に巻き込まれる可能性がある。
―さて、俺も先ずは敵対する精霊の数を減らさせてもらおうか!
「出よっ!
"デスロード"、"スケルトンオーバーナイト"、"ハイワイト"、"スクリームスペクター"、"スケルトンナイト"」
「むははー!
今回はワイ押しっつーことやな!
ほな特にスペクターは頑張らなあかんでー!」
「一応訊くけど、なんで"スクリームスペクター"?」
「"リスペクト(ター)"ちゅうことで…。」
「ツッコミづれーわ…。」
"デスロード"のEXスキル【死の王】は、同デッキにいる不死族のステータスを常時アップさせるスキルだ。
―なので、今回は不死族でデッキを固めてみたんだが、幸先はいい気がしない。
兎に角、"ストームエレメント"を先ずは集中攻撃だ!
"ハイワイト"の水魔法、【アイスジャベリン】
"スケルトンナイト"の【ダークスラッシュⅠ】
"スケルトンオーバーナイト"の【ダークスラッシュⅡ】
"デスロード"の【ダークスラッシュⅢ】
これらの攻撃で、"ストームエレメント"は一撃で倒れ…
―ゴゴウゥッ!
「なっ?!うおおっ?」
"ストームエレメント"の方が早かった!
ヤツの放った風精霊魔法/中級の【暴風の舞】が俺たちを囲い、鎌鼬状の風が範囲内の全てを切り刻む!
…ちゅーか痛いっ!
「よおも、やってクサらしたな!
こいつを食らわんかいっ!」
―ズバァッ! ドシュゥッ!ザンッ!
―ウオオオォォォ……
1拍遅れてこっちのカードモンスター達が、集中攻撃で今度こそ"ストームエレメント"を倒しきった。
「くっ…、流石は噂の魔物使いだ。
情報より、強力な魔物を使役する…。
だがっ!まだまだ終わらんよ!
―来たれっ【ストームエレメント】ッ!」
うおおっ?
このおっさん、まだ召喚できんのかよ!
こ、これは思ってたより、キビしい戦いになるか…。
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