肉饅頭
皆さん、おはようございます。
―ねえいきなりだけど最近、俺って働き過ぎだよね?
この数日、全く休み無しの日々だったよね?
もっとファンダジックでスローライフな日々を送るつもりだったけど、ぜんぜんスローライフじゃねーよ。
むしろ転生前の人生の方が、ゆったりしてた気がするわ。
てな訳で、今日はノンビリ過ごすつもりです。
だって超眠ぃーし。
昨晩、一睡もできなかったし。
え?何でかって?…あーちょっと後で説明しますわ。
お天気は早朝からシトシトと雨が降り始めまして、しばらく止むような気配がありません。
…そういやこの世界に転生してから、初めての雨だよ。
いやパーミルからこの辺りって寒暖の差はあまり大きく無くて、四季っつーよりも雨季と乾季が1年に2回づつ交互にやってくる気候みたいで、今までは乾季だったんだよね。
それでそろそろ夏時期の雨季になるそうで、今日の雨はその前触れみたいなものらしい。
え?今、どこにいるのかって?
えっと、実はまだコムサ侯爵のトコに留まってるんすよ。
というのも、例のパデルボルン家のゴタゴタがまだ終息できてないようでして…。
今までの素行の悪さも含めて、パデルボルン侯爵領はおとり潰しの方向なんだが、侯爵領を潰すってのは今まで前例が無かった事らしくて、央都でもかなりケンケンゴウゴウな事態になってるそうな…。
特に当の本人であるパデルボルン侯爵もおとり潰しになりたくないから、自己弁護に必死だろうしな。
なにより昨日の今日ですしねー。
度が過ぎた領地経営の破綻、悪い噂が絶えなかったパデルボルン家を処分する方向でパーミル公爵やコムサ侯爵らが事前に動いていたとは言え、やっぱりねー…。
まっさかバカ王子が、バカ正面から襲ってきて、しかもマルっと反撃されて捕まるなんてのは、予想の斜め上だったんでしょーねー。
それはパデルボルン侯爵もパーミル公爵側も、その両方って意味でね。
あ、これコムサ侯爵からの情報です。
朝メシをご一緒に、って呼ばれた時に教えてもらいました。
そのコムサ侯は、朝食後に虜囚としてバカ王子とその取巻きを連れ、転移ゲートを使って央都に行ってしまってます。
彼の話では上手くいけば明日には央都入り、二、三日後にはスターリングシルバー城に登城できるんじゃないか、との事です。
なんか急かされてた割りには、まだるっこしいなあと思うわ。
まあお貴族樣なんて、そんなモンなんでしょう。
現在、俺が所有している【レインボータートルの肉】が、時間が経っても劣化や腐敗しないって伝えた事も一因かもしれん。
あとそのコムサ侯の一団に、ジェファーソンのおっさんも同行してます。
俺達が央都入りする時の下準備のためだそうです。
また出発の際、『頼むから、おれの居ないとこでヤヤコシイ事を起こさないでくれよなっ!』って、割りとマジな顔で言われちゃいました。
そんなん知らんやん…。
それとおっさん、そーゆーこと言っちゃうの、逆にフラグを立ててると思うぞ…。
「さて、今日はどういたしましょう?」
「雨だけどお外に出るニャー?」
「出るんだったら、ゲイトおば…姉さんに案内を頼んでみる?
彼女、こっちの方の出だから。」
「では~ジオールおば様やマーシャちゃん達に~、お土産を探すのはいかがでしょ~?」
「あっ!それいいニャ!」
「…えっと、もうお土産買うの?
それにこの辺で売ってる物って、だいたいパーミルでも買えるわよ?」
我らが女性陣はこの雨の中、外に出る気マンマンみたいです。
俺と違って、彼女達は昨晩はよく眠れたようですな…。
ぶっちゃけですねー、俺の寝不足の原因は、彼女達と同じ部屋で一夜を過ごしたせいなんですよ。
―はい!そこっ!エロスな想像しない!
い、いや、エロスがいっさい無かったというと、なんと言うか…。
でもナニはナニなんかしてません!
昨晩、コムサ侯爵領の肉食女子から逃れるために、ミール達の寝室に緊急避難したわけですが…。
彼女達は、俺がミール達の寝室に入ったと知ると、しばらく部屋の前で彷徨いていました(カーソル表示で判ります)。
が、さすがに婚約者の女性と一緒にいる部屋にまで押し掛けることまではしませんでした。
数時間後には扉の前から居なくなりました(なんか帰り際に舌打ちが聴こえてきましたよ)。
ホッとして自分にあてがわれた部屋に戻ってみたのですが、そこには彼女達のカーソルが部屋あちこちにっ!
いやもう、ホラーかと思ったよ。
―で、脱兎の如くミール達の寝室に戻りました。
セレアルが言うには、もし俺が知らずにあの部屋で寝ていたら、寝静まったころを見計らって襲ってくるか、より可能性があるのは、朝起きたら俺の横に一糸もまとっていない彼女らが寝ていた…ってハニートラップです。
こうなるともう、ヤッたヤッてないは関係ありませせん。
貴族の女子、超怖いです。
え?コレ、一般の人でもどうしても結婚したい人がいたら、ヤっちゃうんすか?
…どうやらこの世界の女子は、かなり積極的なようです、こえーわ。
まあそんな恐ろしい未来はゴメンなので、結局はミール達の部屋に泊まらせてもらうこととなりました。
もちろんこの時点で、ヤマシイ事は考えて無…えーと、ちょっとだけ考えたりもしたけど、やはり俺はソファーで寝て、彼女達はベッドで…って、あれえっ?ソファーが無えっ?!
ちょ…エトワさん?
なんで息急ききってバルコニーから帰ってきたの?
何か視界の端で、彼女がソファーを担いでた様に見えてた気が…。
え?気のせい?
断じてバルコニーには何も無い、ですか?
ま、まあ、いいか。
ならば俺は床で寝ればいいだろ。
床っていってもフカフカの絨毯なんで、けっこう寝心地良さそう…は?
俺だけ床で寝させる訳にはいかない?
なら皆も一緒に床で寝るですか?
いやいや…え?意思はカタイので、反論は意味が無いですか…。
……とまあ、こんなやり取りが小一時間ほど続いたあと、結局、皆でベッドで寝る事に言いくるめられてしまいました。
ベッドは元々、女性陣が一緒に寝るつもりだったので超キングサイズです。
ですので、俺ひとり増えても全く余裕でした。
―そしてどういう訳だが、俺がまん中で左右にミールとセレアルが。
さらにその外側に、悔しそうにエトワとキエラという超川の字配置で寝る事になりました。
なにやら『厳正なくじ引きの結果』だそうです。
あれ?俺、そんなクジ引いた覚えないんだけど?
だがそんな俺の疑問は簡単にスルーされ、左右からミールとセレアルが密着してきます。
もうなんかすごくいい香りがしてきて、頭がクラクラしてきます。
ですが緊張で俺は指一本も動かせません。
左右をチラ見すれば、ナニかを期待する様なミールとセレアルが潤んだ目でこっちを見つめています。
―婚約までしてんだから、やはりOKってコトですかぁっ?!
イヤイヤまてまて、隣の姉ちゃんも言ってたじゃないか!
『勘違いしちゃダメよ!男が思ってる"女性のOKサイン"ほど信用の無いモノはないのよ!』
それでこの世の男は、セクハラやらナンヤラで身を滅ぼすって!
で、でも、ここまできて、彼女達が嫌がってるはずは無いと思うんだが…。
―てな葛藤が脳内で激しく繰り広げられている内に、早寝のミールとセレアルちゃん達はおやすみになってしまいました。
だがここで、ミールは寝相が悪い…というか、強烈な抱きつき寝癖っ娘であったことを思い出した!
―が、時すでに遅し。
『ニャウゥ~…』
いきなり胴をガッチリホールドされてしまいます。
すると彼女の偉大にして巨大なる双峰が、俺の胸にムニュムニュと押し付けられることにっ!
彼女達、皆、薄い生地のパジャマ(しかも内に何も着ていない?)だけなんで、…その肌の温かさや細やかな感じまで伝わってくるんです。
『ウフフ~ですわ~…。』
今度は反対側からセレアルが抱きついてきまして、しかも彼女はそのフトモモまで俺の足に絡みつけてきます。
さらに彼女のフトモモはパジャマからまくれ上がり、そのスラリとしたスベスベアンヨがダイレクトにっ!
ヤバい…コレはヤバいです…。
今までのピンチの中で一番ヤバい…。
何とかこの場を脱出できないかモゾモゾしてみる。
『あン…(ハートマーク)』『ウニャァ…(ハートマーク)』
それが変な刺激になってしまったのか、ナンか色っぽい吐息を吐きつつ抱きつき力が上がるミールとセレアルさん。
その時、どこかに助けがないものかと必死に視線を巡らせていた俺と、セレアルの向こう側にいたエトワとの視線が合った。
そう、彼女はまだ眠ってはいなかったのだ。
(タ、タスケテ…。)
彼女にアイコンタクトで助けを求める。
すると、なんだか羨ましそうな顔をしていたのが、何かを思い付いた様な表情を浮かべるエトワ。
『うんしょ…と♪』
(うおおおいっ…!)
あろうことかエトワさん、俺に対し90°の角度になったかと思うと、ソロリと俺の枕を取り払い、ミールに勝るとも劣らない自らの大双丘で俺の頭を埋めてきた!
『えへへ…。』
そして無理な体勢にもかかわらず、何故だか嬉しそうに俺の頭をナデナデし始めるエトワさん。
撫でられる度、そのオパーイ枕がフルフルとっ!
エトワはそのまま眠りについてしまいました。
『フニャ…、お手洗いです~…。』
最後にキエラです。
やおらむくりと起き上がると、眠たげにおトイレに向かった。
お手洗いはこの部屋に備え付けられています。
そして数分後に帰って来ました。
(ちょおぉぉー?!)
なぜかキエラさん、全裸です!
暗がりでハッキリとは見えませんが、シルエットでばっちし判ります!
このコ、お手洗いで全部脱いできやがった!
『フニャ~…。』
(ほあああぁぁぁっ?!)
そして元のミールの横に行くかと思いきや、どういう訳か俺の足もとからモゾモゾと俺の体に這い上がってきました!
『ウフフ~…♪』
でもって俺の胸に顔を乗っけたまま、再び寝入ってしまいました。
つかコレ、キエラさん布団になってしもとるやん!
おおお…、ダイレクトォに俺の身体に彼女の感触がっ!
イロイロと細部にまでわたる、想像したらヤバい色んな感触がぁっ?!
……とまあ、完全に俺は彼女達のおニクに包囲され、かと言ってそこからどうこう出来る度胸も無く、血走ったギンギン状態のまま朝を迎えたワケですよ…。
うん、朝の日射しが黄色かったよ…。
いつも読んで頂いてありがとうございます!
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