大戦力補強Ⅰ
ウフィールは、おばさんの賄いご飯をお腹一杯食べると、すぐにこっくりこっくりと船を漕ぎ始めた。
まあ無理もない、時間にして夜の9時近くまでなってしまっているしな。
ミールの妹、マーシャちゃんなんか、俺達が店に着いた時点で既にお休みになってたしね。
そんなモンだから、ウフィールとマーシャちゃんのご対面は明日だ。
…マーシャちゃんもびっくりするかなあ。
そういやこの世界の子供達は、日本の子供に比べて超早寝なんたが、それと比較するとウフィールは寝つきが遅めだ。
"北への大トンネル"からの帰りにトンネル内で1泊したが、俺達とかわらない時間まで起きていたな。
とは言えこの時間ではさすがに限界だったみたいで、ミールが自分達の部屋に寝かしつけに行く時も、ウフィールは嫌がる様子もなくミールに抱っこされて行った。
「…どれ、じゃああたし達も、今日は片付けてしまおうか。」
おばさんは、よっこらしょと言いながら立ちあがり、俺達に気を利かせてくれていて奥にいた従業員のマナールおばさんの方へ向かう。
それから俺は、セレアルとエトワをパーミル城に送ろうとした。
まあその時にセレアルが、『今日こそ、お泊まりさせて頂きますわっ!』なんぞと今回もほざいたが、何とか宥めて連れて行った。
俺としては、別に泊まってもらう事はなんら問題は無い(もちろんイカガワシイことは何もしませんよ!)のだが、やはり未婚の貴族の淑女が、例え婚約者の家といえども、未婚の男性の家にお泊まりすることはかなりハシタナイ行為であるみたいだ。
特に次代の公爵ともなる者になれば、なおさら―という訳だ。(因みにエトワは、パーミル軍の女性用寄宿舎に部屋がある)。
ブーたれるセレアルには、代わりに明日、彼女の『おしのび』に付き合うことになったのだが、まあ良いでしょう…。
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……さて、パーミル城にセレアルとエトワを送ってウチに帰ってみると、バウリンやファーガ達も自分達のねぐらに帰った後だった。
ミールやキエラも、すでにウフィールとマーシャちゃんと一緒に就寝しているようです。
まあ時間が11時頃を回ってるみたいだし、この時間はパーミルでは完璧に真夜中だ。
しかし俺は、もうひと仕事してしまおう。
人気の無くなった厨房から、オレムとここらでは呼ばれている、オレンジっぽい果実のジュースをコップに入れ、それを手にしながら裏庭に出る。
日に日に昼間が暑くなってきて、陽が沈んでからが心地良い冷え具合いになってきたな。
裏庭ではチーチーやらギーギーやら、あまり日本では聞いたことの無い虫達の声による合唱が始まっている。
これから何をするかというと、今回の"大トンネル"攻略で得たアイテム整理とイベント報酬からの戦力アップである!
なんせトンネル内の"教会の間"に着いてからは、怒濤の日々だったからな。
イベントも次々に発生して、ゆっくり強化を吟味してる時間も無かったしね。
終わってからも、ウフィールのことなんかで余裕が無かったからなー。
まあ我が家に帰ってやっとひと息つけて、ゆっくりカードを見れるようになったような次第だ。
俺は裏庭にある切り株を椅子がわりに座って、メニュー画面を開く。
先ずはドロップアイテムからだ。
…とは言え、ポーション類以外は、大部分は俺が持っていてもどうしようもないモノがほとんどだ。
何かに加工するか売り払うか、一応考えているのは、良質の皮系統が手に入ったので、俺を含めた皆の防具関係をオーダーメイドで作ってもらおうと思っている。
あ、あと雨具もね!
ミールから聞いたんだが、この辺ではもう少しでしばらく雨季になるそうで、雨ガッパは必需品なんだそうだ。
明日にでもボクっ娘ご用達商人、スクィールちゃんに、相談しようかと思っているところだ。
それ以外で問題なのは、アンデットモンスターから手に入れた神聖アイテムの類いだ。
"スケルトン"系から得た【魔法の骨】関係は、まだ流通してるみたいなんだけどねー…。
先ず1番大量に手に入った【聖水】からして、ここの現状のものよりどえらい強力みたいなんですよね。
そしてどうやらこれら神聖アイテムは、なぜか俺だけドロップして、普通では手に入らんモノのようなんですわ…。
次点でいっぱい獲れた【聖別された布】にしても、神官のガールゥに見せたらメッチャ驚いてたし。
まあこれらの神聖アイテムで、今回、最高級のドロップ品といえば、【神聖銀の剣】っすよね!(ある意味、最高ランクにヤバいモノとも言う)
これ、あとからバウリンを問い詰めたんだが、彼が知ってるうちで世界に10振りもないそうなんですよ!
例えば五央国聖騎士団の団長さんとか、アンデット狩りを専門にしている有名な冒険者パーティのリーダーとか、はては伝説の放浪聖騎士さまみたいな超有名人達が所有しているモンらしい。
―考えてもみよう。
『世界に10台もない車を偶々(たまたま)ゲットしちゃった!(テヘペロ)』ってなったら、絶対ニュースになるよね!
つー訳で、この剣はあまり人前では出さないように、気を付けることとなった。
あとそれ以外でレア物といえば、【聖なるお守り】ってのが5つ手に入った。
実体化させてみると、神聖銀製の小さなお札で、首から下げられるように銀鎖の輪がついていた。
守備力アップと神聖魔法の効果アップ、それにアンデットのスキル【ドレインタッチ】からの防御の力が有るようだが、どうやら聖職者にしか装備出来ないみたいだったので、とりあえずキエラとガールゥに渡した。
それでもあと3つ残ってるので、"教会の間"にいるプルトゥーナ教会のマリアンヌさんに渡そうとしたところ…。
『なっ?!こ、こんな貴重な物、うけとれませんわっ!』
―と、メッチャ固辞されてしまった。
…マリアンヌさんによれば、こんな凄いアイテム、大司祭レベルに成らんと、畏れ多くて身に着けれないクラスのシロモンなんだそうな。
パーミルの神官じゃあ、セレアルト神の大神官、ダイトさん位しか持ってないそうでして…。
『そ、そんな神聖な物だったのか?!
なら、おれにはまだ不相応だ!』
それを聞いたガールゥまでが、ビビっちゃって【聖なるお守り】を俺に返そうとしやがったが、こっちは逆に俺が突っぱねた。
俺達の防御・回復の要たるプリースト職は、少しでも能力を底上げ出来るなら、下手なプライドなんか要らんのである!
まあガールゥには、
『なら、それに相応しい神官に一刻も早くなれ。
これは報酬ではなく、お前へのノルマ目標だ!』
とハッパをかけてやった。
ついでに【コボルトの黒槍】を渡したファーガにも、
『その黒槍も同じだ。
お前もその槍を持っていても、誰も文句を言われない奴になるんだ!』
と言ってやりましたよ!
『あ、兄貴ぃぃっ!
お、おれっ!頑張るっす!
絶対、この槍に相応しい男になってやるっす!』
『…ふっ…、そこまで言われたら返せないな。
ああっ、もっと力をつけて、お前と並び立てる者になってやる!』
―とまあ、めっさ2人とも感激して奮い起ってくれたんだが、…うん、ちょっと焚き付け過ぎたかもしれん…。
帰る道中も『修練だっ!』つって、エライ練習しとったし…。
いや、そこまで頑張らなくてもいいんだよ?
なんか、俺まで頑張らなくちゃならん雰囲気になっちゃうじゃん?!
俺がノンビリ出来ないじゃん?!
…とまあ、自分で首を絞めちゃった感があるんだが、今度、ギルドでそれぞれの職業の師匠になってくれそうな人を紹介することで、何とか俺はノンビリ生きていこうと思います!
……ちょっと脱線しちゃったけど、ドロップアイテムに関してはこんなトコだ。
さあ!
ほんじゃまか、メインの方へいきますか!
もちろんイベント報酬による、強化デスヨ!
先ずは今回の4つのイベントで手に入ったのを、まとめて見てみよう!
【聖水】× 5
【聖銀のナイフ】× 1
【身代り曲玉】× 5
【賢者の腕輪】× 1
【変質した転移オーブ】× 1
【エクスボーション】× 5
【ラストポーション】× 5
【エリクサー】× 3
【スキルボーション】× 4
【強化カード(R)】× 2
【強化カード(HR)】× 2
【進化カード(R)】× 3
【進化カード(HR)】× 2
【スキル消去カード】× 2
【スキル交換カード】× 1
【スキル枠+1カード(R)】× 1
スキルカード【ヒールⅠ】
スキルカード【抵抗/状態異常】
キャラクターカード【疾風公女セレアル】× 1
モンスターカード【エンジェル】(R) × 3
―直ぐ様レベルアップと進化といきたいが、その前にアイテムからね!
……って、うおおうっ?!
ヤベっ!危うく忘れるトコだった!
これを先にしとかなきゃ!
【特別召喚チケット】デスヨッ!
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