アンデットとの戦い~最終
お待たせいたしました!
なんとか日曜日に間に合った!
「「…………。」」
俺達と"カオスリザードネグロス"、両者がズッコケたキエラさんを中心に、お見合い状態になってます。
キエラを捕まえようとして、彼女に避けられた(狙ってした訳ではないが)"スケルトンウォリアー"らも何だか、『え?これからどうしたらいいっすか?』みたいな雰囲気になってる。
その状態からいち早く復帰できたのは、俺の方だ。
普段からキエラのドジッ娘ぷりをフォローしてきたので、心構えがまだあったのだ。
…キエラの暴走に慌ててしまい、今回はフォローまで出来なかったけどな!(キエラ、ごめんやで!)
という訳で、コレ、ちゃーんす!
"カオスリザードネグロス"が呆けてる今が、千載一遇のちゃーんすです!
―者ども!予定より少しズレてしまったが、作戦を遂行せよっ!
「ナ、なにヲしていル!
早くそのメスを捕マえロッ!」
うほっ?!これはラッキー!
"カオスリザードネグロス"のヤツ、よほど慌てたんだろう。
女の子を放っておいて、"スケルトンウォリアー"を2体ともキエラの方へ向かわせた!
「あたたた…、ふえ?きゃああっ~!?」
自分の鼻を押さえながら(顔面からモロにコケたからなー)、やっと起き上がろうとしているキエラさんを、"スケルトンウォリアー"らがむりやり引き摺り立たせる。
「キエラさんがっ!」
ガールゥが、キエラが捕まってしまったのを見て慌てているが、大丈夫だ!
「【パーフェクトガード】ッ!」
俺が言い放つと、キエラから紫色の光の粒が吹き出す!
「ひぃやぁ…って、あらら~?」
捕らえられていた"スケルトンウォリアー"らの腕から、キエラがスポンってな感じで脱け出した。
「ナッ…?!」
ムハハッー!
敵味方かまわず全ての攻撃を1ターン中、無効化してしまう【パーフェクトガード】(説明口調)の前では、彼女を捕まえる事など出来ぬわー!
という訳で…
「おーい、キエラ、ありがとねー。
もう戻ってきていいよー!」
「え?あ、はい~。」
俺の呼び掛けに、キエラがこっちへトテトテと帰って来ようとする。
"スケルトンウォリアー"らは彼女を捕まえようとするが、まるで油でもかかってるようにその手は滑り、キエラを掴むことが出来ない!
「マ、待テッ!
なにヲしていル!
そいつの脚ヲ、切り落とシてデも捕らえロッ!」
"カオスリザードネグロス"は恐ろしいことを言ってやがるが、もちろんキエラには通用しない!
"スケルトンウォリアー"の刃は、ポヨンとまぬけな感じに弾かれるか、ツルンとキエラの表面を滑っていくだけだ。
「くそウッ!なんダッ貴様ハッ?ソの力ハ何なのダッ?!
モ、もういイ!…人質はこちらにハもう1ひキいるノ…ッ?!
……ナ、なんダあッこれハッ?!」
―アーハッハッ!!
やっと気付いたか、"カオスリザードネグロス"君よ!
そう!
ヤツは熱くなって、人質の女の子をスッカリ忘れてしまっちゃってたみたいなんですよ。
てなわけで、その間に女の子は回収させてもらいました!
どうやってかって?
ヤツの驚愕に開きまくったマナコの先には、直径1m程の穴がポッカリ開いていた。
そこはちょうど女の子が立っていた辺りだ。
もちろんそこには、もう女の子はいない。
―ボコッ!
そして俺の斜め後ろにも、同じ位の穴が開いた。
むふふ…、"カオスリザードネグロス"君にも、よく見える様に前を退いてあげようではないか(悪い顔)。
「うむ、皆、ご苦労さま!」
「るっるっー!」
「きゅっー!」
「みっ!」
最初に穴から出て来たのは、るー子、きゅー子、みー子のお馴染みチミッ娘三人組だ。
「モグー!」
そして次に出て来たのはこいつだ!
「お前さんも、お仕事、ご苦労さま!
バッチリだったぜ!」
「モグモグー!」
お互いに親指をグッ!とおったてて、作戦成功を祝う。
アトロシオスモール R Lv 40(Max!)
AT:10,210/10,210
DT:23,260/23,260
少し前に手に入れた、3m近い大きさの巨大モグラ君だ。
モグラ君などと可愛く言ってるが、見た目はかなり厳ついんで、けっこう恐いけどね。
そう、今作戦の主役はこいつだったのだ!
"カオスリザードネグロス"が見てない所から地下を掘り進んでもらい、女の子の真下から穴を開け、彼女を救出!っつーぶっちゃけ、それだけの単純な作戦であった!
…まあそれが、キエラの暴走…いや、頑張りで当初の目標地点からズレたりもしたが、Maxレベルまで強化カードでレベルアップしておいていたので、そのパワーで掘削の修正は難なく出来た。
いやほんと、彼女のお陰で女の子がノーマークになったんで、リスクがかなり下がったんだよ。
念のためと思って連れていったチミッ娘三人組が、ほとんど要らなかったもんねー。
キエラさんやればできるコ!
「みみっー!」
そして最後にに出て来たのは、みー子の蔦によって引き出される。
蔦は、ひと抱えはある岩を持ち上げている。
ただしそれだけではない。
岩の上面には、こいつが貼り付いていた。
グリーディーウィード N Lv 5
覚えてるだろうか?
転生して間もない頃に手に入れたやつだ。
デッカイ四つ葉の葉っぱで、自分の上に乗った獲物を包み絞め殺してしまう植物族のNモンスターだ。
しかし呼び出した場所から動けないという致命的な欠点があり、『使えない』としていたカードモンスターのひとつだった。
だがこの世界じゃあ、こんな使い方が出来るんだから捨てたもんじゃないよね!
その"グリーディーウィード"は自らの大きな葉で、『何か』を包んでいる様にしている。
―そしてその葉が開き、桃から生まれた桃太郎よろしく、中から女の子が現れる。
女の子は気を失っているようだ。
倒れようとする女の子を、俺は慌てて受けとめる。
「……シ、シュ…!シューシ、シュ…。」
"カオスリザードネグロス"君は、ヒト語を喋る気力も無いようだ。
なんかリザードマン語?で呟いてらっしゃる。
あ、また【カード一覧】から、通訳の"ケイブリザードマン"を出すの忘れてたわ。
"グリーディーウィード"を【カード一覧】下がらせ(お前もご苦労さま!)、代わりに"ケイブリザードマン"を呼び出す。
これでリザードマン語?を呟かれても意味が解る。
……さてと!
"スケルトンウォリアー"らを瞬殺し、俺達はズイッと"カオスリザードネグロス"を、包囲するように取り囲む。
「ひイッ?!」
"カオスリザードネグロス"は恐怖の表情―トカゲの顔なんでよくわからんが、たぶんそんな感じなんで―をしながら、俺達から少しでも遠ざかろうと、後ろの壁際へ必死に後退りしている。
しかしそれ以上、もう逃げる処は無い。
「…降参する?」
「ひィッ!…あ、ア?」
てっきり殺されると思っていたんだろう。
一瞬、俺の言葉の意味が解らなかったようだ。
だが少しして、その意味が理解できてきたようだ。
「……オ、おれヲ殺さなイの…カ?」
「それは、これからのお前の態度しだいだ。」
冒険者達を殺そうとしていたし、なによりこんな小さな女の子を拉致、監禁、あまつさえ人質にして脅すなんぞしている時点で、全く同情の余地は無い。
が、コイツの言っていた、仲間らしき人間の情報を少しでも手に入れたい。
…まあ、SRのネクロマンサー職カードモンスターが、欲しく無いって言ったら嘘になるけどね!
「わ、ワかっタッ!
降参すルッ!ナ、なんでモするかラ、命ばかりハ…。」
そう言って"カオスリザードネグロス"は、両手に持っていた杖と宝珠を地面に置く。
「じゃあさっそく訊くが、逃げたとかいう仲間の事を、洗いざらい喋ってもらおうか。」
「ア、ああ、奴ハ…。」
だが、"カオスリザードネグロス"が言葉に出来たのは、そこまでだった。
「シュ、ガハッ…!」
突然、"カオスリザードネグロス"の胸元から、槍の穂先が飛び出してきた!
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