教会の間
おねーさん達は、生と死を司る神、プルトゥーナに仕える神官さん達であった。
で、あの白髪の美女さんが、この神官団のリーダーであり、パーミルのプルトゥーナ神殿の長でもあるマリアンヌさんだ。
マリアンヌ Lv 37
(ビショップ/ヒューマン族/女/光属性)
AT:7,970/7,970(+745)
DT:6,080/6,080(+1,289)
スキル:【神聖魔法/中級】【シールドⅡ】【プルトゥーナホーリー/中級】
マリアンヌさんは、他のおねーさん達の様にガールゥには興味を示さなかったんだけど…。
「ああ…、可愛いぃ。
みんな可愛いすぎるぅ…。」
マリアンヌさんは、るー子達、チミッ娘三人組にメロメロになっていた…。
今はヨダレを垂らさんばかり(いやちょっと口の端から…)になって、るー子達にスリスリしてらっしゃいます。
その残念な表情は、どこぞのギルマスの秘書さんにクリソツ(死語)である。
―つか、キャラ丸かぶりじゃね?
因みに余談だが、プルトゥーナ神は、見た目は絶世の美少女だが、中身は♂という男の娘神である。
しかもそのナリで可愛い幼女が大好物という、かなり危ないロリ神でもある。
「ハアハア、お持ち帰りしたいぃ…。」
…うん、あの神にしてこの神官あり、だな。
もしかしてレイシールさんも、プルトゥーナ信徒だったりして。
さて、彼女はしばらく使い物になりそうにないので、あちらはるー子達に任せておこう。
「るーっ?!るーるっー!」「みぃぃー!」
大量のアンデットモンスターをゲットして、俺的にはかなりホクホクだったんだが、イベント報酬なんかと一緒に強化に関しては一先ず後回しにする。
―それよりも彼らの治療が先だ。
俺達の前には、20人近い冒険者達が横たわっているのだ。
そして彼らは、ほとんどが自分で立てないくらいの酷い傷を負っていた。
今はキエラと(やっとおねーさん達から解放された)ガールゥの神聖魔法の癒し、それに俺の【ポーション】や【薬草】を使って、ミール達、女性陣が怪我を治している。
「いや、助かった!
礼を言わせてもらうぞ!
今度ばかりは、冥界行きかと諦めかけてた所だったんでな!」
冒険者達の中で、最初に傷を治してもらったおっさんが、こっちに歩いてきた。
どうやら冒険者達は、全員でひとつのパーティーで、このおっさんがリーダー格みたいである。
冒険者達のステータスを見てみたが、彼らは皆、レベル30越えの者達で、少なくとも☆1つ以上のギルドタグをもらえる実力がある者ばかりに見える。
プルトゥーナの神官団は、マリアンヌさんこそレベル30越えをしているが、それ以外の人達はレベル10~20程度で、人数も8人しかいない。
ターンアンデットの能力を持つので、不死族には強い聖職者とはいえ、あのアンデット集団には神官団だけでは勝ち目は無かっただろう。
しかしこのおっさんらが戦えていたなら、充分に対処できたはずだ。
本来ならこのおっさんらのパーティーが、この辺りでこんな壊滅的にやられるなんて事態は、彼らのレベルから見てもあり得ないはずなんだけどな…。
かなりの戦闘力を持った冒険者パーティーが、20人近くもいてこの被害だ。
いったい何があったんだろう?
「レヴィン、お前さんらにしては、ずいぶんとヘマをしたみたいじゃの。」
「ん?…おお!"頑鉄"もいたのか!
いったいどうゆう風の吹き回しだ?
『"大トンネル"には興味が無くなった』とか言ってたじゃないか。」
「ふん!そんな事はどうでもいいわい!
それより"深淵ニ挑ム者"のお前さんらを、ここまで追い詰めるとは、何があったんじゃ?」
「そうですわ!
私も、この地を統べる者の末席にいる身として、叔父さ…、公爵に伝える義務がありますわ!
何かしら、異常事態が起こりましたの?」
「ん?誰だい、この偉そうな嬢ちゃん、…って、セレアル姫っ?!
なんで姫様が、…あ、ああ、あいや、こ、ここれは大変失礼致しました…。」
バウリンと知り合いなんだろう。
レヴィンと呼ばれたおっさんと、バウリンが話し合ってる横から、セレアルが顔を突っ込んできた。
まあこんな所に、公爵の姫さんが来るなんて、思いもしない事だろうしな。
レヴィンさんもエライ慌ている。
「―え?
姫様がなんで?」
「ほら!だってあの噂の姫さんなんだろ?」
「…ああ、ジャジャ馬姫…。」
「とうとうジャジャ馬が過ぎて、ここまで来ちまったか…。」
「ちょっと、貴方達!聞こえてますわよっ!」
冒険者達が傷から回復して、こちらにやって来る度にセレアルに驚いている。
あとやっぱりセレアルは、ジャジャ馬姫って呼ばれてたんだな(笑)。
セレアルが冒険者達に噛みついてる間に、ちょっと今いる場所の事を説明しておこう。
今、俺達は、バウリンが"教会の間"と言っていたフロアにいる。
プルトゥーナ教会のおねーさん達が、モンスターらを入らせないよう必死に守っていた、あの扉の奥がそのフロアだったのだ。
広さは学校の体育館くらいはあるだろうか。
奥に長い楕円形をした広間だ。
床も壁も非常に手入れがなされており、洞窟とは思えない滑らかに仕上っていた。
そして広間の最奥に、祭壇が設けられている。
これが"教会の間"の名前の由来となったもので、中央に大地母神ディアナ、右に正義と愛の神セレアルト、そして左にプルトゥーナ神と、小さいながらも各神の石像が祀られていた。
昔、ここは"オークキング"(HR)を頭とする、"オーク"の一大拠点だったんだそうだ。
そこを第二次遠征隊が討伐、それから"大トンネル"アタックの、ベースキャンプ地として整備したのがここの始まりらしい。
それからは冒険者達のセーフエリアとして、そして何より、止めどなく現れるアンデットを浄化するために、各教会の神官の拠点として整備されてきたとのこと。
ディアナ、セレアルト、プルトゥーナの各教会は、迷える魂を救済する事に力を入れている所だ。
特にセレアルトは、アンデットと悪魔族討伐を専門とする祓魔師部隊があることで有名なのだ(コレ、ゲームでの知識なんだけどね)。
「―ふむ、貴方達のお話しは、しっかりと伺いましたわ。」
…え?ナニ?姫さん、何、話してたの?
チョット俺、聞いて無かったんだケド?
いつの間にか、ふんぞり返って立つセレアルの前には、傷から回復した冒険者達が、レヴィンさんを筆頭に正座させられている。
―ピコーン!
え?ちょ…!
「ですがお任せあれ!
その様な奴ら、私と、私の良人となる勇者さま達が、見事、蹴散らして差し上げましょうっ!」
「「「おおおっ!!」」」
「おおおーいっ?!
ちょっとまてぇーいっ!」
―ビコーーン!
うえええぇぇ?!
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