チュートリアルⅠ
転生の手続きはいたって簡単であった。
キツネのにーさんが、パソコンに幾つか打ち込んだあと、画面をこちらに向け、画面にあるイエス/ノーのところをタッチして完了である。
もちろん選択はイエスだ。
タッチパネルに触れた瞬間、指先から頭の中に向けて、静電気みたいなものが走った。
「では次に転生先の状況をお伝えします~。
まずアナタは『ミレトの森』にて転生されます~。」
それを聞いて俺は少なからず、ほっとした。
『ミレトの森』はゲームでも最初辺りの場所
で、出てくるモンスターも最弱クラスしか出てこない。
もしかしたら、いきなりボスクラスの迷宮や、お城で勇者として召喚(笑)なんてされたらどうしようと思っていたからだ。
あんまり、急な展開はゴメンである。
出来れば、このチートであるはずの俺のレベルを武器に、ノンビリ『アレス』の世界を堪能したかったからだ。
「ちょうど『ミレトの森』で、行き倒れの商人の青年がいまして、彼の体をベースに転生します~。」
まあむさ苦しいオッサンとかでなければ、文句はない。
俺だって、イケメンって訳ではないからなっ!
「まあ、なるべく今のアナタに似せるようにしますよ~。」
よろしくお願いいたします。
「それではこちらのフロアに移動してもらいます~。」
そう言ったかと思った瞬間、いきなり何も無い荒れ地に自分のいる場所が変わった。
「おお?」
ちょっとびっくりした。
今のいままで、このヒト本当にお役所の役人のまんまだったから、こんなファンタジーなワザが出来るとは思ってはいなかったからである。
やはり『あの世』なんだなあ、と今さら理解した。
「え~では、これからカード使いとしての基
礎使用方法をお教えしますね~。」