初、北への大トンネルⅡ
「ギィィー!」
"サンダーバード"の放電攻撃(通常攻撃)で、"ジャイアントバット"が黒焦げになり、その後光の粒子となって消える。
"北への大トンネル"に入って四時間(腹時計による)程度経っている。
バルストさんが言っていた通り、トンネルは北西へ向かう緩やかな下りの道が所々クネクネ曲がりながら続いている。
それにしてもこのトンネル、開口部もデカかったが、通路もドデカいわー!
形状は楕円形をしており、幅も高さも10m以上はある。
二階建ての家が、スッポリ入る規模をしている。
通路はほぼ真っ直ぐの下りとはいえ、平坦な道は全くない。
壁面・天井そして床下も、岩が縦横無尽に突き出ていて、所によってはロッククライミングじみた登りすらあるのだ。
この様な洞窟然とした状況は、入り口から10kmほど入った所から急に始まる。
逆に言えば、入り口から10km位までは、明らかに綺麗に均されたものだったのだ。
バルストさん曰く、この険しい洞窟状の通路は元々あったもので、そこから旧パーミルがあった場所まで、何らかの手段で通路を延長したのではないか―、というのが現在の定説になっているらしい。
まあその延長作業を地上にいる人達に気取らされずに、どうやってやったのかは、未だに全く解らないそうなのだが…。
いま"ジャイアントバット"を四匹倒したが、これで戦闘は三回目だ。
どうやら先行しているおっさん達は、ザコに構わずなるべく戦闘を避けて進んで行ってるようだ。
こっちはお陰で、戦闘の良い訓練になっている。
現在出撃しているカードモンスター達は、"アルラウネ""フェンサースプライト""アークフェルパー"のちみっ娘達に、"ファイアリザート""スケルトンウォリアー""サンダーバード""ジャイアントバット"である。
トンネルがいくらデカいといっても、やはり"ヒルジャイアント"や"シルバーウルフ"達が暴れ回るには、少々手狭なようだ。
最初の戦闘でそれがわかってからは、今のメンバーに替えている。
逆にこの場で活躍しているのが、"ファイアリザート""サンダーバード""ジャイアントバット"達である。
"ファイアリザート"と"サンダーバード"は自らが発光しているので、灯り対策にもなっているのと、通常攻撃で火炎弾や放電球を飛ばして、遠距離攻撃が出来るのだ。
このトンネルに出てくるモンスターは、飛べるヤツやさっき倒した"ヒュージセンチピード"のような、天井でも這い回れるヤツが多いみたいで、そういったのを撃ち落とせる遠距離攻撃は助かるのだ。
こういった灯りのないダンジョンは、複数の灯り、しかも光源の異なるものを用意するものらしい。
通常はランタンや松明の他に、"クリスタル球"という物を持つ。
この"クリスタル球"は、パーミル城内を照らしていた光の玉を小さく、明るくさせた物で、野球のボール大の大きさをしている。
ひとつ金貨3枚とわりと高価だが、冒険者には必需品なものである。
俺達の場合、これらにカードモンスター達の灯りが加わって、周囲はかなり明るい。
あと最後に"ジャイアントバット"である。
こいつは戦闘能力は低いが、音波の反射による位置把握がかなり優れている。
いわゆるエコーロケーションというやつだ。
こいつとの情報共有で、光の届かない所までの地形状況を、バッチリ把握出来る。
こいつを二匹、前後か左右にいれば、たぶん真っ暗になっても俺は全く不都合なく動けると思う。
"ジャイアントバット"の【進化】した"バンパイアバット"も能力的には低いが、これはけっこう使えるかもしれないな。
"ジャイアントバット"は、積極的に狩っていくとしよう。
あ!
それと今の"ファイアリザート"だが、"アーザンズスポーン"でやられたやつではない。
パーミル城で過ごした四日間、俺はダークエルフのイスファーラさんにまた"ファイアリザート"を召喚、戦わせてもらっていたのだ!
いやー、セレアル姫が無礼をしたお詫びに、何かさせてくれって言ってきたので、イスファーラさんを貸してくれって言ったのだ。
言い方が悪かったのか、なんか最初変な誤解をされて、セレアル姫はプンプン怒りだすし、イスファーラさんは顔を真っ赤になったあと、モジモジしだしたりした…。
ん?あれ…?
今思うと、イスファーラさんのあの様子って、まんざらではなかったの?
嫌がってた表情じゃあなかったよね?
…
…
…ま、まさかねー?
最近、ミールにキエラさんと美少女とちょっとだけ親しくなれたからといって、俺、ちょーし付いてねーか?
日本でちっともモテなかった俺が、この世界に来て急にモテるわけないじゃん!
彼女達のような美少女と、お友達になれただけでもスゲーラッキーなのを弁えろよ、俺!
「この弓、凄く使い易いニャー!
あのエルフの職人さん、きっと腕の良い人に違いニャーよ!」
ミールが自分の手の中にある弓を、惚れ惚れとした目で見つめる。
実は先程の"ジャイアントバット"も、一匹はミールが撃ち落としているのだ。
さすが獣の瞳を持つビースト族である。
ミールはかなり夜目が利くらしく、灯りがあまり届かない所にいたヤツを一発で仕留めている。
またエルフ職人のおねーさんが作った弓はかなり高性能らしく、ミールが言うには『バンバン当たる』らしい。
また俺の視点からも、彼女のAT値が(+980)と表示されている。
元々ミールが持っていた弓が(+130)だったのだから、魔法も掛かっていないのにこの威力は、かなり優秀なのだろう。
「よし、魔物は全て倒したようだが、どうだ?」
バルストさんが、俺に訊いてくる。
今まで幾度か一緒に戦ってきて、俺のカーソル表示による索敵能力が、かなり高性能で信頼できると考えていてくれてるようだ。
トンネルに入ってからは、まず俺の意見を訊いてくれるようになっている。
現在の俺のカーソル表示は、【カーソルカスタマイズ】で先日新しく作った、"ダンジョン用"のものを使っている。
これは基本の屋外で使う"通常用"に、一点だけ修正を加えたものだ。
それは、『俺と対象の間に障害物があった場合、カーソルカラーの明度を落とす』というものだ。
―こんなカスタマイズまで出来るとは、このシステムを作ったという神様達はかなら凝り性な人達に違いない!
おっと、そんな事を考えている場合じゃないな。
俺は視線を360°見渡す。
別に今来た方は確認しなくていいじゃん、と思うかもしれないが、『ダンジョンは抜け道や転移魔法陣といった、どんな方法で後方から攻撃を受けるかわからない。
だから今の内から、戦いが終わったら周囲を見回すクセをつけろ。
それを忘れた時に限って、魔物は襲ってくる。』とのバルストさんのご教授だ。
やっぱりリアルで体験している人の言葉は、重いっすよ!
…さて、カーソルで確認すると…。
「あ、前方から誰かきますね。」
俺の視界前方に、五名の名前が記されたカーソルがまだ小さくしか見えない灯りと共に、ゆっくりとこっちに近付いてくるのが見えた。
今回初登場の"ヒュージセンチピード"は、巨大ムカデです。
全長は5m程にもなり、体幅も1mはあります。
主に噛みつき攻撃をしますが、毒などはありません。
現在の所有カードリスト
順不同です。
☆N
グリーディーウィードLv 5
ブレードフイッシュLv 1
ゴブリンLv 5
ジャイアントバットLv 20
ジャイアントバットLv 1×4
コボルトLv 5
クレイゴーレムLv 1
マッドエレメントLv 1
ヒュージキャタピラー Lv 1
ラッシュボアLv 1
キラーパイソンLv 1
ヒュージセンチピードLv 1×5
ヒュージスパイダーLv 1×2
☆HN
レッサーデーモンLv 10【水魔法/初級】(Lv 6/10)
キラーマンティスLv 18【スラッシュⅠ】(Lv 7/10)
ビーファイターLv 8【チャージ】(Lv 7/10)
シルバーウルフLv 13【ファング】(Lv 4/10)
スケルトンウォリアーLv 9【リジェネートⅠ】(Lv 6/10)
スケルトンウォリアーLv 9【リジェネートⅠ】(Lv 5/10)
アサシンシャドウLv 7【クリティカルⅠ】(Lv 2/10)
ゴブリンシャーマンLv 18【闇魔法/初級】(Lv 5/10)
ブラッディソーンLv 11【バインドⅠ】(Lv 3/10)
キラースパイダーLv 1【バインドⅠ】(Lv 1/10)
ハウスモンスターLv 1【スリープミスト】(Lv 1/15)
ファイアリザートLv 25【火精霊魔法/初級】(Lv 3/15)
ブラックドック Lv 1【フレイム】(Lv 1/10)
☆R
ヒルジャイアントLv 1【スタンプ】(Lv 4/10)【ガードⅠ】(Lv 3/10)
ブラックナイトLv 10【ダークスラッシュⅠ】(Lv 1/10)【火魔法/中級】(Lv 1/15)
ブラックナイトLv 10【ダークスラッシュⅠ】(Lv 1/10)【火魔法/中級】(Lv 1/15)
リッパーシャークLv 1【スラッシュⅡ】(Lv 1/15)【クリティカル上昇Ⅱ】(Lv 1/15)
サンダーバードLv 1【サンダーⅡ】(Lv 1/15)【無効/風属性攻撃】(Lv 2/15)
☆HR
アルラウネLv 1【パニックボイス】(Lv 5/15)【ヒールⅠ】(Lv 9/10)
フェンサースプライトLv 1【ダブルスラスト】(Lv 7/15)【サイドステップⅡ】(Lv 5/15)【風魔法/中級】(Lv 4/15)
デスナイトLv 1【ダークスラッシュⅡ】(Lv 1/15)【火魔法/中級】(Lv 1/15)【リジェネートⅡ】(Lv 1/15)
アークフェルパーLv 1【キュア】(Lv 1/10)【フラッシュボール】(Lv 2/20)【抵抗/状態異常】(Lv 2/10)
☆SR
☆UR




