空き地にてⅠ
現在、俺は『ミレトの森』のとある、空き地にいる。
陽もとっぷりと沈んでしまい、目の前の焚き火が照らす空間以外の森の中は、墨汁をぶちまけたような暗闇だ。
空には星が、プラネタリウムでしか見たことがないような数で瞬いている。
探索の結果、幾つかの発見があった。
まず、カードたちの有効範囲は、だいたい8km もあることが判った。
そして、その限界を越えると、実体化できなくなり、デッキ上のカードが一度、【カード一覧】の中に戻ってしまうのだ。
それからは、探索も効率がアップした。
何しろ限界まで行けば、一瞬で【カード一覧】内に帰って来るのだから、戻りの時間が要らなくなった。
そうやって、基点となった俺の周り半径8km は、全部『森』だった。
ただ、ちょうど8km 辺りに、100m四方の『空き地』があることが判った。
ただ、その空き地はモンスターが居座っていた。
アングルアイビー N Lv 3
いうなれば、植物の蔦である。
ただし俺の知っているツタとは、全然違う。
まず、茎の太さが、子供の腕くらいある。
それが5~6本ウネウネと蠢いている。
1本の長さは5m 程。
近づけば、それが獲物を締め付ける、という寸法だ。
それが四体、空き地に生えていたのである。
戦力拡充、場所の確保、そしてバトルの訓練のために、俺は迷わず戦いを挑んだ。
《BATTLE END 》
《YOU WIN! 》
晶貨:240→400G
アングルアイビー N Lv1 × 4
[丈夫なロープ] × 1
戦いは圧勝だった。
先の戦いと同じように、【スキル】の【パワー&ガードⅢ】を最初にかけ、ダメージがヤバくなったら【ヒールⅠ】で、危なげなく勝てた。
驚いたのは、カードモンスター達をかなり細かく指示出来たことである。
探索時にいろいろと指示出来たので、これは、と思っていたら、かなり上手くいった。
敵一体に集中して攻撃させたり、一体を囮にして反対から攻めてみたりと、ゲーム時代のカード任せにしか出来なかった事とは、エライ違いだ。
今後はカードも増えて、もっといろいろ出来るだろう。
とにかく、これで何とか落ち着ける場所が、確保出来た。
ふと空を見ると、もうかなり陽がおちてきている。
そういう訳で、この場所で夜を過ごす準備をする事にしたのである。




