パーミル帰還Ⅰ
「…知らないテンガイだ…。
…いやいや、それもうやったし!」
ひとりボケツッコミをかましながら、頭が覚醒してくるにつれ、それが見覚えのあるものなのに気付く。
…あれだ、少し前に、俺が寝かされていた部屋のベッドだなここは…。
……
「って、天蓋っ?!」
「きゃあっ!」「ニャアッ!」
俺は突発的にベッドから跳ね起きた。
隣でビックリした声があがる。
横を向くとミールとこの前もいた侍女さんが、驚いた顔をしている。
「あ、あの、失礼いたしました!
ただいま人を呼んで参ります!」
侍女さんは声をあげた事を恥じて顔を赤らめたあと、急いで(かつお上品に)部屋を出ていった。
残ったのはミールだけだ。
「……、目覚めてよかったニャ。」
彼女は心底ほっとした表情を浮かべる。
…えーと、これはどうなったんだ?
記憶を必死に巻き戻す。
確か俺は、パーミル公爵達に襲いかかってきた"アーザンズスポーン"になんとか間に合い、公爵達を待避させたんだよな。
それから"ヒルジャイアント"を呼び出して…。
…あーなんか、【ヒールオール】が一発で全員にかからなかったんだ。
で、慌て【スキルポーション】を連チャンで飲んだら、スッゲー頭が痛くなってきたんだよ!
いやもう、万力で脳ミソを直接締め付けられてるのかと思ったわ!
ん?なんか公爵に叫んだような覚えが…。
…うん、思い出すのはよそう。なんか思い出さない方が、いいよーな気がする!
それから痛みに耐えながら立ち上がって、"アレ"をやったんだ…。
ミールさん(大人)が与えた一撃で、標的を外したが大きくヤツの一部を抉り飛ば
した時、その内部から小さく紅い光が見えた。
なんか見覚えのある光だなと考えて思い出したのは、このパーミル城に隠されていた"アーザンの欠片"だった。
あの時石の間から明滅する、血の様に紅い光にソックリだったのだ。
…あれが"核"かっ!
一発でピンときましたよ。
お約束すぎて、疑う必用も無かった。
で、お約束ならば、アレを身体から引き離せば倒せるとふんだのだ。
まあずいぶん奥の方にあったし?俺だけが飛び込んでも届かなかったりとか、"核"を取り除いても倒せないかも、とか考えての"ヒルジャイアント"だったんだが…。
うーむ、ヤッパあれで『○ッドフィンガー!』は違うだろー!
いや、あんな化け物の体内に、突っ込まなければならなかったんで、メッチャ怖かったんだ。
それを紛らわすのと、気合いを入れるのにとっさに叫んだのだが…、やはり『○リルクラッシャー!』の方が良かっただろうが?
…
……
って、んな事考える場合じゃねー!!
結局どうなったんだっ?
あの化け物は倒せたのか?
パーミル公爵達は無事なのか?
ミールさん(大人)は、どーなったの?
俺はその答えをミールに訊ねようとした。
「…大丈夫ニャ。
キミのお陰で、化け物は滅んだニャ。
もちろん皆、無事ニャーよ。」
ミールが俺の表情を読んで、答えてくれた。
「……良かっったぁぁっ!」
ミールの答えを聞いて、ドッと力が抜ける。
俺はそのまま再び、ベッドに倒れ込んだ。
そんな俺を見て、ミールは小さく微笑んでくれている。
―それから俺が気を失ってからの出来事を、ミールは教えてくれた。
といっても彼女もジェファーソンのオッサンから、帰還後のバタバタの合間に訊いたとの事で、詳しくは訊けなかったらしい。
それで俺が"ヒルジャイアント"によって"アーザンズスポーン"の体内に打ち込まれて、一瞬の間を置いて"アーザンズスポーン"がそれは恐ろしい断末魔の叫びをあげた。
身近で聞いた兵士の数人が気を失うほどというのだから、凄まじい咆哮だったのだろう。
その叫びが途切れると、雪崩のように頂点から肉塊が崩れてきて、あっという間に周囲に少し煙をあげるだけの他には何も無い状態になってしまった。
そしてその中心に、俺が気を失って倒れていたのだそうだ。
俺の右手には、親指の爪位の紅い欠片があった。
この城で見たのと大きさこそ違えど、同じように血の様に紅く明滅していたと、パーミル公爵が言っていたそうだ。
そんでもって、これがかなりヤバかった!
例のミールさん(大人)が血相を変えて皆の中に割り込んできて、俺の手の中にあった"アーザンの欠片"を弾き飛ばした。
―彼女が言うに"アーザンの欠片"は、意識の無い者などが触れていると魂を喰らい始め、"アーザンズスポーン"を形成しだすのだそうだ。
ただ人ひとりの魂程度では"アーザンズスポーン"に成る事は出来ないので、その場合は他の犠牲者を求めて周りの人間を襲い始めるらしい。
どうやらギリで間に合ったらしく、あとちょっと遅ければ俺の右腕に同化し始めるトコだったようだ。
そうなれば、"アーザンの欠片"の侵食が身体全体にまわる前に、腕ごと斬り落とさなければならない事態になっていたとのこと。
…それを聞いて、さすがの俺も青くなった。
右腕をなくして『隻腕の○○』とか、色々なギミックが仕込まれた義手義腕で大活躍!とか、いりませんから!
まあそう言う厨二展開にはならずに済んで、しかしながらどうしても目を覚まさないでいる俺を連れてここパーミル城に戻ってきた次第という訳だ。
ミールの方はというと、俺がパーミル城を飛び出してオッサン達の救出に向かったあと、留守を預かっていたジョシュアさんが気を利かして呼び寄せていてくれたらしい。
―ホント、あの人はこうゆう所、よく気がつくよな!
「ジョシュアさんから色々聞いて、心配したニャーよ?」
ミールはまだ俺を心配そうに覗きこむ。
ミールから顛末の説明を聞いている時から、彼女がなんか元気が無いと思っていた。
…あー、考えてみれば、『大丈夫、すぐ戻る』って言っておいてぜんぜん戻ってこないし、『相棒だ』って言うわりにはほっぽってたよなー(汗)。
オッサン達を救出するのに時間が無かったとか、ヤッパ言い訳になってしまう。
もっと彼女の立場になって考えよう。
…ひとまずここは、彼女に謝らねば。
彼女を抱き締めて詫びるとか一瞬そんな流れがアタマをよぎるが、どこのラブコメ野郎かと俺にはハードル高過ぎるし、第一、ナニ馴れ馴れし過ぎるだろって、自分にツッコミをいれた。
―ここはやはり、アレしかないでしょう!
俺はおもむろにベッドから降りる。
「?、どうしたニャ?」
ミールが怪訝そうな顔をする。
「すっっいませんでしたあぁぁっ!!」
「勇者殿っ!
お気付きになられたかっ?!」
俺がスペシャルスキルのDOGEZAをミールにしたのと、ドバン!とノックもせずドアを開けパーミル公爵一行が息急き切って現れたのが、ほぼ同時だった。
ベッド横の床でDOGEZA状態から、顔だけドアの方を向く俺。
同じくベッド横の椅子に座ったまま、ドアの方を向くミール。
ドアに手をかけたまま、部屋の状況に硬直している公爵。
「……。」
「……。」
「…これはお邪魔だったようだ。…失礼した。」
「ニャ、ニャーッ!
なんでもニャいですっ!
お邪魔じゃニャいですっ!」
おもわずドアを閉じようとしたパーミル公爵に、ネコミミとシッポをピンと立て、慌てて公爵を留めたミールだった。
今回から現状所有の、カードモンスターおよびそのスキルレベルを載せようと思います。
アイテム類は、また追加で後々これも記載するつもりですが、まずはモンスターからです。
記載モレなどありましたら、教えて頂ければ嬉しいです。
順不同です。
☆N
グリーディーウィードLv 5
ブレードフイッシュLv 1
ゴブリンLv 5
ジャイアントバットLv 20
コボルトLv 5
クレイゴーレムLv 1
☆HN
レッサーデーモンLv 10【水魔法/初級】(Lv 6/10)
キラーマンティスLv 18【スラッシュⅠ】(Lv 7/10)
ビーファイターLv 8【チャージ】(Lv 7/10)
シルバーウルフLv 13【ファング】(Lv 4/10)
スケルトンウォリアーLv 9【リジェネートⅠ】(Lv 5/10)
スケルトンウォリアーLv 9【リジェネートⅠ】(Lv 5/10)
アサシンシャドウLv 1【クリティカルⅠ】(Lv 2/10)
ゴブリンシャーマンLv 18【闇魔法/初級】(Lv 5/10)
ブラッディソーンLv 11【バインドⅠ】(Lv 3/10)
キラースパイダーLv 1【バインドⅠ】(Lv 1/10)
☆R
ヒルジャイアントLv 1【スタンプ】(Lv 4/10)【ガードⅠ】(Lv 2/10)
ブラックナイトLv 1【ダークスラッシュⅠ】(Lv 1/10)【火魔法/中級】(Lv 1/15)
☆HR
アルラウネLv 1【パニックボイス】(Lv 5/15)【ヒールⅠ】(Lv 8/10)
フェンサースプライトLv 1【ダブルスラスト】(Lv 7/15)【サイドステップⅡ】(Lv 4/15)【風魔法/中級】(Lv 4/15)
☆SR
☆UR




