ジェファーソン救出Ⅴ
「きゅー!」
―ヂバシィィ!
"フェンサースプライト"の【サンダーⅠ】が炸裂する!
―ビィィィ!
【サンダーⅠ】の魔法に続いて、上空から"ビーファイター"の【チャージ】による急降下突撃が、"ブラックナイト"一体に襲いかかる!
―グワァァ!
よし!一体倒した!
だがそこで残りの六体が、一斉に同じ構えをとった。
―ヴァオッ!
【ダークスラッシュⅠ】だ!…ってぇ、その内の三つが俺を襲う!
「ぐっはぁぁ!」
メッチャ痛ぇぇっ!
肩と腕、それに足をザックリとやられた。
だが自分の痛みにかまっている場合じゃねえ。
攻撃を受けた、カードモンスター達を確認する。
ブラッディソーン HN Lv 11
AT: 2.100/1.400
DT: 3.871/5.900
…えーと、【パワー&ガードⅢ】で五割増しになってたはずだから…
うおっ!5.000近く削られてる!
やはり【パワー&ガードⅢ】がなかったら、一撃でやられているやつがでてくるな。
ちゅーか、集中砲火を受けたら、まずカードモンスターの中で助かる者はいない。
痛いけど、なるべく俺に向かってくれる方が助かる。
ホント、痛いけどねっ!
あとは"キラーマンティス""シルバーウルフ"が一発で瀕死の重傷を負う。
代わりにこの二体によるカウンターぎみに放たれた、【スラッシュⅠ】と【ファング】のスキル攻撃で、二体の"ブラックナイト"を倒した!
"ブラッディソーン"の【バインドⅠ】は抵抗されてしまった。
"ブラッディソーン"には最後のスキルポイント全部を使い、【ヒールⅡ】で全快にする。
"シルバーウルフ""キラーマンティス"は【チェンジ】コマンドで下がらせ、替わりに"アルラウネ""ファイアリザート"を前線に出す。
"レッサーデーモン"の【アイスジャベリン】で更にもう一体の"ブラックナイト"を倒した!
火属性である"ブラックナイト"に、弱点属性の水属性が効いたようだ。
そして"ヒルジャイアント"の【スタンプ】が、発動する。
一体の"ブラックナイト"真上に、オーラで出来た巨大な足が現れ、"ブラックナイト"を踏み潰す!
【スタンプ】には、付随効果があったようだ。
すぐ真横にいたもう一体の"ブラックナイト"が、【スタンプ】による地揺れでよろめいて転倒してしまったのだ。
【スラッシュⅠ】の貫通効果といい、ゲームでは無かった様々な付随効果が、スキルにはまだまだありそうだ。
"ブラックナイト"は、残りあと一体だ!
しかも転倒していて、まだ立ち上がっている最中である。
止めを"アルラウネ""ファイアリザート"に指示して、俺は【アイテム】キーを押して【スキルポーション】を手元に出現させた。
右手に小さな小瓶が現れる。
蓋のコルクを抜いて、中身のトロッとした緑色の液体を一気に飲み干す。
「にっげぇぇっ!」
ヤバイくらい苦い!
昔、罰ゲームで飲んだ、センブリ茶なんかメじゃねーぞコレ!
だがお陰で俺のステータスを見ると、スキルポイントが満タンに復活していた!
―グオォォ!
最後の"ブラックナイト"が、"アルラウネ"と"ファイアリザート"の通常攻撃で倒した!
―よしっ!…さあ、これで"無貌"はどんな行動をとる?
俺はヤツがいる方を見てみる。
「っ!!」
"無貌"がいねぇっ!
俺が見た方向には、所在なさげなフリードとその周りの"スケルトン"だけしかいない!
…ばかな!目を離したのは、ほんの一瞬だったはずだぞ!
―ゾッ!
うなじに強烈な悪寒が走る。
慌て振り向く!
「うわあぁぁっ!!」
すぐ真後ろ、3mも離れていない所に、"無貌"が立っているぅ!
「ひぃやぁぁっ?!」
情けない声と共に、ヤツから距離をとろうと、半ば転がるように退く。
だが同時に"無貌"の指が、さっきと同じ様に振るわれるのが見えた。
「…やば…っ!」
また【カオスサイト/中級】の魔法を使う気だ!
急いでスキルから【パーフェクトガード】を選択する。
「っ?!」
キーを押しても、発動しない?!
―しまった!
1ターンまだ経っていないという事かっ!
―皆、逃げろぉっ!!
そうカードモンスター達に伝えて、手近にいた"アルラウネ"を抱え込んだ瞬間、あの気色の悪い嵐が俺の周りで吹き荒れた!




