俺がカード使いに転生するまでⅡ
このキツネにーちゃんは何を言っているのだろう。
確か俺はミジンコに転生させられるかどうかの瀬戸際にいるはずである。
そんなテンパってる時に、いきなり『アルカナバースト!』の名前がでてくるものだから、たっぷり5秒はフリーズしてしまった。
「…あの、それが何か?」
「その『アルカナバースト!』の世界で、次の人生を生きてみませんか?」
今度は、10秒はフリーズしてしまいました。
「…まぢですか?!って言うか、そんな世界があるんですか?!」
「ええ、というよりはこの『アルカナバースト!』というゲーム自体が、『アレス』世界のいわばパンフレットみたいなものなんです~
この『アレス』という世界なんですが、とあるトラブルから魂の数が激減しましてね~
そこで他の世界から魂を融通してもらうことになったんです~」
「はあ」
「じゃあ、あっちの世界にいってもらい易いように、現世でアピールしようという事になったんですよ~」
どうやって現世にチョッカイをかけたのかとか、いろいろツッコミ所満載だが、とにかく『アルカナバースト!』誕生の、衝撃の裏秘話である。
「で、アナタなんですが、死亡した時点でのキャラクターのレベルで転生が可能なんです
が、いかがですか?」
凄い事をおっしゃいます。
「さっきまでミジンコ級の転生とか言っていたのに、ずいぶんと気前のいい話ですね?」
やはりウマイ話には裏があるように思えてならない。
「はあ、まあそうでしょうねぇ~
実は私たちの【上役】と、この『アレス』世界の【上役】が親類筋でしてね、今回の件では特別に計らうように、お達しがきてるんですよ~」
なんだその【上役】って、神様か?
「あといままでの記憶についても、ちゃんと覚えていけますよ~
ただ、所持品に関しては一切持っていけませんがね~」
「本当に凄い厚待遇ですね」
「ええ、これはアナタのように、死ぬ直前までこのゲームをやりこんでいた方が条件なんです~
それと先着5名までとなっていまして、現在2名の方が既に転生されています~」
先着何名までって、何だか急かされるみたいだ。
やっぱり、何か裏があるように思えてならない。
「どうしますか~?」
かなり悩んだが、どう考えてもミジンコに転生させられるよりはまし、という事が最後の結論に至り、俺はカード使いとして転生することに決めた。