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アルリエータの釈明Ⅰ

今回、まず何でアルシェーナちゃんだけでなく、アルピーニャさん達までやって来た理由というのが―


いざアルシェーナちゃんがこっちに来る準備をしているのを、アルピーニャさん達三人娘が発見。→『シェーナだけズルい!』と言って自分たちも行く準備を始める。→それを見つけたアルリエータさんが止めようとしたが間に合わず。→彼女達だけ行ったらエライ事になりそうと危惧して、結局アルリエータさんも追いかける。

―という事態になったらしい。


またウルティナ様が、会合のため不在中で(留守電になっていたのはそのせい)あった事、アルシェーナちゃんがまったく皆を止めようとする気が無かった(これは絶対確信犯だ!)のも、今回の事に拍車をかけた。


地上に五柱もの従属神が降臨する事は滅多にない事で、ウルティナ様が帰ってきたら大目玉をくらうのは確実らしい。

「うう~、ほんっとにあのコ達と絡むと、ロクな事がないよー。」と、嘆いた事からアルリエータさんが、アルピーニャさん達の尻拭いをよくしている苦労人なのが判った。


―さてここからが問題だ!


アルリエータさんはパーミル城の人達に流れ始めた、『ええー、神様って、こんなヤツらなん?』という雰囲気を払拭すべく、まず弱まった《神威》を張り切ってフルスロットルにした。

これで再び、パーミル城の人達に少し威厳を取り戻す事が出来たが、なんせその直前があんなドタバタコメディーをやらかした後だったので、イマイチ締まりが悪いとアルリエータさんは考えた。


そこでアルリエータさんは、彼らの意識を反らすためと、俺が今後地上の人達のゴタゴタに巻き込まれにくくするためにも、『俺様勇者伝説』を創りだしちゃったのだっ!


「あ、あのねっ!

最初は転生前のゲームでの"キミ"を、何とかこっちの世界に当てはめて説明するだけのつもりだったの!」

―だがそれが迷走の始まりだった。


ゲーム『アルカナバースト!』は、このアレスの世界で何百年(もしかしたら何千年)も前に起こった事件を元に、イベントを作っている事が判明している。

当時も俺の様なカードマスターが活躍していたのかは不明だが、とにかく多くの英雄達が、世界を揺るがすような事件を次々に解決していたようだ。


この時代は、今のパーミルの人達にとっては神話の時代の話で、実際、幾つかはお伽噺として語り継がれているらしい。


んでもって俺という存在は、『はるか遠い国からやって来た』というのは方便で、実は『神々によって神話の時代より連れて来られた』者のひとり、という設定にしちゃったのだ!(どどーん!)


アルリエータさんは、とりあえずここまでの設定を急ぎその場で考えた。

だがパーミル城の人達から『何でそんな人間が、この時代に連れて来られたんだ?』という質問があがった。

アルリエータさんは、まだそこまで考えていなかった。


アルリエータさんが答えられず、必死で設定を考えている内に、なんとパーミルの人達がその沈黙を勝手に解釈し始めたのだ!


―以下、アルリエータさんの証言を元に、当時を再現してお送りします。


(魔法使い風の男1)『名前は解りませぬが神話の時代に、今の神々と対立する神が復活しかけ、大災害が起こったという伝承を聞いた事がありますな。』

(大臣風の男1)『おお!ではそれが、此度のアーザンとかいう神の事かっ!』

(大臣風の男2)『まさかな…。

子供の頃に寝物語として聞いていたものの幾つかが、実在の事だったとは…。』

(武官風の男1)『では此度の件も、あのモンスター使い殿が解決されるために遣わされたのか?』

(大神官さん)『…おそらくそうであろう。

御使い様が沈黙されておられるのが、その証拠であると私は考える。』

(大臣風の男2)『大司祭様、どういう事ですか?』

(大神官さん)『うむ、神々というのは、我ら地上の事柄にあまり直接干渉してはならぬという不問律があるのだ。』

(武官風の男2)『では御使い様が、いま黙っておられるのは…』

(大神官さん)『うむ、"これ以上は干渉に値する故、察せよ"という事ではないだろうか。』

(家臣団)『『『おおっ!』』』


この間、アルリエータさんは斜め上に急変する事態に追い付けず、だがこのまま勝手に解釈してくれれば上手い事なるんじゃないかと考えてしまった。

それが更なる馬鹿げた事態に発展するとは、思いもよらずに…。


(セレアル姫)『叔父様、どうなされたのですか?そんなに考えこまれて。』

(パーミル公爵)『あ、ああ、いや彼は何の使命をもって、我らの時代に呼ばれたのだろうかと考えていたのだ。』

(セレアル姫)『?、今回のアーザンについて、ではありませんの?』

(パーミル公爵)『それだけで、はたして遥か(いにしえ)より人を呼び寄せるだろうか?

此度の事だけなら、我らだけでも対処出来るはずだ。』

(魔法使い風の男2)『っ!

では公爵様は、他にもかような太古の事柄に起因する事件が、まだ起こり得るとお考えでっ?!』

(パーミル公爵)『うむ!

此度の事もそうだが、かような遥か大昔の事件を詳しく知り得ている者は、例え長命なエルフといえどももうおらぬだろう。』

(大臣風の男2)『確かに…。』

(パーミル公爵)『そこで神々は古から当時の勇士を召喚し、これよる起こるであろう様々な災厄に立ち向かわせようとしているのではないかっ?!』

(魔法使い風の男2)『そういえばウルティナ様は、時を司る神でもあったはず!

つまりこれから起こり得る災厄を預言されて…!』

(パーミル公爵)『なんという事だ…。

これは神話の時代が、再びやってくると言うのかっ!

そして彼は、それに立ち向かうべき英雄…いや!勇者殿であるという事かっ!!』

(一同)『『『おおおおおおぉぉぉっ!!!』』』


―はいっっ!!

ボク死にましたあぁぁっっ!!

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