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パーミル城一室にてⅡ

パーミルの人達がしていた表情が、アルキエラさんがミレトの森で帰ったあと、バルストさん達が見せた表情とおんなじだったのだ。


パーミル公爵だけは立っているが、セレアル姫以下家臣団の人達(ジョシュアさんも含む)は胸に手をあて、片膝をつき頭を垂れている。

あ、ネスフさんは更にその後ろ、ドア横で苦笑しながら立っていた。


「ちょっとおぉぉ!

そんなの止めて下さいよっ!

俺はそんなにエライ人じゃあないですってば!」

俺はベッドから飛び降りて、必死に彼らに止めてもらうよう説得する。

だが家臣の方々は、畏まって態度を改めようとはしなかった。

―くっ!これはまた俺のDOGEZA を炸裂させるしかないか…!


そう思い始めたとき、パーミル公爵がまたトンでもない事をほざいた!

「何を言われるか!未来の勇者殿よ!

御使いの方から、お伺いいたしもうした…。

まさか我らが、かくの如き新しき神話の時代に立ち会えるとはっ!

儂はいま、年甲斐もなく感動と興奮にうち震えておりますぞぉっ!」


――うおおおおおぉぉぉぉいっっ?!

なんじゃ、そりゃああああぁぁぁっ?!


勇者?神話?ってなんやネンッ?!

御使いって、アルシェーナちゃん達の事だよね?

いったい彼女達は、何をほざいたんだっ?!

つか、コレ絶対アルシェーナちゃんの嫌がらせですよねぇぇぇっ!

ガックリとなって、おもわずorzのポーズをとってしまう。


「おお!いかん!

勇者殿はまだ回復しておらぬようだ。

皆の者、勇者殿に何かあってはいかん!

ここは勇者殿に、この城にてゆっくりと養生してもらおうではないか!」

「「「ははっ!」」」

家臣団の人達が入ってきた時と逆に、一斉に退室してゆく。


最後にパーミル公爵が部屋を出るとき、こちらをふり向いた。

「勇者殿よ。

まことに申し訳なかった。

貴殿を使い神々と(よしみ)を計ろうとは、愚の極みであった。

もし叶うならウルティナ様に、儂の愚行を詫びておいて欲しいのだ。

…本来なら儂自身、頭を下げにリファーレンにある大神殿行きたいくらいのだが…。」


「…いやー、ウルティナ様はそんな事気にしないと思うんですけど…

ってゆうか、アルシェーナちゃんに、あんだけされる必要はなかったすよ!」

精神的ダメージから少し立ち直って、公爵に答える。

パーミル公爵は、ちょっと気が楽になってくれたのだろうか、ほっとしたようだった。


「そ、そうでしたか…。

む、いかん、長話をしてしまった!

勇者殿には、ゆっくりとしてもらわねば!」

「いや、あの…」

「これ!勇者殿が不自由なく過ごせるよう頼むぞ!

くれぐれも粗相のないようにな!」

「「「かしこまりました!」」」

先ほどの侍女さんとあと二人が部屋に入ってくる。


「さあ、勇者さま、ベッドにてお休み下さいませ。」

「ちょ、あの…」

「勇者さま、何か必要な物がありましたら、仰って下さいませ。」

「はあ、いやあの…」

「勇者さま、何なりと申し付け下さい、どの様な事でも致しますわ。」

「…だったら、お願いですから『勇者』は止めて下さい…(泣)」


だが侍女さん達は、決して止める事はなかった。

彼女達の俺を見る瞳はキラキラと輝いていた。

たぶんアイドルの人達も、こんな風に見られているに違いない…。

とにかく何かと世話を焼こうする侍女さん達に、ひとりにして欲しいと何とか頼みこんで部屋から出てもらった。

―ただベッドの横にあるテーブルには鈴が置かれ、チリンと鳴らすと侍女さんがやって来る事になっている。

テーブルにぶつかって、誤って鳴らしてしまっても飛んでやってきそうな気がするので、なるべくテーブルには近づかないようにしている。


カードモンスター達は、皆【カード一覧】に戻した。

屋上にいるヤツラや廊下にいる"レッサーデーモン"なんぞは、衛兵さん達をビビらすだけだし、"アルラウネ"と"フェンサースプライト"に至っては、ヒマをもて余して部屋で遊び始め、超高級品であろう花瓶やなんやらを危なく割ってしまうとこだったのだ!


―さてと!

俺が気を失っている間に、ナニをやらかしてくれたのか、問い詰めないとねー!

もちろん相手は、アルシェーナちゃんだ!


【メニュー】から【フレンド一覧】を選択、開ける。

ん?おお?

アルピーニャさん達も登録出来てる!

えー?あーそういや、気を失う直前にアルピーニャさんが、登録しろと叫んでいたような気がする。

え?気を失って無意識でもOKしていたら、登録出来るの?

それとも神様連中は、なんかまだ俺の知らない裏技でもあるのか?


…まあその辺はどーでもいいや、また後でアルピーニャさん達にでも訊いてみよう。

とにかく【アルシェーナ】ちゃんのキーに触れる。


ツーツーツー

「(鼻を摘まんでしゃべっているように)コノ回線ハ・タダイマ・使ワレテ・オリマセン

モウ一度・オ確カメノウエ・ゴ連絡下サイ。

チューカ・モウカケテ・クルナ。」

「…ぅおい。」

「…ちっ!

なによ、ぜんぜんひっかからないじゃない!

こうしたら、騙されるって聞いてたのに!」

「誰だっ!んな入知恵したヤツは!

つか、よくこんな日本の古典的なの知ってたな!」


もうどっからツッコんだらいいか、判らんわっ!

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