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パーミル城一室にてⅠ

"フレンド登録"は額をくっつけ合って、お互いが登録の意思を念ずるだけで完了だ。

アルファニールちゃんもそのつもりなのだろう。

しかしアルファニールちゃんは、ちみっ娘でもある。

彼女の頭部は、俺の胸の辺りまでしかない。

そのため彼女の額と俺の額をくっつけ合おうとすると、どうしても高さが合わない。


「ちょっ!待って、しゃがむから…って、むほぉっー!」

元気娘のアルファニールちゃんは、飛びかかるように俺の首にかぶり付き、そのまま俺の身体をよじ登ろうとした。


当然、彼女とは抱き合う形になり、かなり密着する状態になり…、つまる所、彼女の豊かな胸部が俺と大密着してしまうのだ!

彼女達が着ている法衣のようなものは、かなりゆったりした造りになっているのだが、その生地が素晴らしく柔らかいのだ。

そのためアルファニールちゃんがムニムニとなると、その触感がひじょーにダイレクトに伝わってくるのだうひょー!

「ちょっと、ヘンに動かないでよー!うまく登れないじゃない!」

アルファニールちゃんがジタバタするから、よけいにムニュムニュッとなる。


―このままでは俺の理性、つーか下半身がヤバい事になるぅ!

俺もしゃがめばいいものをテンパってしまい、おもわず彼女の足を掴んで持ち上げようとしてしまう。

だが、ジタバタする彼女の足を上手くとらえる事が出来ず、も少し上の方に手がいってしまう。


…具体的には、彼女のスカートの中にだ。


「ひゃあぁーん!

そこは…」

「どこ触ってんのよ、アンタはっー!」

「いや、不可抗力だっ…ぐえぇー!」


アルファニールちゃんが色っぽい声をあげると同時に、背後からアルシェーナちゃんが俺に飛びかかってきた。

そして後ろから首を絞めてくる!


前にアルファニールちゃん、後ろにアルシェーナちゃんとチビっ娘美少女のサンドイッチです!

そして具は俺です!

ありがとうございます!

「―みたいな事、考えてんでしょっ!」

なんで解るんだ、この子はっ!


だが今回はヤバい。

首が完全にキマってしまっている。

「ちょ…!待っ…まじ苦し…!」

俺はギブアップを伝えようと、必死で背後のアルシェーナちゃんにタップした。

…よく考えてみれば、"タップ"なんぞこの世界の人達に伝わるはずないのだが、その時はもう苦しくて必死だったのだ。


で、何が言いたいかというと、俺はアルシェーナちゃんの背中をタップしようとして、それがも少し下の方になってしまったのだ。


…具体的には、彼女のスカートの中にだ。


「ぎゃー!!

どこ触ってんのよっ!この婬獣魔王がっ!」

その瞬間、更に首が絞まり、自分の意識が遠退いていくのが判った。


「ちょっと!シェーナ、やり過ぎよっ!」というアルリエータさんの声と、「あ、やば…」というアルシェーナちゃんの少し焦った声が、薄れゆく意識の中で聞こえた。

「ああー!待って待ってよー!

登録!フレンド登録してからにして…」

最後にアルファニールちゃんの声を耳元に聞きながら、俺は意識を失った。


―はいはい、どうぞお好きに登録してくださいな…。


目を覚ましたとき、俺は今までこんなので眠った事の無いような、ふーかふっかのベッドで寝かされいた。

しかも天蓋付だ。

天蓋付ベッドなんか、TVでしか見た事ねーし。


「知らないテンガイだ…」

どこぞのアニメのパロディを呟いてみる。

「って、天蓋っ?!」

ここでやっと目が覚め、ベッドから跳ね起きる。


「きゃっ!」

ベッドの横に立っていた、侍女さんらしき人と目が合う。

「あ…そ、そのままご安静になって下さい。

いまお呼びしてまいります!」

侍女さんが、急いでドアから出ていく。


「るー!」「きゅー!」

"アルラウネ"と"フェンサースプライト"が、ベッドの足元から飛びついてきた。

彼女達からすぐさま現況の情報が伝わってくる。


―俺が気を失ってから、約1時間ほど経過しており、ここはパーミル城内の一室のようだ。

俺んちの全ての部屋を足しても足りない位の広さがあり、調度品はどっかの美術館にでも飾られているようなモノが品良く配置されている。


カードモンスター達は、今回は暴走はしなかったようで、一安心した。

デカブツ達は、屋上の広場に衛兵さん達にビビられつつ大人しく待機しており、"レッサーデーモン"がこの部屋の外で待機中で、この部屋には"アルラウネ"と"フェンサースプライト"だけである。


…まあこの待遇なら、犯罪者の一味扱いという事にはなってないよな…。

現状を確認してそう結論づけ、一先ずほっとする。

これならミール達が、被害を被る事は無さそうだ。

…だが逆にこの部屋の豪奢さに、一抹の不安がよぎる。


そんな不安を漠然と感じているとき、扉が開かれパーミル公爵以下の先に屋上にいた面々が、一斉にこの部屋に入ってきた。

「おお!お加減はいかがですかな?」


公爵の丁寧な言葉使いに、更に不安が強まる。

「あ、はい、ありがとうございます。

もう大丈夫です。」

そう返事を返しつつ、公爵の後ろに控えている家臣達の表情を見る。


―オイオイ、彼らのあの顔つきには、覚えがありますよー。


俺の返事を聞いてパーミル公爵は、ひとつ後ろの人達に向かって頷く。

それを合図に、皆が一斉に俺に対して跪ずいた!


―ぎゃー!やっぱりだっ!!

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