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降臨Ⅰ

「ったく!

キエラお姉様、ウルティナ様ときたら、私しかいないじゃない。

それも判らないほどバカなの?

やっぱり死んだら?」


「そんなバカに、何で私が待たされなきゃいけないワケ?

やっぱり死んだら?」


「でたらでたで、なんか言いなさいよ!

私ばかり喋らす気なの?

やっぱり死んだら?」


「…スンマセン。

サブミナルみたいに『死んだら』繰り返されると、地味に凹むんで許して下さい…。」


俺がマジで凹んでいるのが判ったのだろう、すこしアルシェーナちゃんは気を良くしたような声色になった。(マジ怖いわ、このコ!)

「ふん!まあ許してあげない事もないかもしれないわ!」(←え?コレ許してる?)


「それよりこっちはアンタの事モニターしていたから、説明はいらないわ。

すこし待ってなさい!」

「えっ!アルシェーナちゃん、来てくれるのっ?!」

「あぁ?(←発音的には『あ』に濁音がつきます)

私が行くのが、そんなに意外だって言うの?(怒)」

「いえぇっっ!そんな事ないっす!

めちゃめちゃ光栄っすぅっ!」


チラリと周囲に目をむける。

顧客のクレーム電話に対応するサラリーマンの如く、何も無い所に向かってペコペコする俺を、彼らは実に不思議そうな表情でみていた…。


「…言っておくケド!

アンタの為や、ミールとかいう子の為でもないからねっ!」

「へっ?」

「アンタが今ここで、捕まったり、変なトコに逃げられると、キエラお姉様が困るからよっ!」

「はあ。」

なんだかツンデレっぽく言われたが、もちろんデレは無いだろうし、彼女が言った言葉もそれ以上の意味を含んでなどなく、そのまんまの意味なのだろう。


何でアルシェーナちゃんがモニターしてたかとか、地上の事柄には不介入のはずだったのに何で助けてくれるのかとか、俺を助ける事が何でアルキエラさんのためになるのかとか、

もー色々訊きたい事は山程あるのだが、コワイのであえてスルーしました。


「ザ…ザザッ…というワケだから、もうちょっと待ってなさい…」

「あ、また雑音が入ったっすね…」

「ちっ!それもそっちに行く理由のひとつよ!

…誰にケンカ売ったか思い知らしてやるわ!」

そう言ってアルシェーナちゃんは【フレンド会話】を打ち切った。


ひとまず大きく息を吐く。

最後に何だか物騒な事を言ってたような気がするが、まあこれで何とかなるはずだ。

横を向くと、期待に満ちた顔をした面々がいた。

「えーと、前に降臨された方ではないのですが、来てくれるそうです。」

「「「おおおっ!」」」


歓声をあげるなかで、それをさえぎるかのように、バンドゥの声が響きわたる。

「ばかなっ!

そんな事があるはずないっ!」


バンドゥの叫びに歓声が途切れ、皆一斉にヤツの方を見る。

バンドゥは血の気の引いた顔で、俺を睨んでいた。

「皆さん!

騙されてはいけません!

こいつは有りもしない一人芝居をしているだけなのです!

こいつはただ時間稼ぎをして、逃げ出す算段を考えているだけなのです!」


それに対して恐ろしく凍てついた声で、ネスフさんが応える。

「ではバンドゥ殿、彼が逃げ出さないように、私が暫し彼を見張っていようではないか。

しばらくして何も起こらなければ、貴方の言う事が正しいか判るだろう?」


普段ならネスフさんのこんな声に震え上がっていただろう(対象外の俺でも恐かった)が、血の気の引いた顔から今度は真っ赤な顔でコーフンしたバンドゥは、それさえ判らなくなっていたようだ。

「ぶ、ぶ部外者は黙っていてもらおう!

こんな茶番に付き合う必要は無い!

誰かっ!誰か衛兵を呼べっ!

こいつを拘束するんだ!」


だがそれに応える者は誰もおらず、家臣団の方々も『どうしたんだコイツ?』といった訝しげな顔でバンドゥを眺めている。


「バンドゥよ。どうしたと言うのだ。

ネサファーレン殿の言う通りではないか。

何をそんなに焦っておる?」

パーミル公爵も訝しげにバンドゥに訊ねる。


「っ!

な、何も焦ってなどおりませぬ!

し、しかし申し訳ございません。

私め、少々興奮し過ぎて、体調を崩してしまったようです。

公務の途中ですが、これにて失礼させて頂きます!」

そう言うと、バンドゥは公爵の返事も待たず下へと続く階段の方へ半ば走るように向かいだした。


しかしバンドゥが進もうとした先に、突如光の柱が立ちはだかった!


―ドゥガァァッ!


光の柱が現れた所を中心に猛烈な風が巻きおこり、激しい砂ぼこりが俺も含めた皆を襲う!


「うわぁ!」「ひぃぃー!」「何だっ?」「こ、公爵様っ!こちらへっ!」

周囲がパニック状態になっている所に、光の柱から小さな人影が現れてきた。


ミーシャちゃんと同じ位の年格好、濃い茶色の髪とその頭には不釣り合いな程大きな三角のケモノミミ、シッポも茶色で彼女の1/3はあるだろうか。

―もちろんその子とは、リスっ娘&毒舌チビっ娘のアルシェーナちゃんだった!


従属神アルシェーナ(降臨Ver. ) Lv 132

(ウルティナサーバント/神族/光属性)

AT: 181.000/181.000(+25.500)

DT: 192.400/192.400(+38.000)

スキル:【神威魔法/初級】【ウルティナシフト/初級】


―アルキエラさんの時とは異なり、おっそろしく攻撃的な降臨でしたよ!

もうレーザー爆撃かっつーの!


しかしコレだけでは終わらなかった。


―コオォォッ!

―キュウゥゥ!

―カアァァッ!

―サアァァッ!


俺を中心とするように、四方から新たに四本の光の柱が、天空から降りてきたのだ!

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