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姫様と勝負Ⅰ

「イヤっす!」

「なっ?!」


即答しました。

ドリルお嬢様は、まさかキョヒられるとは思ってもいなかったようで、目を白黒させている。


…いやだってそうでしょう!

なんで俺がこんなわがままドリルに、付き合わなければならないワケ?

それにどんな勝負をするのか知らないけど、勝てば恨まれれるし、負けてたらかさにきてギャーギャー言われるに違いない。

全然、俺にメリットないじゃん!

つーか、何であの流れから勝負事になっちゃうの?


「何を言ってますのっ?

拒もうなら、便宜など計らわないと思いなさい!」

「あ、便宜とか、別にいいっす。」

「へ?」

わはは!お嬢様が目が点になってるよ!


実際、別に便宜を計ってもらわなくてもいいのだ。

まあしてくれるなら、ラッキーと思っていた程度だったし。


「ふ、ふん!

わたくしと戦うのが、恐ろしくなったようですのねっ!

とんだ英雄サマですことっ!」

「いえ、俺は全然英雄行為なんかしてませんし。

ええもう、お嬢様と戦うのは恐いっす!」

戦うって、こんな貴族のお嬢様を傷つけたら、それこそ何されるか判らんやん。


「な、なっ?!

あ、あなた、それでは、わたくしの不戦勝となっても宜しいとおっしゃるのっ?

「もちろんっす!

お嬢様と戦うなんて畏れ多くて(テヘ!)。」

「ムキー!」


お嬢様は地団駄を踏まんばかりに、顔を真っ赤にしている。

おそらく、このコは今までNOと言われた事が無いんじゃないだろうか。

ちなみに公爵様以下の方々は、俺と彼女のやり取りをポカーンと見ている。


「…あ、あなた、わたくしに逆らえばどうなると、お思いですの?」

「どうなるすか?」

「え?」

「いや、俺のいた所は、貴族の方とか殆どいない所だったんで、いまいち解ってないんすよ。

ですから、逆らうとどうなるか教えてもらえますっすか?」

「そ、それは、叔父様が…」

「あ、つまりお嬢様が、じゃなくて公爵様が、つう事っすね!」

「っ!」

ドリルお嬢様の顔色が変わる。


やはり自分でも親の七光り、ではなく叔父の七光りなのを気にしていたようだ。

おそらく今回の賊退治も、自分自身の力でここまでやれると証明したかったのじゃあないだろうか。


フフフ、そこまで読んでおいて、彼女にあーゆー質問をするとは…、俺もワルよのう。

…いや、彼女、実に予想しやすい反応するもんだから、おもわず、いぢめたくなっちゃうんだよねー!


まあ彼女が涙目になりながら、こっちを睨んでいる内に、一応ピコーンと立ったフラグの内容を確認しておこう。

まあ選択は、"NO"を選ぶつもりだけどね…


イベント名:【セレアル姫との腕試し】

イベント発生条件:

セレアル姫から勝負を申し入れられる。

イベント内容:

姫とその騎士団とのバトルをしろ!

成功条件:

バトルを終了すること

イベント期間:

受付終了まであと18分

イベントボス:

セレアル姫 Lv 13

(フェンサー/ヒューマン/女/火属性)

AT: 1.470/1.470(+1.750)

DT: 2.590/2.590(+2.500)

スキル:【ダブルスラスト】

達成報酬:

経験値 +100

晶貨 +500G

【スキルポーション】 × 3

【ノーマル召喚チケット】× 3

特別報酬:

【強化カード(N)】× 2

※報酬条件:セレアル姫のチームに勝利した場合


《EVENT START? YES / NO 》


んんー?

なんか見覚えのある、イベントだなー。

……

おおー!

コレ、『アルカナバースト!』の一番最初のチュートリアルに出てきたのにそっくりだ!

たしかイベント名が…【イベント回想】を見てみればと…あった!

【冒険者ギルドの腕試し】、これだ!

内容はイベントの受け取り方やバトルの方法を、『冒険者ギルドに入るのに、お前の実力を見せろ』という話の流れのなかで説明してくれるものだった。

…うん、報酬なんかは、全く同じだし、中身も"冒険者ギルド"が"セレアル姫"に代わっているだけだ。


「…ちょっとおっ!

聞いていますの?!」

「あ、ごめん。聞いて無かったわ。」

「なあんですってっ!」

「姫様、お気を鎮めて下さい。」


ドリル姫様のあまりのコーフンぶりに、お付きのダークエルフさんが介抱しにきた。

彼女も今まで呆気にとられていたが、ようやく我にかえったようだ。


その時、何気なく彼女のステータス詳細を見てしまう。


「姫様っ!

やっぱり勝負致しましょう!」

「え?」


「…ちょっと、いったいどうゆう風の吹き回しですの?」

「いやー、やはり姫様のお言葉には、叶わないなーと思いまして…。」

「…胡散臭いですわ…。」

ドリル姫様は、完全に疑っている。

まあそりゃそうだよな。

実際、おれは姫様にビビって勝負するわけではない。


その説明は後にして、いまは謁見の広間から場所を移している。

パーミル公爵以下、ジョシュアさんやネスフさん、家臣団の方々も一所だ。


ここはパーミル城の屋上とも言うべき、あの巨大な岩石の一番てっぺんに来ている。

ジョシュアさんが、『空中庭園』と言っていた所だ。


パーミル城は、大まかに言えば楕円状の三角錐をひっくり返した形をしている。

その為、上にあがるにつれ、広くなっていく構造をしている。

つまりこの屋上部分が、一番広い訳だ。


階段を登って、ここに出たときはおもわず感嘆の声をあげてしまった。

なにせパーミル城下から、さらにはるか遠方まで一望出来るのだ。

カードモンスター達の視点を借りて見る事もあるが、やはり自分の目で眺めるのは一味違うねっ!


さてこの屋上の『空中庭園』だが、"庭園"というだけあって、全体の約半分がよく手入れされた庭になっており、地球で見た事のないような花が咲き誇っていた。


そして残り半分に幾つかの建造物があるが、中央は大きくグランドになっている。

広さは、先の謁見の間ぐらいは優にある。

有事の際には、ここが"ワイバーンライダー"などの空挺部隊の駐機場になるのだそうだ。


だが今は一機もおらず、俺達とそれに向こう側に11人の集団がいる。

彼らと姫様、それにダークエルフさんが、俺の対戦相手だ。


ドリル姫の言っていた"勝負"とは、かなり実戦的なバトルになりそうだ…。

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