蔦と蜘蛛の新入り
まずは今までの"アングルアイビー"を"グリーディウィード"でLv 20にする。
そして今回手に入れた"アングルアイビー"を【合成】、これまた"グリーディウィード"でLv 20にする。
そして二体のLv 20"アングルアイビー"を【進化】と…
ブラッディソーン HN Lv 1
(植物族/火属性/cost 12)
AT: 400/400
DT: 1.600/1.600
スキル:【バインドⅠ】
あとは残りの"グリーディウィード"を全て【合成】に
使う。
ブラッディソーン HN Lv 11
(植物族/火属性/cost12 )
AT:1.400/1.400
DT: 5.900/5.900
スキル:【バインドⅠ】
うむ、防御モンスターとして、更に磨きがかかった感じだな。
またコイツのスキル【バインドⅠ】はスキルが成功すると、対象敵モンスターを一定ターンの間行動不能にさせる。
一見【闇魔法/初級】にある【スリープ】と同じような効果に思えるが、【バインドⅠ】は攻撃を加えても行動不能が解ける事はない。(まあその分、対象にかかる確率が【スリープ】に比べて低いのだが)
またこのスキルは、ランクがⅠ→Ⅱ→Ⅲと上がるごとに対象人数も上昇するので、ぜひ早い内にランクアップさせたいスキルだ。
さてお次は"ヒュージスパイダー"を【進化】させたい。
前の残りと今回の"ヒュージスパイダー"と"ヒュージキャタピラー"を全て使えば、なんとかLv 20までもっていけるはずだ。
…よし、ギリでLv 20までいけた。
では先日Lv 20ヤツと【進化】させよう。
キラースパイダー HN Lv 1
(甲虫族/風属性/cost 11)
AT:1.000/1.000
DT: 850/850
スキル:【バインドⅠ】
奇しくも、コイツも同じスキル持ちだな。
コイツはまだLv 1でまだ【合成】できるカードも無いので、相手カードが手に入り次第レベルアップさせたいな。
両者とも実体化させてみたいが、なにせ部屋が狭い。
コイツらを呼び出したら、間違いなくオッサンを踏みつける事になるので(笑)、外で呼び出してみよう。
俺はコッソリと音を立てずにドアを開け、先程身体を洗わさせてもらった裏庭の方へ向かった。
オッサンと随分長話をしてしまった様で、夜もとっぷりと更けてしまっている。
周りの家々を見ても、明かりが付いている家は見当たらない。
見苦しいカーソルも、今は全く動く様子はない。
お陰で誰かに見られる心配は無さそうだ。
まずは"ブラッディソーン"だ。
…おお、"アングルアイビー"に比べて茎?の長さが5割増しくらいに長くなったので、全体も二回りは大きく見える(太さはあんまり変わらないな)。
そしてそれ以上に変わったのが、茎?の色だ。
まるで金属の様に黒々としており、触ってみると本当に鉄の様に硬い触感だ。
防御値5.900は、ダテではないな。
そして一番目立つのは、真っ赤な鋭いトゲがズラリと生えている所だ。
しかも一つ一つが短剣位のデカさをしている。
こんなのにシバかれたら、痛いどころじゃあないな。
次に"キラースパイダー"を呼び出してみる。
…うーむ、まず大きさが"ヒュージスパイダー"に比べて一回り大きくなり、小型自動車並みの大きさになった。
この大きさなら、コイツに乗って移動するのも可能だな。
あと身体を脚先まで全て、濃い緑色をした装甲で覆っており、こちらもなかなか硬そうだ。
色合いから、まるで自衛隊の装甲車輌を彷彿とさせる。
"ヒュージスパイダー"が、いかにも蜘蛛を大きくしたようなのに対して、コイツはちょっとメカっぽくてカッコいい。
「ニャ~!また新しいコニャね?」
背後から声がしたので、ビックリした。
振り返るとミールが、二体の新しいカードモンスターを見上げていた。
最近は背後の状況を"アルラウネ"なんかのカードモンスターに任せっきりにしていたので、すっかり油断してしまっていた。
どうやら彼女は、(珍しい事に)あまり寝付けられずにいた所を、俺とオッサンの部屋から人が出た気配がしたので、少ししてから後を追ってきたようだ。
俺は、先の戦いで手にいれたカードモンスターを元に、【進化】させた新入りだと紹介した。
ミールには大まかだが、カードマスターのシステムについて説明してある。
「そうだったニャか。
これからもよろしくニャ!」
― (^o^)/
って、お前は【進化】しても同じようにするのねっ!
"キラースパイダー"は前脚を使って、ビシィッ!と敬礼をした。
…どうやら甲虫族は、軍人気質のヤツが多いようだ。
「あー、コホン。」
「……」
「……」
「……」
…き、気まずい。
さっきの"保体の授業"のせいで、気まずいったらないわー。
こんな事なら、止めとけばよかった!
チラリと横目でミールを見てみると、彼女の頬がうっすら赤くなってるのがわかる。
…いかん!間がもたねぇ!
なんか話題を探さねばっ!
「あ、あー、お?おおっ!
星空、すっげー!」
何かないかと周囲を見回して、最後に上空を見上げて思わず感嘆の声をあげてしまった。
そこにあったのは、夜空の暗闇の部分よりも多い星の数だ。
森の中でも、木々の間から夜空を見上げて星々の多さに驚いていたが、今は遮る物もない一面の星空だ!
「そんなに凄いニャか?」
ミールは不思議そうに訊ねてきた。
田舎のじーちゃんトコも大概星がよく見えたが、さすが異世界だわ、こんな星の数は地球上では見れないな。
先程からミールやモンスター達が明かりも無いのによく見えるのは、この星明りのせいだったと今更ながら気付いた。
ミールには、俺のいた所は夜でも明かりが一晩中ついていて、星明りがかき消されるんだと説明した。
「ふーん、あ、央都がそんなだって、お父さんがいってたニャ!
じゃあキミのトコも、ずいぶん都会だったニャーのね!」
うーん、俺のいた街が都会と言われると、何となく納得出来ないが(普通に田んぼがあちこちあったし)、まあそれを説明すると余計ミールを混乱させるだろう。
ただでさえ、今までの中途半端な説明で、俺のいた所は半ば人外魔境みたいな事になってるしな。
気が付くと、先程までの気まずさは無くなって、普通にミールと喋っていた。
その事にミールも気付いたようだった。
「ニャ、ニャハハハ。」
お互いの顔を見合って、苦笑する。
「明日も早いし、そろそろ寝るニャ!」
俺も頷いて、ミールと一緒に家の中に入った。
オッサンの寝ている部屋に戻り、横になって目を閉じる。
目を閉じれば、さすがにウザいカーソルは見えなくなった。
久しぶりの(転生前の)ベッドの柔らかさに、俺はすぐ眠ってしまった。