相棒の情報?
きたっ!!きましたよぉー!
『唯一無二』で『強力な』『プラチナドラゴン』しょっ?
コレ間違いないっしょっ!
そうだっ!フラグはっ?フラグは立っていないかっ?
…ちっ!立っていないか…。
イベントフラグが立てば間違いないと思うんだがなー。
くっそー!【天輝竜】(かもしれない)の情報がこんなに早く手に入るとは思わなかったっ!
ネスフさんの"歴史授業"を聞いているうちに、俺の知っていたゲーム知識が、この時代ではずいぶん変遷してしまっているのが判った。
特に地理的なモノはかなり変わってしまっているようで、【天輝竜】を探すために俺が候補に考えていた所は、まだ存在しているのかさえ判らない状態だ。
だから相棒を探すのは、一度知っている事を白紙の状態にして、最初の情報収集からしなくちゃいけないと、覚悟を決めていた所だったのになっ!
しかしエライとこにいたモンだなっ!(←すでに決めつけ)
普通に考えれば【天輝竜】をカードにしちゃうって事は、国防上の最重要なモノを盗っちゃうってコトだよね…。
…うん、間違いなく大犯罪だわ(笑)。
『アイツは元々、俺の相棒だぁー!』って主張しても、鼻で笑われるのがオチな気がビンビンするし。
例えば替わりのドラゴンをあてがうとか…
うーむ、どう考えても難易度バカ高いわー。
「おーい、どうかしたニャ?」
ハッと気がつくと、ミールとネスフさん…うわっ、それだけでなくて、バルストさん達全員が、俺を見て立ち止まっているよ。
「え?あの…俺どうかしてた?」
それにネスフさんが答える。
「いえ、あなたが急に考えこむように立ち止まってしまったのでね…
呼び掛けても返事もしませんし、もしかしたらまたウルティナ様と交信されているのかと…」
おわっー、スイマセンー!
かんぜんっに自分の世界に入っていたよ!
俺は慌て何でも無いことを皆に伝える。
ジェファーソンのオッサンが、『またケモノねーちゃんの妄想ででも浸ってたんだろ!』とガハハと笑いながら再び歩き始める。
それを聞いて今までの俺の前科を皆よく解ってらっしゃるようで、バルストさん以下の皆も苦笑しながら進み始める。
「…ホントに妄想してたニャ?」
「してません!」
ネスフさんも笑っている。
「…"光"の王国『ランセルフ』は央都の北にあります。
クリスタルの影響なのか、雪がよく降るが美しい国と聞いています。」
おおー!雪国かー。
「雪っ?ウチ、まだ雪見たことないニャー!」
ミールがネコミミをピコピコしながら、興味深げに"雪"についてネスフさんに訊いている。
二人の会話を聞いているとどうやらこの辺りの森は、常夏とまでいかないが、冬になっても雪が降るほどにはならないらしい。
…と、とにかく【天輝竜】の前にミールの事を解決せねば。
まあアイツは逃げはしないだろうし、いま俺がランセルフだっけ?に行ってもどうにもならないだろうしな。
それまでにもっと情報を集めて、もっと強いカードモンスターも揃えないと。
「おや、どうやらモンスターのようですね。」
ネスフさんの顔が引き締まる。
前方の右側、森側の方から合図がくる。
俺の目にもモンスターのカーソルが見えてきた。
カーソルには"ゴブリン"の名称が見える。
残念だが今回は、俺の出番はなさそうだな。
既に戦闘が始まっているようだ。
"ゴブリン"の叫び声と、バルストさん以下の冒険者達、両者のカーソルが重なるのが見えた。
もうすぐ昼時だから(最近は太陽と腹時計で、だいたいの時間がわかるようになってきた)、今日は午前中に二回の戦闘しかしていない。
《ゴッドブレス》の効果は、確実に薄まってきている。
おそらく午後は、もっと戦闘回数のペースが落ちるだろう。
うまい事いけば、明後日位にはパーミルに着けるんじゃないだろうか。
ただジョシュアさんによると、途中の小さな村に寄るって言ってたけどな。
―おお!ちゅー事は、風呂とまではいかないが、身体を洗う事ぐらいは出来るんじゃねっ?
考えてみれば、転生してからまだ一度も身体を洗ってねえし!
日本にいた頃なら、考えられないわー。
そう一度考えてしまうと、何だか身体がかゆくなってきた!
早く身体をあらいてぇ~!