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エルフのカードマスター

「オーファンツ・リオス・トゥルア・セルファルード?」

「はい、それが私の国にいるアルカナ使いの名前です。」


俺とネスフさん、それに付いてきたミールと三人並んで歩きながら、エルフのカード使いについてきいている所だ。

つか、エルフの名前ってやっぱ舌噛みそうだわ。


「彼は名門セルファルード家のご嫡男としてお生まれになられて、今は700歳をたしか越えられていたはずです。」

「ふわ~、やっぱりエルフさんは長生きニャねー!」


実はゲームでは、各種族の平均寿命は公式設定でも触れられていない。

ただファンタジーでは、エルフと言えば長命種族の代表格なので、たぶん『アルカナバースト!』でもそうであろうと、ファンサイトでは話されていた。


「ハハハ、700歳というのはエルフでもかなり高齢ですよ。

しかしセルファルード家は、代々王家とも近しい家系でしてね。

王家と同じ古来種の血が色濃く出る者が、ときどき現れたりするのです。

…古来種と呼ばれる者はエルフの中でも長命でして、1000歳を越える者も少なくないのですよ。」


ネスフさんの言うには、彼は700歳にしてはバイタリティーに溢れており、とても高齢者には見えないそうだ。

「まあ見た目でエルフの歳を判別するのは難しいですからねえ。

こう見えて、私も今年で468歳になるんですよ?」

…うーむ、どう見ても見た目は、20代前半にしか見えん。

ヤッパリ、エルフは羨ましいー!


ネスフさんの話によると、そのオーファンツ某さんが公の場に登場してくるのは、彼がセルファルード家の当主になってからで、それまでの生い立ちはほとんど知られていないらしい。

「あの方は少々気難しいところもありまして、彼の事をよく知っている者はかなり少ないのです。」


彼がいつカードマスターのクラスを習得したのか、知っている者は誰もいないのだそうだ。


…俺は彼が元地求人の転生者だと思っていたのだが、ゲームでその様なプレイヤー名を聞いた事は無い。

また俺が知らなくとも、ゲームのプレイヤー"らしい"名前であれば、何となく判るものだが…

ゲームでこんな名前付けるヤツいねーよな。


ただ俺と同じように誰かの身体をベースに転生したのであれば、そしてその転生前のベースとなった者がオーファンツという名前で、そのままその者の名前と地位を騙ればどうだろうか?

…まあ会ってみれば判るたろう。


「彼と現リファーレン国王陛下は幼馴染みでして、陛下が国王に即位するのに、多大な貢献をされた方なのですよ。」

―げっ!それって、かなり偉いさんって事ですよね!


またネスフさんから続けて伺った事から、彼がカードマスターとしてかなりの実力がある事が判った。


まず彼は光・闇・火・水・風・土の六大精霊すべての最上位種を使役(カード化)しているらしい。

これらは全てSR (スーパーレア)のカードで、スキルも各属性の最上位魔法を使うかなり強力なモンスターカードだ。

リファーレン中の精霊使いででも、3種類の最上位精霊を使役出来きる者が数人というから、戦闘力としては最強クラスと言えるだろう。


さらに話から推測するに、六大精霊の内、火と土は更に上位の特異精霊である"イフリート・ノヴァ"と"グランド・タイタン"のようなのだ。

このふたつはレアリティーが最上位のウルトラレア(UR )で、ゲームではイベントの上位褒賞でしか手に入らないシロモノだ。


…【図鑑】で確認してみたが、確かに存在はしているようだ。


「私は国王陛下の一翼を担う者として、あの方とは数度お会いした事があるのですが…、彼は、その…、かなり独創的な方でした。」

…なんだろう、ネスフさんの口振りがかなりビミョーなんですケド!


どうやら彼は、エルフとしてはかなりユニークな人らしい。

エルフというのは随分保守的な種族らしいが、このカードマスターさんは次々に革命的な事を断行して、そのお陰でリファーレンに新風を吹き込んだんだそうだ。

ただ決して表には出ようとせず裏方に徹するため、国内でも彼の名前と業績を知る者はごく一部なのだそうだ。


「同じアルカナ使いとして、興味がありますか?」

ネスフさんが、少し探るように訊いてくる。

「もちろんです!」

俺は即答する。


「…実は彼に以前お会いした時に、『もしアルカナ使いに出会ったら、是非連れて来て欲しい』と頼まれていたのです。

…まさかこんなに早く出会えるとは、思いもよらなかったですがね。」

そう言って、ネスフさんは苦笑の表情を浮かべた。


「今回の件が片付きましたら、是非我が国にいらして下さい。

リファーレンはあまり他国の方を受け入れない方針をとっておりますが、貴方は国賓としてお迎えいたします。」

―まさかの国賓待遇!

だがこれでミールをウルティナ神殿へ連れて行ける目処がついた!


「その証を今、お渡ししておきますね。」

そう言いながら、ネスフさんは懐から一枚の銀盤を俺に渡してくれた。


ん?この銀盤に刻まれている文字、意味は解らんが、どこかで見たような…?

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