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街でモンスターはどうする?

うーむ、確かに"ブラックナイト"は、魔王や邪神の手先として現れる事が普通だろう。

逆に言えば、"ブラックナイト"を従えている者は、魔王や邪神の一味と考えられてもおかしくない。


ゲームでは、アルカナマスターという職業は、一般人にまでそれなりの認知度があった。

すなわち普通では善良な者に従うはずのないモンスターまで、従えさせる事が出来るというのが、多くの人々に知れ渡っていたのだ。


だがここでは、まず知っている人は居ないとみていいだろう。

となると、いかにも"悪っ!"というモンスターを人前にホイホイ出すのは、ヤバいかもしれないな…。

ちょっと前から考えていたのだが、"都市内用デッキ"をパーミルに着く前に、考えておこう。


改めて周りを見回すと、俺の"ブラックナイト"を見た人達の中に、俺自身を硬い表情で見る人が何人かいた。

皆、カード使いとしての内容をしっかりと説明したはずだが、それを解っていても疑念があるのだろう。


おそらくだが俺に視線を送っている人達は、当時の災厄を実際に体験した人ではないだろうか?

それだけ"ブラックナイト"や"デスナイト"が襲ってきたイメージが、強烈に脳裏に焼き付いているんだろうな。


「改めてお前さんは大丈夫だって、俺達で念を皆に押しておくが…」

「はい、ブラックナイトは人前では呼び出さないよう、重々気を付けますよ。

すみませんが、お願いします。」

「おう、まかせとけ。」

そういうと二人は、向こうにいる冒険者の人達の方へ歩いて行った。


「…びっくりしたニャーね。」

ミールが俺を気遣うように言ってくれた。

もし彼女がパーミルの災厄の被害者だったら、彼女もあの人達と同じ様に俺を見たかもしれないのだ。


しかし実際にそれは、有り得るかもしれない。

ミールにとって、"ドゥームワーム"がそうだろう。

それに"ゾンビー"や"グール"といった生理的に嫌悪を抱き易いモンスターはどうだろう?


彼女に嫌悪の表情で見られて、ゾクゾクきちゃうような性癖は俺には無いので(笑)、呼び出すモンスターに罪は無いけど、よく考えて実体化すべきだな。


さてとんだ事になったが、ある意味今で助かったのだ。

初めて呼び出したのがパーミルに着いてからだったら、場合によっては捕まえられて取り調べを受けていたかもしれないのだ。

そう考えれば、今呼び出したのも《ゴッドブレス》の幸運上昇のお陰かもしれないな。


ミールと交代するにはまだ少し早い(彼女はもう代わってもいいと言ってきたが)ので、もう少し寝てもらう事にした。

「じゃあ、時間になったらちゃんと起こしてニャ?」

そう言って、すぐ寝息をたて始めた。


彼女の豊かなお胸様は、眠る時たぶん苦しいのだろう、ミールは革鎧の脇のベルトを緩めている。

お陰様でこちらから見える眺めは、素晴らしいモノになっている。

もちろんじっくりとガン見する程の勇気がある訳でもなく、チラチラとわき見する程度なのだが、それでも充分でございます!

「ニャウ~」

寝返りをうって、まるで本物のネコのように丸くなる。

お胸様は隠れてしまったが、ネコミミがペタリと下がり、時折ピクリと動く様は限り無く癒されます。


彼女を観賞しながら、パーミルに着いてからの方針を考えた。

中期的な目標は、視界の上に金色に輝いているフラグをスタートさせ、ウルティナ様の神殿があるリファーレンへ向かう事である。

リファーレンは鎖国中のはずだが、これはスネフさんに口利きをしてもらえば大丈夫そうだ。


―そういやリファーレンに住む、アルカナ使いについて訊ねるのを忘れていたな。

明日も今日のような、怒涛のモンスターラッシュになるのだろうか?

このラッシュも幸運上昇の影響のはずだから、明日は今日程にはならないはずだ。

そうなれば、道中でもう一人のアルカナ使いについて訊いてみよう。


考えが逸れてしまったが、リファーレンに向かうために戦力の増強が必要だ。

当所、"ジャイアントビー"のネスト攻略を考えていたが、それより良い場所があるのが判った。


―例の『北へのトンネル』とやらだ。

これは行かないとダメでしょう!

奥の方はかなり強力なモンスターが出ると聞いたが、冒険者ギルドみたいな所で詳細が訊けるのだろうか。

たぶんミールは拒否してでも付いてきそうだから、探索するにしても慎重にしなければ。

出来れば最初の頃だけでも、よく知っている人の同行が欲しい。


つか考えてみたら、真っ暗なグネグネまがる大トンネルを、松明の灯りだけを頼りに進むんですよっ?

しかもトンネルって言ってるけど、俺の想像するトンネルとは絶対違うはすだ。

シロウトの俺とミールだけで行ったら、どっちに進んでいるのかも判らなくなるの確実じゃん!


むう、そう考えるとワクワクしていた気分が少し縮むが、その位の慎重さは逆に必要だろう。

トンネルに、挑戦する気は変わらないしね!


まあこの辺りの事もジェファーソンのオッサンか、ジョシュアさんのコネから何とかしてみよう。


あ、もしかしたらバルストさんは、探索した事があるかもしれない!

あのヒト、けっこう熟練の冒険者みたいだし!

―そういやミール達を助けるのに、俺に任せたのを負い目に感じていたようだし…

ククク、そこんトコ利用させてもらいましょーかねー!(なぜか悪人風)


結局ミールのお休みになっている姿を眺めている内に、ずいぶん朝方近くまでなってしまった。

それからミールを起こして、「もおっ!なんでもっと早く起こさなかったニャッ?」と叱られながら、短い眠りについたのだった。

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