神お風呂回(笑)Ⅲ
たしかに見えないのだが、向こうの雰囲気が変わったように感じられた。
同時に今までの人達とは異なる声が、次々に会話に参加してきた!
「ねえっ!キミって、ビースト族系の女の子が、大好きってホント?」
「恋人はいるの?」
「あの…、犬系の女の子はどうですか?」
「キツネ系の方が好みよねっ!」
「胸は大きい方が、好きでしょ?」
「なに言ってんのよ!大きさより、形でしょっ!」
「キエラとは将来について何か話したのかしら?」
「夜のお相手に…」
「あーー!もう黙りなさーいっ!
キミ!もうコレはダメね!
また今度連絡頂戴っ!
じゃ、またっ!ほらっ!キエラはやく切って!」
「はわわ、あ、あの。
私でしたら昼間でも大丈夫ですから、ま、また連絡下さいっ!
お待ちしています~!」
「「あっー!リエータ、ナニ勝手に…」」
そこでブチッと会話モードが切れた。
…まあ《ゴッドブレス》について聞けたからいいんですけどね。
つか、最後に途中で遮られたヒトっ!
続きがすげー気になるんですケド!
焚き火の向こう側には、なにも変わらずミールが眠っている。
【フレンド会話】が切れて騒がしかったのが急に無くなったので、なんだか妙に静かに感じる。
改めて静かになった夜営地で、先程の事を思い返す。
なんだか俺のレベルが公表されてから、俺に興味がなかった人達を含めて態度が激変した様な気がしたのが。
それにアルピーニャさん以下の三人娘が、なんだか凄く気になる話しをしていた。
途切れ途切れにしか聞こえなかったが、端々に耳に入ってくるワードが、妙に気になるし。
むう、なーんか、一つ判らない事が解決したと思ったとたんに、新しく判らない事がでてきたなあ。
まあ明日、こんどは昼休み位に【フレンド会話】を試みよう。
ミールと交替するまでに、まだ時間はある。
それまでに今日手に入れた、モンスターカードを整理するとしよう。
実際の所、眠れるかアヤシイ。
目を閉じると、アルキエラさん達のお風呂シーン(妄想)が、ムラムラと沸き上がってくる事間違いない。
いや、なまじ音声だけってーのが、妄想を掻き立ててしまうわ(笑)。
それに日付が変わったら、すぐ【一日一回無料召喚】をしたい。
HR "フェンサースプライト"が召喚出来たのも、幸運値が上がっていたお陰だ。
アルキエラさんによれば、《ゴッドブレス》の効果は時間と共に薄れていくとの事なので、少しでも早く召喚した方がいいだろう。
ではカードの【合成】にかかるとしますか。
まず"ジャイアントバット"を、MaxLv 20までにしてしまおう。
ジャイアントバット N Lv 20
(飛翔族/闇属性/cost 2)
AT: 635
DT:1.235
…やはりレベル20でも、第一線で戦うにはステータスが心許ない。
だがこいつはコウモリだ。
夜間や暗闇の偵察や探索には重宝しそうだ。
それに弱いといってもウチのエースチームと比べればの話で、たぶんこの辺りのモンスターと一対一で戦えば、まず負ける事はないだろう。
試しに呼び出して、この辺りの偵察業務に出てもらう。
…おお、暗視能力と音波探知で、昼間の様に良くわかる。
ただ音波探知能力は、こういった生き物独特のモノなのだろう。
俺が"ジャイアントバット"を通じてこの能力を感じてみると、かなり違和感を感じる。
まるで脳の中の今まで使ったことの無い部分を、無理矢理使わされている様な感覚だ。
これは慣れるまで、暫くかかりそうだ。
次に"ヒュージスパイダー"の強化だ。
こいつをレベル20まで強化するには、同カードだけでは数が足らない。
そこで合成効率は悪くなるが、"ヒュージキャタピラー"や"ジャイアントバット"の合成の余りも使う事にする。
【合成】にかかる晶貨が余分に必要となるが、今は比較的余裕があるからな。
ヒュージスパイダー N Lv 20
(甲虫族/風属性/cost 6)
AT: 1.065
DT: 1.530
こいつもメインチームには随分見劣りするが、こいつの吐く糸が捕縛等に使えそうと考えての強化だ。
また壁でも天井でも同じ様に歩き回れるので、飛んで行けない所の探索等にもに活躍してもらおう。
さて残る"コボルト"君と"オーク"君だが、【合成】するにしても数が少なすぎて大したレベルアップにならない。
という訳で、彼らの【合成】は保留としておく。
"コボルト"にしても"オーク"にしても、とても数の多いモンスター達だ。
明日以降で、幾らでもカード化できるチャンスはあるだろう。
…おっしゃっ!
どうやら日付変更線を越えたようだ!
さっきからホーム画面を、【一日一回無料召喚】の所にしておいたのだ。
今まで暗い文字画面だったのが、突然明るくなった。
召喚可能になった証しだ!
じゃあ、早速召喚だ!
一日時間は経ったが、まだ変わってすぐなので、"フェンサースプライト"と同クラスのHR (ハイレア)が出る可能性は充分にある!
ちょっと、いやけっこうドキドキして【一日一回無料召喚】のキーを押す。
前方に魔法陣の明かりが現れる。
大きさはデカくもなく、小さくもない。
光の中から浮かび上がって来たのは、漆黒の鎧兜に包まれ、手には巨大なポールアックスを持った2m近い騎士の姿だった。
おおっ、やった!
"ブラックナイト"だっ!
―だがコイツが現れた瞬間、周囲から悲鳴に近い叫び声が各所であがる!
「わあっ!ブラックナイトだっ!」
向こうからジェファーソンのオッサンとジョシュアさんが、血相を変えてやって来た。
「オイッ!
コイツはにーちゃんのかっ?!
だったらすぐ隠せっ!」
「えっ?」