神お風呂回(笑)Ⅰ
―…い、いまお風呂って、おっしゃいましたか?
「え?は、はい。
私達、三交替制なので、ここのお風呂は何時でも入れるんですよ。」
そう自慢げに嬉しそうにおっしゃるアルキエラさん。
確かに彼女の声の後ろから「バシャー」だの、「カポーン」だの、「アハハ、キャア!」といったステキサウンドが聞こえてくる!
え?ちょっ!
もしかしなくても、そこって共同浴場みたいなトコですかっ?!
そーいや確か、アルキエラさんがやっていた受付のお仕事って、常時30人位でしてるって言ってた…。
つまり三交替制という事で30×3…、100人位は居るって事かぁっ!
「なにしろ私達の所は皆女性ばかりでして…」
…おおおぅぅおっ!
なんてこったっ!
あそこって、女のヒトばかりだったのぉっ!?
つまり100人位の人達、みんなアルキエラさんみたいな女の子なのっ?
―じゃ、じゃあ今もそのお風呂場には同僚の方々が…
「ええ、今日は交替時に色々あったらしくて、お風呂の時間が重なったみたいで、第二班全員で入ってるんですよ。
あ、でもここのお風呂、すっごく広いので、ぜんぜん狭く感じないんですよ!」
…サラっと言いましたよ。
30人位の(たぶん)獣っ娘美少女達が、全裸でイラッシャル…
なんじゃああぁぁぁぁ、そりゃああぁぁぁぁっ!!
なんだコレっ!おかしいでしょっ?!
こうゆーのって、普通ラッキースケベチャンスの時じゃないのっ?
ジェファーソンのオッサンあたりが、「バッカ、覗きは男のロマンだろっ!」とか言いながら覗くのを俺が必死に止めようとして、結局俺だけが女湯の女の子達のど真ん中にバシャーン!と落ちて、もう皆の産まれたまんまの姿を見てしまい、一瞬硬直のあとにキャー!ってなって、桶やなんやを投げつけられて湯船に沈む、っていうのがお約束じゃあないのかああぁぁぁ?!
そうだっ!
カメラッ!ウェブカメラみたいな機能は付いてないのかっ?
くそっ!何とか出来ないのかっ?
念だっ!俺の全身全霊をかけた念を飛ばすんだっ!
いやっ!もお、幽体離脱でも何でもいいから、何とかならないのかあぁぁぁ?
ハァハァ、いかん!興奮し過ぎて、酸素が足らなくなってきた!
落ち着け、俺っ!
「連絡をもらったのが、ちょうど身体を洗え終えたところだったので、慌ててしまいました!」
落ち着けるかああぁぁぁ!
アルキエラさん、素で言ってるんだよねっ!
ヤッパリ天然さんだよねっ!
声だけとはいえ、少しは恥じらってっ!
「キエラ、あんた何独り言言ってんの…
あっ!もしかして、例のアルカナ使いクンの連絡ってヤツ?
うっわ、お風呂中に連絡してくるなんて、ダイターンッ!」
急にアルキエラさんのたぶん背後の方だろう、そっちから別の女性の声が聞こえてきた。
「もう!リエータ、変な事言わないでよ。
別に私達が見えてる訳じゃあないんだから。」
「えー?でもほら、私達いま何にも身に付けてないのよ?
見えてなくても、恥ずかしくないの~?」
「…ちょっ、そんな風に言われたら、恥ずかしくなってくるじゃないっ!
もおっ!」
…聞いてる俺が恥ずかしいわっ!
耳元でガールズトーク?聞かされてる身になってっ!
「アハハ!まあいっか。(←いいのか?)
ねえ、アルカナ使いクンと私にもお話し出来るようにならないの?
キエラが随分、お世話になってるみたいだし、私も挨拶したいな!」
「あ、ちょっと待って。
確か"おーぷんとーく"機能とかっていうのを使えば…」
え?何それ?ボク知らないよ?
しばらくして、一瞬ザッという雑音が聞こえたと思うと、先程まできこえていたアルキエラさんの周りの音が、よりクリアに聞こえてきた。
「え?これで大丈夫なの?
えーと、キエラに向かってしゃべりかけたらいいの?」
リエータさんと呼ばれた人の声も、良く聞こえるようになった。
「あ、あー聞こえてますか?
えと、初めまして。
アルリエータって言います。」
―あ、ども。
初めまして、アルキエラさんには随分お世話になっています。
「わっ!聞こえたっ!スゴいっ!」
たがその次に周りで、爆発的な反応が起こった!
「きゃっ!何?」「え?男の人の声が聴こえたよ?」「なになにっ!あれなによっ?」「うそっ!例の男の子なの?」「きゃー!マジで~?」「ウルティナ様に膝枕させたコでしょう?」「いまキエラと話してんの?」「うそっ!私の声も聞こえてんの?」
…これは改めて挨拶した方がいいのかな。
―あー、すいません。初めまして…
「「「キャーーッ!」」」