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ゴッドブレスⅡ

俺がひとしきり皆から笑いをとったあと、ジョシュアさんはもう少し説明してくれた。


まずヤグ=オスロット神は、神々の中でもあまり表に出てこない神でもある。


ウルティナ様と夫婦という事で、その信徒である不死族とビースト族は昔仲が良かったのだが、ある時を境に関係は疎遠になってしまう。

ヴァンパイア達が狼やコウモリに変身出来きたり、ビースト族の中で、不死族に仕えている一族がいるのは、その名残だそうだ。

「そんな一族がいるニャんて、知らなかったニャー!」


ミールに微笑んで、ジョシュアさんは話を続ける。

「ウルティナ様は運命の中でも、幸運を司っておられるそうです。

…それを思い出して、今回の《ゴッドブレス》に結びつけられたのです。」


話が終った所で、スネフさんが少し驚いた風にジョシュアさんに話しかけた。

「それにしても、よくここまで知っていましたね?

私も神々については、子供の頃から教えてられてきましたから、他人より詳しい気でいました。

しかしあなたが仰ったように、ヤグ=オスロット様はあまり表舞台に出て来られないお方の為、エルフでも殆ど知られていないのです。」

スネフさんにそう訊ねられると、ジョシュアさんは少し話し難そうに答えた。

「…知り合いに不死族に詳しい者がいまして…。

その者からの受け売りなのです。

…ですから、もしかしたら、間違っている所があるかもしれません。」


なんだかその"知り合い"とやらには、あまり触れて欲しくないように見えた。

ジェファーソンのオッサンを何気なしに見ると、なんだかこの事は知っているような様子でジョシュアさんを見ている。

見つめていたのに気づいて、俺と目が合うと、オッサンはそっぽを向いて我関せずの顔をした。


ジョシュアさんとオッサンは領主の下で働く同僚だし、付き合いも長そうな感じの二人だ。

たぶんオッサンは、何か知っているんだろう。

…まあ知って欲しくない事もあるだろうしな。

訊かないでおこう。

こう見えて俺は、空気は読めるコなのだ!…コミュニケーション能力は低いけどネッ!


「なるほどそうでしたか。

まあ確めるのは、ご本人に訊いてみればいいだけですしね。」

そう言って、スネフさんは俺の方を見た。


…おおっ!

そーいや、【フレンド会話】で、ウルティナ様ご本人に訊いてみたらいいだけじゃん!

すっかり忘れてたわ。

―あーでも、ウルティナ様は今頃もうお休みの時間とか、昨日言ってたなー。

「神様も夜寝るんニャねー?」

その疑問は俺も思いましたヨ(笑)。


「まあ急ぐ事もありませんし、明日お目覚めになられたら、伺って頂けますか?」

スネフさんの言う事に、俺は頷いた。

「…しかし、ご近所さんに訊いてみるみたいに、よくもまー女神様に気軽に訊けるモンだよな。

神殿の神官達が知ったら、卒倒するんじゃねーの?」

ジェファーソンのオッサンの言う事に、みんな苦笑いの表情だ。


そのあとまだモンスターの襲撃があるかもしれないので、警戒は十分にする事を決め(今晩は俺とカードモンスター達も見張りに参加だ)、その各自のシフトを確認した。


俺はそのまま夜半までの当直となったので、中央から少し離れた所で別に焚き火をおこし(焚き火が一ヶ所だけだと、万が一敵にそこが消されてしまうとヤバいので複数つけておくんだそうだ)、見張りにつく。

ミールは俺と交替で見張る予定なので、焚き火の向こう側で既にスヤスヤ眠っている。

どうやら疲れていなくても、寝付きは良かったようだ(笑)。


ひとり(カードモンスターは呼び出して、見張っているが)になって、ふと思い付いた。

ウルティナ様はお休みになっているが、アルキエラさんかアルシェーナちゃんはまだ起きているんじゃないだろうか?

夜もまだ(体感時間で)8時位のはずだ。

…そう思うとウルティナ様は随分早く眠られるんだな。

小学生かっ!


ひとりツッコミを心のなかで入れて満足した俺は、早速アルキエラさんに【フレンド会話】を試みる。

アルシェーナちゃんはちっちゃいから、もうお休みかもしれないしね。

…べ、べつに連絡をいれるのが、コワイとかそんなんじゃあないんだからねっ!


もちろんアルキエラさんもお休みになっているかもしれないので、呼び出し音が数コールして無かったら、止めるつもりだ。

【フレンド一覧】からアルキエラさんを選択、キーを押す。


返事はすぐ返ってきた。

「はっ、はいいぃー!

ア、アルキエラですぅー!」

―いや、そんなに緊張しなくていいから。

それより、今は話の方は大丈夫ですか?

もうお休みなんじゃないですか?

「あ、い、いえ、大丈夫です。

今は業務から離れて、お風呂に入っているところですから。」


……

…なん、だとっ?

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