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キツい雰囲気

この場の雰囲気を、何て説明すればいいのでしょう?


昔、ある友達がサプライズバースデーパーティーを企画している時に、当の本人が後ろにいるのに気付かず、「明日のアイツの誕生日パーティーどーするべ?」とほざいてしまった、あのやっちゃったレベル?


それともギリで飛び込んだ通勤電車の車両が、まさかの女性専用車両で、しかも帰りの女子高生で満車状態。

おまけに急な土砂降りで、スケスケな方がけっこうおられる中を、謝りながら隣の車両まで女子高生をかきわけながら移動した、あのいたたまれなさレベル?


どっちにしても、今ここからダッシュで逃げたいのは同じでしょう!


そんな事を考えていると、バルストさんが小さく深呼吸して落ち着こうとしていた。

「いや、取り乱して申し訳ありませんでした。

お許しいただきたい。」

―ちょっ!

なんでそんなに敬語っ?

「上位神の寵愛を受けておられる方ならば、当然のこと。

ある意味、神と同等なお方と考えるべきです。

その様な方に、今までの数々の無礼、平にご容赦を。」

―いやあぁぁ~!止めてぇぇー!


バルストさんは見た感じ、俺の親父とそう変わらない位の人だ。

そんな人から、ものっそ目上の人間にされる対応をされる、この気恥ずかしさったら!

俺、そんな凄い人間じゃないっすよ!

たまたまチートレベルで転生できた、超極平凡人っすよ!


「しかし貴殿は…」

―ぎゃあぁぁっ!

なにキデンって!

モビルスーツの名前かっ?

なに殿なんか付いてんのっ?

どこに殿様がいるのっ?

やーめーてーっ!


その後、俺に皆でさっきのアルキエラさんにした様な拝礼(ただ両腕をクロスせず、片腕だけ胸に当てる方式)をしようとしたもんだから、全力で止めました!

もう全力で土下座です!

この対応に勝てるのは、DOGEZA しかありませんっ!


結果、土下座の意味は解らなくとも、半泣きになって頭をペコペコする姿に威厳もヘッタクレも無くなり、皆さんに苦笑まじりで止めてもらいました。

土下座の威力はすごいネッ!


それと助け船を出してくれたのは、ジェファーソンさんだった。

「このニーチャンが、止めてくれって言ってんだし、いいんじゃねーの?」

この一言で、最後まで渋っていたバルストさんも折れてくれた。


「どー見ても、ニーチャンはヘタレそうじゃん。

そんなに偉そうなモンでもないっしょ。」

―むっ!

なんすか?別に偉くはねーすけど、ヘタレは心外っすねー!

その俺の言葉に、「へぇ、そうかい?」と言った後、このオッサンはとんでもねー爆弾を投下してきた!


「じゃあミールちゃんに、何してくれるか訊いてみろよ?」

―はいっ?

「ニャっ?」

いきなり自分にふられて、ミールさんもビックリしている。

「ほら、言ってたじゃん。

帰ってこれたら、凄いコトしてあげるって!」

「ニャー!」


ジェファーソンのオッサンの言葉に、ミールさんは真っ赤になる。

つーか、ナニ言うんだこのオッサン!

あああ、周りの人達も興味津々で聞き耳たててるよっ!

ミールさんも「ニャニャニャー!」と言って混乱している!


「なんだ、やっぱり訊けねーんじゃあねーの!」

オッサンはおもいっきり小馬鹿にした顔をした。

いや!俺だって、健全な男の子ですよ?

こんな獣っ娘美少女にしてもらえるスゴイ事って、無茶苦茶気になるっすよ?


そこで真っ赤になっている、ミールさんと目が合ってしまった。

目が合った瞬間、ミールさんはボンッという擬音が聞こえてきそうなほど、更に顔を赤くした。

…俺も似たような顔をしているに違いない。


しかしその後、ミールさんはとんでもない事を、消え入りそうな小さな声で言った。

「ウチ、なにしたらいいニャ?」

―まさかの、何も考えていなかった!


「ウチ、キミがしたい事、ニャンでもしてあげるニャ!」

「「「オオオオォォッ!」」」

周りから怒号に似た叫び声が一斉にあがる!

ちゅーか、ミールさんまさかの丸投げっ!


「ホントにニャンでもいいニャよ?」

顔を赤らめながら、上目づかいで重ねて言ってきた!

「「「ウオオオォォッ!」」」

周りのボルテージはMAXだっ!


そのあと一瞬にして、静寂が訪れる。

全ての視線が俺に集中しているぅぅっ!


「ゴクリッ」

いまのは俺のなのか、周りの野郎共のなのかさえわからなくなっている。


「ひ…」

「「「ひ?」」」


「膝枕で耳掃除してください…」


―これで、俺のヘタレは決定した。


いーもん!

ミールさんに膝枕してもらいながらの耳掃除は、めっちゃ気持ち良かったモンッ!

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