さっそくフレンド会話
「あらまぁ、そないな事になっとったんどすかぁ。」
俺がウルティナ様へ、事の顛末を説明している間の視線のイタイこと!
ジェファーソンさんとジョシュアさんのコンビは、あらかさまにこっちを横に見ながらヒソヒソ話し始めるし、ミールさんなんかもう、残念な子をみる目つきだし!
「まさかこっちに連れてくるだけで、そないな事になるとはなぁ。
やはり新しいモンを採り入れると、色々と不都合がでますなぁ。
これも"上"に報告して、改善してもらいますわぁ。」
―あ、直せるんんすか?
「あんさんのは無理どすぅ。
改善するんは、次に来る方からどすゎ。
あんさんらは、次に来るモンの"でぇたべぇす"?になるて言ぅてはりましたぇ。」
―ああ、つまり俺達はテストプレイヤーでもあるということか。
「そのてすとナンタラ言ぅのが、何か知りまへんどすけど、たぶんそういう事どすぅ。」
―まあその事は、ぶっちゃけどうでもいいんすよ。
この件の方、なんとかなりませんか?
「ウチが無理矢理、呼んだせいでもありますよってに、なんとかしますゎ。
…せやな、アルキエラに説明に行かしますゎ。
ちょっとだけ待っといておくれなはれぇ。
―アルキエラ~、アルキエラおりまへんかぁ!」
そう言って、女神様の通信は切れた。
…つーか、俺、ウルティナ様とふつーに喋ってたけど、コレ大丈夫かな?
スネフさんの口調では、かなり上位のお方な気がする。
俺、かなり失礼なことを、かましてたよな…。
とにかくその件は横に置いておいて、皆にアルキエラさんが来るのをつたえる。
―えーと、今からアルキエラさんというヒトが、説明に来てくれます。
「アルキエラ?誰だねそれは?」
―あー、なんて言ってたっけ?
そうそう!ウルティナ様の従属神って、おっしゃってました!
「従属神?…―っ!
"御使い"の事かっ!
ばかなっ!」
―"御使い"って?
「上位神の意志を伝えるべく、天界から遣わされる下位神の事だ。
天変地異の前触れみたいな事でしか、現れないシロモノだぞ!
こんな事で、降臨するわけが…」
―ドォッ!
バルストさんの言葉が終わらない内に、俺達の右手、数m向こうに巨大な光の柱が現れた!
その光の柱の中を、天上から何者かがゆっくりと降りて来た。
光の柱が徐々に薄まってゆき、それにつれ中の人物がハッキリと判るようになった。
はたして地上に降り立ったのは、予想通り兎っ娘のアルキエラさんだった。
彼女の姿は、さっき向こうで出会った時と少し異なっていた。
フレアのミニスカートは変わらないが、RPGの神官が着ているような上着が、少し豪華になっている。
そして背後には、ウルティナ様の聖印なのだろう、ミールさんの手の甲の紋章によく似たものが、後光のごとく輝いている。
そしてなにより彼女の右上に、あるものが見える。
従属神アルキエラ(降臨Ver. ) Lv 291
(ウルティナサーバント/神族/女/光属性)
AT: 199.000/199.000(+25.500)
DT: 310.500/310.000(+38.000)
【スキル】:《神威魔法/中級》《ウルティナシフト/上級》《リードイメージ》
ステータスが見える!
ウルティナ様に呼ばれたあの神界?では、女神様やアルキエラさん、アルシェーナちゃん達のステータスが見えなかった。
向こうで見えなかった事は、神様なんだから見えなくて当然、と思っていた。
しかし今のアルキエラさんには、しっかりとステータスが見える。
つーか、(降臨Ver. )ってなんだよ。
他にもバージョンがあるのか?
「お待たせいたしました。」
アルキエラさんが言葉を発したと同時に、あまりの出来事で呆けていた俺以外の皆が一斉に同じ仕草をした。
片方の脚を膝まずかせ、両方の腕を胸の所でクロスして、頭を深々と下げたのだ。
どうやらこれが、この世界の拝礼の仕方のようだ。
―あ、ちゅーか、俺もすべきか?
「貴方は今更ですよ。
そのままでいて下さい。」
アルキエラさんはニッコリと微笑んで、今度は頭を垂れている皆に向き直った。
「皆様、ご苦労様です。
この度の事で、我が主ウルティナからの言葉をお伝えすべくまいりました。
わたくしは従属神アルキエラと申します。」
「「「ははっ!」」」
アルキエラさんのの言葉で、皆は更に深く頭を下げた。
「ではお伝えいたします。」
そう言うと、アルキエラさんは言葉を続ける為、口を開いた。
「…」
―…
「……」
―…?
「………」
―もしかして何喋るのか、忘れちゃった?
俺がそっと言ったの言葉に、プルプルと涙目になって、こっちを向いた。
…ドジッ娘の本領発揮ですねっ!
しかたがない。
―アルキエラさん、俺が後ろでこそっと言う言葉を、そのまま皆に伝えて下さい。
そう俺が言うと、既にグルグル目になっていたアルキエラさんは、何度も凄い勢いで首を縦に振った。
まーこういう所も、可愛いよねー。
皆も頭を下げていてくれて助かったわ。
こうして、俺とアルキエラさんの、二人羽織状態での解説が始まった。
俺がこそっと言う言葉を聞き間違えて、とんでもない事を言っちゃったりする、ドジッ娘のお約束を時々かましてくれながら、なんとか皆に説明できた。
内容的にはこうだ。
俺の使命が神々の間でも少々重要な事項であった為、『神前契約』の受領時のついでに呼び寄せ、注意事項を色々と話した。
ただアルカナ使いの魂からモンスター達が離れると、あのような状態になるとは予想外だった。
この事で、皆に迷惑をかけたことを謝罪する。
アルカナ使いは、重要な使命を受けてこの地にやって来た。
どうか彼を助けてやって欲しい。
最後の方は、俺のご都合ですっ!
アルキエラさんが、俺の言う事何でも言っちゃうので、思わずちょーしにのっちゃいました!
「はうー!
またウルティナ様に叱られてしまいますー!」
ま、まあ後で俺から女神様に言っておきますから、安心して下さい。
「お願いしますよ~?」
アルキエラさんは俺に念をおしたあと、少し真顔に戻って皆の方を見た。
皆はまだ拝礼の姿のままだ。
そこへアルキエラさんは、数歩前に出た。
その先にはミールさんがいた。