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現在、【フレンド一覧】の空きはあと10名程はある。

だがどの神様も、いつも援護出来るとはかぎらない。

(アルシェーナちゃんなんか、絶対援護に来ないよねっ!)


だから登録者数は、多いにこした事はない。


そうなってくると、前世で登録したフレンド達を消さなければならなくなる。


もしかしたら俺の転生に続いて、このフレンドリストの中から新たな転生者が現れるかもしれない、そうなればリストの名前が明るくなって判るはずだ。

―そう考えて、今までリスト名は消さないでいた。

それに登録を一つ抹消する毎に、行動ポイントも減ってしまう事もあり、フレンドリストについては放置していたのだ。


だがこれから神様達の登録が増えれば、現登録者の抹消を考えねばならない。

援護も会話もできない、ただもしかしたら…という希望だけで残している者と、神の強力な力で援護とこの世界の豊富な知識てバックアップしてくれる者。

どちらを優先するか、二者択一を求められれば、答えは明白だ。


…ん?

何で俺、こんな事で悩んでんだ?

答えなんか、はなから決まってるじゃないか。


―そこで俺は初めて気がついた。

俺はこのプレイヤー達を消したくなかったんだ。

転生前の日本と今の俺を、目に見える形で繋げているモノがもはやこれだけになってしまった。

そんな気がしていた。

このプレイヤー名が全部無くなったら、前の世界から完全に切り離されてしまう。

…つまりまだ前の世界に、未練があった?

無くしてしまう事を、恐れていたのか?


今さらになって、おふくろや親父、ねーちゃんや親しい友人達、田舎のじーちゃん達の顔が浮かんできた。

ホント、今さらになって、もう彼らと二度と会えない事が、実感として感じられた。


「あんさん、大丈夫どすか…?」

ウルティナ様が、俺の顔を覗きこむ。

彼女の俺を見つめる顔は、俺の心を読んで心配してくれているように思えた。

…女神様だしな、もしかしたら、本当に心を読めるのかもしれない。


―…大丈夫っす!ご心配をおかけしました!

つとめて元気な声で返事を返した。

感傷に浸るのは、おしまいだ。

俺は死んで、転生してここにいる。

それが全てで、その事実は覆らない。


―それにもし、元の世界に生き返らせてやると言われても、俺はこっちの世界を選ぶ自信がある。


なにしろ、こっちには獣っ娘の美少女・美女がワンサカといらっしゃるのだっ!

こんなドリームパラダイスワールドから、味気ない元の世界に戻りたいなんて、狂気の沙汰だっ!


「…あんさん、ホンマに面白いコやねぇ。」

女神様が、今度は呆れたようにおっしゃった。

―もしかして、本当に心がよめるの?


「あの、途中から口に出していましたよ?」

アルキエラさんも、ちょっと冷めた目でおっしゃっいました。

ノオォォッ!


「…ほなもうそろそろ、戻させてもらうぇ。

実をいぅたら、あんさんは無理矢理ここに来てもろとるんやぁ。

あんまり長居すると、"器"との繋がりが切れてしまうますよってになぁ。」

―は?器って?


「ああ、言ぅてまへんどしたか?

"器"言ぅんは、あんさんの肉体の事どすぅ。

今あんさんやウチらは、アストライアル、つまり魂や霊体みたいなモンなんどすゎ。」

―へぇ。

思わず身体を触ってみる。

いつもと同じようで、幽霊みたいにスカスカではないし、服装も寝ていた時のまんまだ。


「せやから、あんまり長いこと肉体と離れとると、肉体が自分が死んでしもたと勘違いしてしまうんぇ。」

―ええっ!

なんでそれ、早く言ってくれなかったんすかっ!

それ重要っ!

「すんまへんぇ。

てへぺろ?」

―なんで疑問形っ?

ちゅーか、なんでそんな言葉知ってるのっ?

あああ、こんな時にもツッコム自分の体質が恨めしいわっ!


「安心しおし、時間がないいぅても、そんなにすぐどうこうはなりまへんぇ。」

―どうこうなったら、エライことですって。


「まあ早目に戻ってもらうに、こしたことあらへんしなぁ。

―アルキエラ、ほなよろしゅうたのんますぅ。」

「あ、は、はい。わかりました!」

―あ、じゃあ、俺を呼び寄せたのもアルキエラさんだったのかな?


アルキエラさん口から、美しい歌のような旋律が流れ始めた。

それと同時に、来た時と違ってゆっくりと視界が光に包まれ始める。


―しまった!一つ聞くのを忘れてた!

女神様!

ミールさんの代償の時間って、どの位なんですか?

「ああ、それやったら、えーと、なんぼやったっけ?」

―おい。

「まあ後から、アルキエラに伝えさせてもらいますぅ。」

―あ、そうか。

フレンド会話ができるんだった。


「よろしかったら、また来てやぁ。

こんどはもっと、さーびすしてあげるぇ。」

―どんなサービスなのっ?

めっちゃ、気になるやん!

「ウチの神殿がリファーレンにあるさかい、そこからやったらすぐどすぇ。」

―エルフの国に神殿があるんだ。


「ああ、それとな。

あんさんの転生前に持ってはった、ぱそこん?どすけど。」

―へ?

「あの中にあった絵ぇみたいな事、ミールはんにしたらアカンぇ。」

……

―うおおおおいっっ!

なんでアンタが、俺のノーパソの秘密画像を知ってるんだっ!

もしかして、他の神様にも知れわたってる?

俺のプライバシーはどーなってんだよっ!

ああ!それより、あの画像誰かに見られたらどうしよう。

やべぇ!おふくろなんかにバレたら死んでしまうっ!

つーか、俺、死んでんだったぁぁぁっ!


俺のパニくった魂の叫び(文字通り)を一切無視して、アルキエラさんの歌は続いた。

視界はもうほぼ光で真っ白だ。(来た時のようなきつさは無い)

同時に強烈な眠気に襲われ、俺は一瞬で意識を失った…


…と思ったら、急に目が覚めた。

視界には沢山の輝く星空と、今にも泣きそうな顔のミールが見えた。


「ああ!目を覚ましたニャー!」

どうやら俺は仰向けになっていたらしい。

―どうしたの、ミールさん?


そう言いながら見た先には、寝る前に確かに【カード一覧】に戻したはずのメインチームのモンスター達と、それと対峙するバルストさんやスネフさん達だった。

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