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神前契約Ⅴ

俺が転生した所を偶然見つけて、ミールさんと引き合わせたってな事言ってませんでしたっ?


まさかの、転生する時点から係わってたのか、この女神様っ!


ウルティナ様は、あちゃーという顔をした。

「やっばー、バレてしもうたゎ。」

おまけに、口にまでしちゃったよっ!

ある意味スゴいわ!


「せやけどあのオナゴが狙ろぅてたんは、ホンマやったんどすぇ!

それが判ったさかい、急いで転生先を変えたんゃ。

…それであんさんにはちょっとコワイ思いさせたんは、謝りますぅ。

ほんにすんまへん。」


女神様に頭を下げられてしまった。

まあフローディア様の方にも言い分があったかもしれないが、それは口には出さないでおこう。

たしかにお陰様で、刺激的な転生スタートがおくれたしねっ!


―でもただひとつだけ、確認しておかなければならない事がある。

俺はウルティナ様を真正面から見据えて、どんな表情の変化も見逃さないよう気をつけながら訊ねた。

「…失礼を承知で訊ねます。

ミールさん達が最初に捕まった事には、ウルティナ様は関与されてませんよね?」


その問いに対する答えは劇的だった。

「…ウチがあんさんの気を引くために、ヒトを罠にかけた言うんどすか…」


―スッッマセンでしたあぁぁぁっ!

ソッコーで土下座してあやまりました!

だって無茶苦茶怖かったんだよ!

100人のヤクザなヒトに囲まれるより、100倍怖かった!


でもこれで、ウルティナ様はそんな事をする方ではないと俺は思えた。

神様を推し量るなんて、大それた事をしてしまったが、俺自身がこれで納得できた。

これを訊かないと、後々ずっと心の隅っこにしこりができてしまう気がしたのだ。


俺は土下座から、恐る恐る顔をあげた。

そこにあったのは、先程と変わらない、美しい女神様の笑顔だった。

「まあウチもあんさんに、ウソついとりましたしなぁ。

これでアイコとしてくれまへん?」

その時の笑顔は、本当にサイッコーだった。

やべぇ、ホレてしまうやん。


「でも上位神であるウチに恐れもなく食いつてくるなんて、なかなか面白い御仁やわぁ。

ウチ、ちょっと本気であんさんに興味がでましたわぁ。」

そういうとウルティナ様は正面にいる俺を引き寄せ(フローディア様への愚痴聞きあたりから、膝枕は残念ながら終わってます)、彼女の豊満なバストに俺の顔を埋めさせてくれた!


ふおぉぉぉっー!


柔けぇっー!


ミールさんに抱きつかれた時も凄かったが、こちらも素晴らしいですっ!

ああああ、転生して良かったって、いま感じています!

ありがとうございます!


「コロス…」


―ひぃぃっ!

アルシェーナちゃんがっっ!

ウルティナ様の後ろ、ソファーの縁から上目遣いで、睨んでおられます!

めっちゃこわっ!


瞬時にウルティナ様から離れる。

ちょっとウルティナ様が、残念そうな顔をしたように見えたのは、俺の気のせいか?


「なんどすか?

もっとしてても、よろしいんぇ。」

―くっ!

いえっ!もう充分堪能させて頂きました!

ご馳走さまでしたっ!

(後ろのアルシェーナちゃんからなんか、黒いモンが出てる気がするし!)

「そうどすか…

せや!アルキエラはどないどすぅ?」

「えええぇっ!

わたしですかぁっ?」


―また女神様、とんでもない事言い出しましたよ。

アルキエラさんも、また顔を真っ赤にして、ブンブン左右に振ってるし。


「アルキエラ、別によろしいやおへんか。

さっきも、えらいトコに顔突っ込まれとった仲やないどすか。」

「はあうっ!」

アルキエラさんは、もう限界まで赤くなった顔をしながら、両手で自分のミニのフレアスカートを押さえた。

―ヤッパリ、あの時俺が顔を突っ込んだのは…

「思い出さないで下さいっっ!」


ウルティナ様は暫くコロコロと笑っておられました。

「あーあんさん、おもろいコやねぇ。

…でもホンマ、気ぃつけよしぇ。

ウチら、神々のなかには、ヒトなんぞ石ころ程度にしか思とらんモンもおりますよってに。」

自分がそんな事になっていたとは、思いもよらなかった。

神々に、いいように扱われるのは癪だ。

気をつけないとな。


「こうなったらウチもなるべく、あんさんに手ぇを出させんように注意しますわぁ。」

―ありがとうございます、

心強いっす!

「まかしておくんなはれぇ。」


「―ほな、そろそろ戻らなあきまへんなぁ。

あんさんも何か、あと聞ぃとく事はありまへんかぁ?」

―そうだ、ひとつ聞いておかないと!

「ミールさんが、俺に払う代償って何ですか?」


その質問に、女神様は質問で返してきた。

「ウチが何の神はんか、知っておくれやすかぁ?」

―月と時の神様ですよね…

あ、まさかっ?


「…そうどすぇ。

ミールはんの時間を、代償とさせてもろうたんぇ。」


―っ!

ちょっおっと待ったぁっ!


ダメだっ!それはダメっすよ!

ミールさんの時間だなんて、つまり寿命を縮める事じゃないっすかっ!

そんなの、命を差し出しているのと、あんまり変わらない事だ!


だがウルティナ様は首を左右に振って、話をつづけた。

「そうやおへんぇ。

別にあのコの生きとる時間をとるんとちゃいますぅ。」

―じゃあ?

「あのコが差し出すのは、あのコが自分のために使う時間どすぅ。」

―?

「これからミールはんは差し出した時間の期間は、あんさんのためにミールはん自身の時間を使わなあかんのどす。」

―ちょっ!


俺が言い出そうとするのを、ウルティナ様は真面目な顔をしてとめた。

「よろしいどすか、ミールはんの求めたのは一人の命どすぇ。」

―!

「一人の人間の命を救うのは、そう簡単な事やおへんのぇ。」

―だけどっ!

「それが納得いかへんと思わはるんやったら、しっかりとあのコの代償を受取りなはれ。」

―?

「そうして受け取った時間を、よお考えて使いなはれ。

あのコの時間を、無駄にせんようになぁ。」


―…俺が彼女の時間を、ヤッパリ受け取らないとしたら?

「大して変わりはしまへんぇ。

あのコは代償のため、あんさんに必死で尽くさはるだけや。

そうせぇへんかったら、契約は"無効"になりまっさかいなぁ。」


―あ…。

思わずアルキエラさんの方をみる。

アルキエラさんは、さっきと同じ悲しそうな笑みを浮かべて、頷いた。

「はい、先程私は契約は完了したとお話いたしましたが、正確には進行形での事なんです。

…で、ですからミールさんが代償を支払い終えるまで、私がしっかり見守ります!」

そう言って彼女は両拳を前に持ってきて、ふんすっと気合いをいれる仕草をした。


…そうか、ミールさんと『神前契約』の話をした時や契約の紋章を必死に隠したのは、俺が内容を知ってそれを重荷に感じないように、気遣ってくれたんじゃないだろうか?


ミールさんったら、健気な娘っ!


「おっっしゃあぁぁっ!」

―バッチィィン!

俺も気合いをいれるべく、両頬を力いっぱい叩く!

皆さんびっくりして、ケモミミ様がビクッと動いた。


随分へヴィーな話だが、要は困っている獸っ娘美少女を助ける、という事じゃあないか。

こんな超燃えるシチュエーション、日本で生きてたなら絶対あり得なかった!


俺が代償を受け取り、ミールさんの心の重荷を少しでも俺が負担すればいいんだ!

―そうですよね、女神様?


「ホホホ、やっぱりあんさんは、気持ちのええ御仁やわぁ。

あんさんがその気持ちを忘れへんかったら、ミールはんが不幸せになる事はあらしまへんぇ!」

ウルティナ様だけでなくアルキエラさんも、素敵な笑顔で頷いてくれた。


「こーなると、ますますこの御仁を、フローディアなんぞの魔の手に渡らしとぅなくなりましたゎ…」

―あれ?

め、女神様?なんか目付きが怪しいよーに見えるんですが…?


「あんさん!」

―はいっ!

「ウチとアルキエラ、それにアルシェーナと"フレンド登録"しておくれやすっ!」


―へ?

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