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神前契約Ⅲ

「フゴォー?」

頭上から降ってきたその肌色と白いモノは、俺の顔面、ちょうど鼻と口を塞ぐ形で突っ込んできた。

俺は顔でその何かを受け止める事になり、支えきれずに後頭部からモロに床に叩きつけられた。


「フグゥワァ~!」

硬い床石に頭をぶつけられて、目から火花が飛び出る。

俺の顔面を塞いでいる何かで視界は真っ暗だ。

「フガァフグゥ~!」

とにかくそれを退かそうともがく。


「ひゃあぁぁー?」

顔の上の方から黄色い悲鳴が聞こえ、急に頭をとても柔らかく生暖かい何かでガッチリとホールドされてしまう。

ホールドされた事により、鼻と口を塞いでいたモノも、更に押し付けてくる格好になった。

ヤベェッ!まじで息ができねぇ!


たが苦しいのに、何故だかとてもキモチイイ!

なんかさっきも、こんなめにあってたような気がする!

「~~!~っ!」

もはや声を出す事も出来ないほど、締め付けられている。

「ぴゃあ~!いやぁ~!」

悲鳴が聞こえてくる度に締め付けは強くなる。


俺は空いている両腕で、上にあるモノを退かそうとする。


―すると俺の左手は、ちょうど掌(手のひら)に収まる位のとても柔らかい物を掴んだ。

同時に右手は、左手よりずっと下の方、顔のすぐ上にある丸っこいフワフワの物を掴んでいた。


―ナンダコレ?


苦しいのも忘れて、あまりの触り心地の良さから、思わずその両手にある物をモニュモニュしてしまう。


「いっ、い。」

―い?


「いっっっやあぁぁぁっ!」

一際大きな悲鳴と共に、ガバッと頭部の拘束がなくなった。

「ぷっはぁぁー!」

やっと息が出来きて、大きく深呼吸した俺の視界に見えたものは、迫ってくる靴底だった。


ドゴォ!

「ふぎゃぷっ!」

ヘンテコな声をあげながら、顔面を踏みつけられた俺は、そのまま意識を失なった…。



「も、申し訳ありませんでしたぁぁっ!」


暫くして俺は目を覚ました。

気絶させられてから、運ばれたらしい、今はウルティナ様がお座りになっていたソファーに寝かされている。


「ホンマにアンタは、あれほど慌てなぁて言うてたのに…」

ウルティナ様が心底呆れたようにため息をつく。


そのウルティナ様がどこにおられるかというと、実は俺のすぐ真横にいらっしゃる。

―というか、俺は女神様に膝枕をしてもらっているのだっ!!


すっげーいい薫りがするし、後頭部から伝わる柔かさは(文字通り)天上の触感、おまけに見上げた真上には女神様のバスト様がっ!

頭の痛みなんか、銀河の彼方へ吹っ飛んじゃいましたよっ!


「ホンにすまんぇ。

このコ、普段はけっこうしっかりしとるんぇ。

せやけど、慌てるととんでもないコトやらかすんどすゎ。」


そう女神様が言った先には、おもいっきり縮こまる一人のビースト族の女の子がいた。

「はあぅー、本当に申し訳ありませんー。」


年の頃はミールさんより年上、俺と同じか少し下くらいに見える。

背丈はミールさんと同じ位の低め。

またミールさんとは対照的な真っ白な肌色に、最初は黒髪かと思ったが、光の当たり具合で翠色に見える髪はサラサラで真っ直ぐ腰まで伸びている。


そして彼女の魅力を引き立たせるものが二つ!


一つはビースト族らしいケモミミと尻尾を持っているが、彼女はその中でもバニーさんなのだ!


長いおミミさんは、いまは萎れて途中でペコんと折れ、お尻の上に乗っている丸い尻尾(俺がモニュモニュしちゃったヤツ)はプルプルと細かく震えている。


そしてもう一つは、彼女はメガネを装備しているのだ!

細面の紅い瞳のお顔に(どちらかというと東洋風の顔立ち)、縁なしメガネがとても似合ってらっしゃいます!


獣っ娘(兎)にメガネっ娘、おまけにウルティナ様の言動から察して、ドジっ娘というトリプルハイスペック!

ミールさんといい、ウルティナ様といい、もちろん(ちょっとコワイけど)アルシェーナちゃんも含めて、ステキな女性のエンカウント率が高過ぎます!

なんだこっちの世界はっ!


「改めて紹介するぇ。

今回のミールはんの『神前契約』を担ぅたアルキエラどすぅ。」

「はっ、初めましてっ!アルキエラと申しますっ!」


―あら?

『神前契約』って、ウルティナ様自身がするんじゃないのか?

アルキエラさんをなんで呼んだのか解らなかったが、そうゆうことっすか?


その質問にアルキエラさんが答えてくれた。

「あ、あの、『神前契約』の願いは、一日にとても沢山送られてくるんです。

ですから、私たち従属神がその願いを審査して、ふるいにかけるんです。

そうして分けられた中から、ウルティナ様が『神前契約』を行う方を選ぶんです。」

「一日に何百も送られてくるモン、ウチがいくら上級神やいぅても、邪魔くさ…

コホン、ウチも上級神やさかい、色々と多忙なんぇ。

せやから、このコらに手伝どぅてもろぉてますんぇ。」

―いま邪魔くさいって、言おうとしましたよねぇっ?

そう言えばさっきも、これ以上説明するのが邪魔くさくなって、アルキエラさんを呼んだんだった。

以外とこの女神様、邪魔くさがりだなっ!


「ほ、ほれアルキエラ、何をしとるんどすか。

話の続きをしとおくれやす!」

「はわわ!かしこまりましたあ~!」

ウルティナ様は俺のツッコミを強引にぶち切って、アルキエラさんに話の続きをせかした。

つーか、リアルで「はわわ」って言うコ初めて見たよ…。


「ではご説明させて頂きます~!」

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