アジトで後始末Ⅲ
あとこの三日間で、三回の【一日一回無料召喚】が出来た。
召喚したカードモンスターは、以下の通りだ。
一日目
スライム N Lv 1
二日目
レッドエレメント N Lv 1
(精霊族/火属性/cost 5)
AT:200/200
DT:200/200
コイツは精霊族の中でも、火の精霊の最も下位種にあたる。
見た目はバレーボール大の真っ赤な宝玉が、宙に浮かんでいる姿をしている。
三日目
コボルト N Lv 1
とまあ、こんなカンジだ。
特に"レッドエレメント"は三段階まで【進化】して、Rクラスまで成長するので、しっかりと育てていきたい。
これでこのアジトでする事は、全て終ったかな。
フリード達はパーミルで尋問を受けたあと、中央の王国へ移送されるだろうと、ジョシュアさんが教えてくれた。
まあこれ以上、ヤツとは関係をもつ事も無いだろう。
しっかりとした調査をお願いします!
…ってか、ホントに変なフラグ立たないよねっ?
…
程無くして、すこし向こうからいい匂いがしてきた。
ヒューマンのおっちゃんが、何か晩ごはんを作ってくれるようだ。
時刻は、そろそろ夕方にさしかかろうとしている。
俺のモンスター達は、救援に来てくれた人達があまりにビビるので、皆【カード一覧】のなかにいる。
野良モンスターの夜襲も、初日の"グレイウルフ"以来全く無い。
「もうお仕事終ったニャ?」
暫くしてミールさんが、先程のおっちゃんが作ってくれた晩ごはんを持ってきてくれた。
どうやら俺が"スケルトン"の【合成】や【進化】で、メニュー画面を使っているのを見て、意味は解らずとも何かしていると思い、気を利かして待っていてくれたらしい。
「一緒に食べていいニャ?」
よく見ると、二人分の皿とパンを持っている。
もちろん、嫌な訳があるはずもない!
ちゅーか、転生した日からの中で、今がサイッコーの晩ごはんじゃね?
おっちゃんが作ってくれたのは、肉や豆、麦っぽい何かを煮込んだもので、『ザ・男メシ』的なものだった。
俺が作ってた、ブッコミ料理と大して変わってないが、初めて味わう調味料を使っていて旨かった。
「ウチもこれくらいの料理が出来ニャいとねー」
そう言って、ため息をつくミールさん。
―食べながら、彼女と色々と話をした。
ミールさんは絶望的に料理がヘタクソらしく、村では妹のマーシャちゃんが、食事担当だったらしい。
そのマーシャちゃんは、今は同じ村のおばちゃんと、パーミルの街で待っている。
村でのどんな生活をしていたか、隣のおばちゃんとの話(それがマーシャちゃんと一緒にいる人らしい)、今は亡きお父さんと初めて狩りの時の話等々。
「キミのいた所は、どんなトコだったのニャ?」
話が俺の方に向いてきた時はチョイ焦ったが、とりあえず現代日本を中世ファンタジーに変換して説明してみせた。
「…ず、随分スゴいトコにいたニャーのね。」
―すいません、説明にしっぱいしたようです。
そんなふうにお互いに話し合っていたとき、彼女の左手の甲に赤紫色の紋様が刻まれているのに気付いた。
彼女の小麦色の肌色と似ていたので、今まで気付かなかった。
俺の記憶が正しいなら、別行動をとる数日前には無かったはずだ。
うん、間違いない。絶対無かった。
俺の視線がその紋様にいってるのに気付くと、ミールさんは慌てて背後に隠した。
「ニャ、ニャハハ。何でもないニャー!」
こっちから何も尋ねてないのに、答えてる!
なんちゅーわかりやすい反応だよ!
「そ、そんな事より、もうそろそろ寝る時間ニャ!
明日は日ノ出と一緒に出発するニャーよ!」
そう言ってミールさんは左手を隠すようにしながら、その場に敷いた俺の【毛皮(良質)】にゴロンと横になった。
―え?ちょっと待って。
もしかして、俺と一緒に寝るつもりデスカッ?