表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
123/495

到着Ⅱ

「『ご覧の通り』私の名前は長ったらしいのでね、できればネスフと呼んでもらえると嬉しい。」

そう言うとネスフさんは右手を出してきた。

あ、この世界でも握手はあるのね。


彼と握手を済ませると、俺は勢いこんで訊ねた。

「俺の他にもアルカナマスターを知っているんですかっ?」

俺の性急な質問に、やんわりとスネフさんは応える。

「ははは、そう焦らなくても後でじっくりとお話しいたしましょう。

それよりも、まずはバルスト殿との話が先では?

私とは、帰りの道すがらでもいたしましょう。

―ではまた。」

そう言うと、ネスフさんは軽くバルストさんと会釈して去っていった。


「…すいません、他にもアルカナ使いがいると知って、すっかり動転してしまいました。」

ネスフさんに指摘され、バルストさんとそれにミールさんの事を、ちょっと失念してしまっていた。


「いや、かまわないよ。

俺も最初、彼がまさかキミのクラス(職業)の事を知っているとは、思っていなかったからな。驚いたよ。

まあお陰で他種族に興味の無い、『森の人』の助力を得られたんだ。

キミの話を耳にしたとたん、向こうから協力を申し入れてきたんだ。」

―『森の人』?聞いたことがないな。

「ああ、この森のまだずっと西にある、エルフ達の国の人達を俺達はそう呼んでいる。

彼らは余所者を歓迎しないので、有名なんだよ。」


なるほど、ネスフさんはエルフの国『リファーレン』の人だったのか。

たしかに『リファーレン』はゲームでも鎖国中だったが、あれからスゴい時間がたっているはずのこの世界でも、ヤッパリ閉鎖的なんだな。


「じゃあすまんが、俺達と別れたあとの顛末を教えてくれないか。

俺達の方もどうして早く戻ってこれたか、説明しよう。」

そうですね。まあ単純に戦って、勝ったという話なんですがね。

俺は今日までの経緯をなるべく簡潔に話した。

そして何より"不死者の王アーザン"の事も、『師匠から聞いた話』として伝えた。

何しろ話が話だ。

ただの人拐いで済まされたら、後々ゼッタイ大イベントになって、俺に降りかかってきそうで怖い。


「うーむ、そんな事を企んでいたとはな。

その事はパーミルに着いたあと、領主殿にも説明してくれるか?

さすがに俺の判断で、どうにかする話じゃあない。」

―しかたないっすね。

あんまり公的なトコなんかに、出たくないんだけどなぁ。(←なんか邪魔くさそうなイベントに巻き込まれそうなので)


「じゃあ次に、俺達の方を話すとしよう。」

そう言って、バルストさんは別行動をとってからの事を教えてくれた。


バルストさん達は、このアジトで留守番をしていた盗賊共を蹴散らすと、早速捕まっていた人達を解放した。

幸い、逃げるのに支障のあるほど衰弱していたり、怪我をしている人はいなかった。

そこですぐさまアジトから離れ、一路パーミルまで続く街道まで、なるべく急いで向かった。

なにしろ旅なれていない女性や、小さな子供達を連れての逃亡である。

スピードには限界があり、森を抜けるのに一日かかった。


だがここで一つ目の幸運に恵まれた。

森を抜けて街道に出たところで、大きな隊商と出会ったのだ。

しかもその隊商は、冒険者の一人が一度仕事を受けたことのある、知己の者達だった。


ここでバルストさんは事情を話し、捕らわれていた人達を保護してもらい、自分と村の代表としてミールさん(ある程度体力がある事と、何より自分が行くと聞かなかったらしい)だけウマを借りて、パーミルまで先行したのだ。


ウマを飛ばして、半日強でパーミルに到着した二人は、すぐさま冒険者ギルドに報告、そのまま領主の館にギルド長と共に連絡に向かう。


そこで二つ目の幸運に巡り合う。

領主の館に、ちょうどネスフさんがリファーレンの使者として来ていたのだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ