到着Ⅰ
「あっ!ちゃんと生きてたニャッー!」
もちろん生きてますって。
つか信じてくれてなかったの?
だがそう声をかける前に、ミールさんに飛びつかれて、抱き締められてしまった!
彼女の革鎧の上からでもわかる、豊満な胸部に顔を埋められて、一瞬で理性が吹っ飛びそうになる。
あああ、獣っ娘のええにおいや~!
ありがとうございます!
「…驚いたな。
キミひとりで、本当にヤツらを潰滅させてしまったのだな。」
俺つーか、カードモンスター達が、なんすけどね。
てか、バルストさんに声をかけてもらって、ギリギリ理性が戻りました。
彼の後ろには、10人以上の
精悍な顔をした様々な種族の人達がいた。
ステータスを見てみると、みなバルストさんに近いレベル15前後の人達ばかりだ。
バルストさんから説明は受けていたのだろう、カードモンスターを見て攻撃はしてこないが、バリバリに警戒している。
「おい、ジャイアントまでいるじゃないか。
あんなの聞いてねぇぞ。」
あー、こいつは新入りっす(笑)。
ここまででおわかりになったかもしれないが、あの二日間目の夕方から、さらに三日たっている。
実を言うとこの三日間は大して言う事が無い。
フリードと戦って、メシ食って、寝て。
あ、フリードが一回脱走しようとした事があったくらいだ。
その間にフリードから何とか他にも聞き出そうとしたが、あれ以降あんまり喋らなくなってしまった。
ただ日をおうごとに、俺との戦闘は苛烈を増していった。
あいつの方を見てみると、随分早く救援が着いたのが予想外だったのだろう、驚きとそれに焦りの表情をしている。
そう、俺も少し驚いている。
俺も少なくとも、あと二日間はかかると思っていたからだ。
「ああ、それは運が良かったのと彼のお陰だよ。」
そう言ってバルストさんが指し示した方には、他の人と話している一人のエルフの男性がいた。
俺とバルストさんの視線に気がついたのだろうか、彼はこっちを向いて、話していた人から離れこちらにやってきた。
「やあ、キミが今回の勇者、アルカナ使い君だね。」
俺は彼のステータスを見てみる。
ネサファーレン・ララル・メゼルリウーリオ Lv 59
(ウィザード/エルフ/男/土属性)
AT: 10.950/10.950(+1.050)
DT: 6.335/6.335(+2.250)
スキル:【土魔法/中級】【水魔法/中
級】【フォレストリープ】
おお、いかにもエルフなお名前ですな。
金髪碧眼で俺の頭ひとつ高い長身、そしてエルフお決まりの細面のスゲーイケメンだ。
この世界の人達(といってもまだそれ程の数を見た訳ではないが)は、どちらかと言うと西欧風に近い顔立ちをしている。
そのなかでも、このエルフさんは特にガイジンっぽい。
平均的ニッポン人を自称する俺からすると、ガイジンはたいていカッコよくみえるが、それを差し引いてもこのヒトは超イケメンに間違いないわ。
はあっ!しまった!
転生の時、種族をどうするか訊かれた。
アレ、「エルフにして!」って、言えば良かったぁ!
あああ、俺のばかっ!
などという、しょーもない事を考えながら彼のステータスを見ていたのだが、ふと彼の視線と合う。
そして俺がステータスを見るのに、彼の顔の少し右上を見ているのを彼はハッキリと解ったようだ。
「自己紹介は要らないようだ。
どうやら本物の『アルカナ使い』のようですね。」
―っ!
このエルフ、アルカナマスターを知っている?