アジトの二日目Ⅴ
10万人でも完全復活には至らなかったのだ。
"アーザン"復活に、数百人や数千人程度では、全く数が足らないという事だ。
「…ふん!良くできた作り話しだな。
まあデキとしては、合格点をやろう。」
まあそう言うと思いましたよ。
つか、あいかわらず捕まってるくせに、態度デケーな!
―実際、俺の話はゲームの時のものだ。
"アーザン"の封印は、何万人ものプレイヤーが参加したバトルだったしな。
当時そんなに多くのアルカナ使いが居たかというと、ちょっと考えられない。
というかこの世界であったのは、いったい何年前のことなのだろう?
「なあ、じゃああんたの知っている、アーザンの事はいったい何年前の話なんだ?」
尋ねる俺の質問に少し驚いた表情をしたあと、フリードはメッチャ嬉しそうに笑う。
「俺がオマエに話すはずがないだろう?」
むきっー!一方的にこっちばっかりベラベラしゃべっちまった。
フリードはひとしきり笑うと、
「今時アーザン様の名前を知っている者が、果して幾人いるとおもう?」
…ミールさんも全く知らなかったな。
「名前を知っているヤツの内、更に史実だと知っているの人間は、どれほどいる事やら。」
―まじか。つまりもうお伽噺になっちゃうくらい、大昔っつーこと?
フリードはここで薄ら笑いを消し、探るような目をした。
「オマエは本当に何者なのだ?
こんな古い話しをまるで昨日見てきたように喋るかと思えば、それがどれだけ古いのかも知らない…
まるでその当時の人間のようではないか。」
―あちゃー!俺がさぐりをいれるはずが、逆にコイツに情報を渡しちゃってるよ!
やっぱり俺にはこうゆう腹芸は無理だわ。
よしもうこれ以上、何にもしゃべんねーぞ。
フリードは視線で俺の思考を読みとるかのように、じっと俺を見続けた。
お陰で二人して、妙な沈黙状態が続いた。
―ナニコレ、なんか気まずいんすケド…。
暫く(たぶん数秒)して、フリードは視線を外し、そのまま向こうを向いて横になった。
背中がもう話す気は無いと、語りまくっている。
まあいいか。まだまだ時間はタップリとあると思うし。
それに半ば予想していた通り、ゲームでのイベントが過去の事だと云うのも判った。
…むちゃくちゃ大昔だったのは、想定外だったケド。
さてでは俺と戦士のヤツらもメシにするとしよう。
俺は腹と顔を殴られまくって、ちょっと食欲はねーけど前のダメージ程じゃあない。
―って、うおぉっと!
フリードを縛っとくの忘れるトコだったわ!
これもコイツの作戦か?
…案の定、俺が縛るのを思い出して慌て戻ると、舌打ちをしやがった。
―それから夕方の戦闘までは全く何もなく、マッタリと過ごした。
これだけボケーと過ごせたのは、転生してから初めてじゃないだろうか。
で、夕方の戦いはというと、もちろん俺の圧勝だった。
…カードモンスター達が、
という意味で。
俺は相変わらずサンドバッグ状態で、フリードも全く容赦なかった。
《BATTLE END 》
《YOU WIN! 》
晶貨:18.560→20.980G
スケルトン N Lv 1 × 22
【魔法の骨】× 18
【魔法の骨(良質)】× 2
フフフ、フリード君、俺が目論んでいるもうひとつの事には、全く気付いていないだろう?