アジトの二日目Ⅳ
今回は先のような急襲ではない代わりに、目の前で召喚されたので、すぐさま戦闘となる。
今度は"スケルトン"は俺に向かわず、モンスター達に対峙するようだ。
だがフリードは、まっすぐ俺に突っ込んでくる。
「シャァ!」
―ひぃっ!目を狙ってきやがった!
急所攻撃もお構い無しかっ。
…あ、俺も急所は違うが、"アルラウネ"でやってるか(笑)。
フリードの目潰し攻撃は奇跡的に避けられたが、ヤツはそのまま流れるように背後に回り込み、俺の首を腕で締め上げてきた!
「くくく、このまま窒息死させてやる!」
やべぇ!俺は首に絡み付いたヤツの腕を掴み、必死に引き剥がそうとする。
―そんでもって、簡単に引き剥がせた。
「なにぃっ?」
フリードは驚愕の表情をうかべるが、すぐさま気を取り直し、俺に組みついてくる。
そしてそのまま、至近距離からボディーブローをかましてくれた。
「くぁ!」
威力は俺にとって弱いとはいえ、腹部への攻撃はキツい!
よろめいた俺の顔面にパンチのラッシュが続く。
必死に頭を守ろうとガードすれば、空いた腹にレバーブローを打たれ、それを防ごうとすれば、また顔面パンチと、いいようになぶられてしまう。
しかし急にその猛攻が無くなる。
「チッ!負けだ負けだ!」
「へ?」
気が付くと、俺のカードモンスター達が"スケルトン"を全滅させていた。
《BATTLE END 》
《YOU WIN! 》
晶貨:16.250→18.560
スケルトン N Lv 1 × 21
魔法の骨 × 5
魔法の骨(良質) × 1
…なんか釈然としないまま、戦いは終わったのである。
「おい!腹がへったぞ、メシを持ってこい!」
「あ、はいっ!」
…って、なんで俺が命令されてるのっ?
フリードは戸惑っているカードモンスターをかき分け、自分が入っていた檻に自ら入って行った。
中に入ると、向こうをむいて横になってしまう。
―えーと、まあいいか。
ちょっと早いが、朝昼兼用のメシにしよう。
なんだか邪魔臭くなったので、鍋に干し肉も含めて全部突っ込んで水を入れ、塩と香辛料で味を調えたものを作る。
これまた意外と旨く出来た。
これをフリードにパンと一緒に持っていく。
持っていくとものすげぇエラそうにひったくり、一心不乱に食い尽くした。
「ふん、もう少しマトモに作れねぇのか?
これならオークが作ったヤツの方がましだぞ?」
―ムッカーッ!不味いなら食うなっつうの!
「…俺は一度召喚すれば、半日は"サモンスケルトン"は使えん。
まだ『ゲーム』をする勇気があるなら、次は夕方だ。」
「はあ。」
おもわずマヌケな返事をしてしまった。
「なんだ、さっきのでビビっちまったか?ならさっさと俺を縛って、テントのなかでブルってろっ!」
いや、そんな安っい挑発いらねーし。
それよりなんで急に、協力的になったんだ?
「はあん?別にオマエに協力なんぞ、してはいねぇぞ?
オマエは『聖地』の事を知っている。だから絶対に殺さなければいかん。
そのチャンスがあるから、利用しているだけだ!」
さいですか。
「それより、なんだキサマの体はっ?
それにこのモンスターは、いったいなんなのだ!キサマは何者なのだっ?」
ほう、それを訊きますか。
なら俺の質問に答えてくれたら、ちっとは教えてやってもいいぜ。