アジトの二日目Ⅲ
【天輝竜】の事を思い出すと、不思議と恐怖心が消えていく。
俺は落ち着いてフリードを見据え、モンスターをもっと下がらる。
この前の戦闘でも聞いた、ヤツの呪文を耳にしつつ身構える。
ヤツの周囲に11の魔方陣が現れる。
フリードはまだ動かない。
召喚によって現れた"スケルトン"が、ジャキンときれいに揃って剣と盾を構える。
ゆっくりとフリードが動き出す。
あ、足元にある石を拾った。
うわ、マンガで見たことあるよ。あれだ、握ってコーゲキリョクを上げるってゆうアレだ!
フリードは右手に石を握ると、ゆっくりと近づいてくる。
同時に"スケルトン"も前進を始める。
《BATTLE START? YES / NO?》
イエスを押して戦闘画面に切り替わると、【スキル】から【パワー&ガードⅢ】を押…って、フリードが急にダッシュで迫ってきた!
"スケルトン"もモンスター達を無視して、俺に襲いかかってくる!
あわてて【パワー&ガードⅢ】をセットするのは間に合ったが、スキルが発動するまでにフリード達は俺の目前まで到達してしまう。
「その思い上がった考えのまま、後悔して死ねっ!」
そうフリードは叫ぶと、俺の顔面に殴りかかってくる。
俺は何とか身構えていたので腕でガードするが、がら空きになった所を"スケルトン"がメッタ切りに切り刻む!
「おらぁ!まだまだだっ!」
フリードがすかさず腹に膝げりをしてくる。
「ぐっ!」
体がくの時になった所を、今度は後頭部に一撃をもらい、地面に倒れ伏す。
そこへ"スケルトン"が背中にザクザクと剣を突き立てる。
このあたりでモンスター達も"スケルトン"を
一斉に攻撃し始める。
とにかく『フリードには攻撃を加えるな』の指示だけはなんとか伝えるが、細かい指示は全く出来ない。
"キラーマンティス"が【スラッシュⅠ】を放つ!
―おぎゃあ!
一体の"スケルトン"を吹き飛ばしたのはいいが、【スラッシュⅠ】はそのまま射線上にいた俺にまでダメージを与えた!
―モ、申シ訳無イデゴザルッ!
あまりこんなミスをしないモンスター達がやらかしてしまう程、混戦状態に陥っていた。
っていうか、キミのダメージが一番痛いわ!
そう、フリードや"スケルトン"達がガスガス攻撃をかけてくるが、少し冷静になるとそれほどキツくないのがわかった。
フリードも、前のブーストされていた時は木刀で殴られた位の痛みだったのが、今は竹刀で打たれている位だ。
"スケルトン"に至ってはチクッとした程度である。
俺の体からは、赤と青色の【パワー&ガードⅢ】のオーラが吹き出し始めている。
前回から、支援スキルに自分自身を対象に入れているのが効を奏している。
「ええぃ!なんだオマエの体はっ?」
"スケルトン"の数が半分を割った所で、早くもフリードはもう一度【サモンスケルトン】を唱え始める。
そのお陰で攻撃が薄くなり、俺は立ち上がる事が出来た。
立ち上がって、やっと現状が把握できた。
"スケルトン"はモンスター達を無視して、俺の攻撃に集中している。
その為カードモンスター達は全くダメージを受けておらず、無防備な"スケルトン"を倒し放題になっている。
数もあと二体となっている。
カードモンスター達に余裕がでてきたので、次の召喚に備え、"レッサーデーモン"と"ゴブリンシャーマン"に俺の背後を守ってもらう。
この時点でフリードの【サモンスケルトン】が完了し、10体の"スケルトン"が目の前に出現した。
「くたばれぇっ!」
再びフリードが、"スケルトン"と共に俺に襲いかかる!