表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/495

アジトの二日目Ⅱ

「なぶり殺しにするつもりか…」

そう言ってフリードは、周囲を囲っているモンスターを警戒する。


―良かった、いきなり襲ってくるか、逃げ出すかと思っていたので、向こうから話しかけてきて助かった。

別にそれでもいいのだが、ヤッパリ『ルール』を説明したいしね。


「いやいや、そんな訳じゃあねーよ。

なに、助けが来るまで数日はあると思うんでね、それまでヒマだからちょっと『ゲーム』でもしないかとさそったのさ。」

そう言って、俺は出来るかぎりゲスい顔をうかべる。

「ゲームだと?」


―『ゲーム』の内容はこうだ。

まずフリードが"スケルトン"を召喚する。

その"スケルトン"と俺のモンスター達を戦わす。

モンスター達が戦っている間に、俺達はタイマン勝負をする。

但し勝負の時間は、モンスター達がどちらか全滅するまで。

フリードの"スケルトン"が勝てば俺は潔く敗けを認めて、フリード達を開放する。

逆に俺のモンスター達が勝てば、フリードは捕虜に逆戻りというものだ。

もちろんタイマン勝負の方で、どちらかが倒されてもそこで終了だ。


「キサマ、俺と殴りあいで勝てると思っているのか?」

―ハイ、思っていません。


先日の戦いでも、俺はフリードに一撃も入れられなかった。

戦闘経験に差はあったし、『狂乱の妙薬』でブーストされてるとはいえ、俺が一、二発当てれば倒せると思っていたのが甘かった。

俺はいいように殴られまくった。

本当の殺し合いをしてきた人間と、平和ボケしてケンカも子供の時以来の人間の差がこれ程あるとは思っていなかったのだ。


「アンタこそ、俺のモンスター達に勝てると思っているのか?」

俺はフリードを挑発する。


俺の目論みは、フリードと戦って少しでも自分自身の戦闘経験を積むことにある。

ヤツはもちろん俺を、殺す気マンマンでかかって来るだろう。

だが今回、ヤツは『狂乱の妙薬』でブーストされていない。

まず俺のDT 値が無くなる前に、俺のモンスター達が勝つはずだ。

それに俺も、防御に徹するつもりだ。


この数日で、ヤツより殴り合いが強くなるとは、もちろん思っていない。

俺が必要とするのは、『俺自身が攻撃された時、巧くかわしてモンスター達を勝たせる』能力なのだ。


これからの戦いで、大勢の敵に囲まれる事は幾らでもあるだろう。

それに対して、俺の方はフルデッキで七体しか出せない。

『バーストレイドアタック』という、それ以上の攻撃方法もあることはあるが、これはあるアイテムがないと出来ない。


カードマスターとは、自分に向かって来る敵をかわしつつ、戦場を把握し、モンスター達に指示をだす、という事を出来なければいけないのだ。


これからもそういった相手を想定した訓練は、例えばバルストさん達ならしてもらえるかもしれない。

しかしフリードのような殺す気マンマンな相手と、『訓練』出来る機会はそうあるもんじゃあないだろう。

つまり今は絶好のチャンスなのだ!


「ああ、もちろん"スケルトン"を追加で召喚してもいいぜ。

それに召喚呪文を唱えてる間は、ちゃーんと待っていてやるよ。」

ここでおもいっきりフリードを見下す表情をつくる。


「言いやがったな、小僧っ!

命乞いをしても、絶対にゆるさねぇぞ!」

そうフリードは叫ぶと、【サモンスケルトン】を唱え始めた。


―よっしゃ!上手いことノセられたぜ!

ってか、こっちが圧倒的に有利なのが解っていても、ヤッパこえぇ!


先の戦いで、もう少しでDT 値がゼロになってしまいそうになった時を思い出して、足がすくんでしまう。

―ビビんじゃねぇ、俺!

ここで止めたたら、次に窮地たたされた時も、逃げ出しちまうぞ!

そうなったら、弱いヤツばかりしか相手に出来なくなってしまうぞ。


そう自分に言い聞かせる。

想い浮かべるのは、相棒【天輝竜】のあの瞳だっ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ