合成の悩みⅠ
回復の緑色の光の粒子が俺の身体にふりかかると、今までズキズキとしていた頬の部分とあばら骨の痛みが、嘘のように無くなる。
今までなぜそこに思い至らなかったのか。
たぶんまだ心の何処かで、ゲームの延長と考えてしまっていたのだろう。
全体にかかるスキルに対して、俺は無意識に自分自身を除外していた。
これからは、全体攻撃のスキルも受ける可能性がでてくるだろう。
フリードにダメージを食らわなければ、ずっと気付けなかったかもしれない。
まさしく『怪我の功名』だ。
《BATTLE END 》
《YOU WIN! 》
晶貨:15.850→16.250G
グレイウルフ Lv 1 × 8
【毛皮】× 6
【毛皮(良質)】× 1
…よし、これで"グレイウルフ"を【進化】することが出来るな。
だがそれも明日の朝にしよう。
モンスター達に訊ねたところ、"グレイウルフ"が襲ってきたのはちょうど交代の時間位だった。
タイミングが良かったので、モンスター達を交代させる。
監視役に"アルラウネ"、"キラーマンティス"と最近ご無沙汰の"アングルアイビー"を、火の番に新入りの"スケルトン"と三頭目の"グレイウルフ"を呼び出す。
"グレイウルフ"君には、抱き枕になってもらおう。
"グレイウルフ"に抱きついて寝ていると、何だか転生初日の晩を思い出した。
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翌朝、またもや"グレイウルフ"が、にくきゅーパンチで起こしてくれた。
俺が寝ている間に、捕虜達に何かなかったか"キラーマンティス"に聞いてみた。
戦士の方は最初何とか逃げ出そうと、縛られているからだをごそごそしていたそうだが、"キラーマンティス"達に睨まれ、諦めて寝てしまったそうだ。
フリードはそれとは対照的に、全く逃げる様子もなく、ただ時折俺をメチャクチャ睨んで一睡もしなかったそうだ。
―って、ナニソレこわっ!
まあ当然といえは、当然な事なのだが…。
この件については、後で対処するとしよう。
「るーっ!」
そう言って、"アルラウネ"が俺の裾を引っ張った。
はいはい、教えてくれてありがとう。
【一日一回無料召喚】を伝えてくれたのだ。
それでは忘れない内に、先ずはコレをしてしまおう。
先ずはしっかり正座をして、居住まいを正す。
そしておもむろに柏手を二回叩いてから、【一日一回無料召喚】のキーをタッチする。
捕虜の戦士達が変なモノを見る目でこっちを見ているが、そんなのは無視だ!
―だって少しでもイイモンスターが召喚出来る可能性があるなら、恥ずかしかっても何だってやるべきデショウ!