アジトで戦力拡充Ⅱ
転げるようにテントから飛び出した。
「オウェ~!ゲホォ、ゲホッ!」
おもいっきし、むせこんでしまった。
咳き込むと、ダメージを受けたあばら骨が悲鳴をあげる。
「ハガァ~!痛てぇー!」
ダブルでダメージを受けてしまった。
…これはアレだ、中学の時体育の授業でうけた、剣道のお面のなかのアレだ。
あのスメルを、100%濃縮還元したようなものと思って頂きたい。
とにかくこのまま再びあのテントに入る事は自殺行為なので、"キラーマンティス"にテントの『壁』部分を切り裂いてもらい、風通しをよくした。
それでもまだ中に入る勇気が出ないので、先にもうひとつのテントに恐る恐る入る。
このテントは先のフリードのテントより少し大きい程度で、中は幾つかの木箱が積み上げられていた。
臭いはほとんど何もしない。
ほっとしつつ、その木箱を見てみると、はこにはカギ等はかかっておらず、上面が蓋になっていた。
試しに一番手前の蓋を開けてみた。
…その中身を見た瞬間、俺はその中身が金色に輝いているように思えた。
その中身は何のモノかは判らないが、肉を薄切りにして乾燥させたものだった。
つまり干し肉だっ!
「おおおおおおっ!」
おもわず声が出てしまった。
ひとつ震える手で掴むと、口に運ぶ。
「はぁ~、うめぇ~!」
肉自体はかなり筋ばっていて、滅茶苦茶堅かったが、噛むたびに肉の旨味と塩気が口内に広がる。
―なにせ転生してから今まで、俺が口にしたものはハチミツしか無かった。
アレ自体はかなり美味かったが、さすがに何日も続くとかなり辟易していたのだ。
しかも昨日から何も食わずに、不眠不休でいたからよけいに旨い!
かなり堅いモノなので、一気にかっ込むことは出来なかったが、暫くもくもくと食っていた。
「ふー!食った食った!」
満腹になるまで食いまくったが、さすがは数十人の食糧なので、まだまだ大丈夫だ。
少なくともミールさん達の救援がどれだけ遅くなっても、俺と捕虜達が飢える事は無いはずだ。
隣の箱を開けてみると、こちらはずだ袋に入った豆だった。
大豆を一回り大きくしたようなモノで、箱に満杯入っていた。
その後全ての箱を開けてみて、固いパン・塩・胡椒と山椒の中間な味のするスパイス・何だか解らない果物を干したモノ、といった食糧を手に入れた。
今晩の飯は、今までにくらべればかなり充実したものになるだろう。
あとは衣服と下着が少しあった。
今までの戦いでズタボロになっていたので、早速着替えさせてもらう。
さて、そろそろもうひとつのテントの換気は出来たかな?