対フリード戦ⅩⅢ
「くくくっ!随分と丈夫な体だな。
この薬を使うと、大抵相手はすぐ死んでしまうから面白くなかったが、まだ頑張れるかな?」
完全に遊んでやがる。
ニヤニヤした顔で、かかってこいとばかりに、無防備に突っ立っている。
いいだろう、やってやるよっ!一発でも当てられれば、勝てるはずだ!
「おらぁっ!」
俺は半ば体当たり気味に、パンチをフリードの腹部に向かって放つ。
「おおっと。」
しかしヤツは笑いながら、簡単にかわしてしまう。
「なんだソレは。それならそこらにいる、ガキの方がましだそ!」
しょーがねーだろ!ケンカなんか、小学生以来やったことねーよ!
ってか、ネクロマンサーみたいな魔法職が、なんでこんなに格闘が出来るんだよっ!
それから何とか組み付いてやろうとしたが、それも感ずかれてしまい、地面に叩きつけられた。
「おまえで遊ぶのも飽きたな、そろそろ手足の骨を折らしてもらうぞ…」
うわっ!それって本気で言ってたんだ。
―何か、何かアイツのスキをつける方法はないか?
そう思ってる内にも、フリードはゆっくり近づいて来る。
駄目だ、油断なんかしているようには思えない。
焦っている所に、目の前の戦闘画面が終わり
《BATTLE END 》
《YOU WIN ! 》
の表示が現れた。
―ぜんぜん勝ってねぇよ!
だが続けて出てきた文字で意味が解った。
晶貨:3.320→5.850G
スケルトン N Lv 1 × 23
【魔法の骨 】× 20
【魔法の骨(良質) 】× 3
"スケルトン"との戦いが終わったため、戦闘終了表示がでたのだろう。
―だが今回は、随分終了表示が遅かったような気がするが…?
……それを考えるのは後だ。
でもお陰でヤツのスキをつく、ひとつアイデアが浮かんだ。
ダメもとだ、やってやろうじゃないの。
フリードはもう数m先だ。俺の反撃を警戒してか、それとも更に怖がらせるためか、ゆっくりジワジワと近づいて来る。
俺は防御するフリをして腕を上げ、口元を隠す。
そしてフリードに聞こえないように、小さくつぶやいた。
「【カード一覧】…よし、来い!【スケルトン】【スケルトン】【スケルトン】【スケルトン】【スケルトン】」