第五話【善と悪】
はい、というわけで遅くなりました、第五話です。
今回は第四話の後日談……とはいっても二、三時間程度しかたってませんが。やらかしちゃった後です。はい。
前半はやっちまったことについて、後半はボーンズのことについて話を展開します。展開するはずだったんです。
まあ、ゴチャゴチャ言ってもなんでしょう、第五話どうぞ(チラリもあるよ!)
――――魔武器対策本部
「――というわけで、草原の三分の一が焼け野原になりました」
本部に戻った後、爽覇達は隊長の元へ向かった。
やってしまったものはしょうがない、ここは正直に謝ろう。
最初はそう思っていたが、時間がたつにつれて頭の中に言い訳が募ってくる。
「だってしょうがないじゃないですか。武器の扱いも知らないまま駆り出されて、加減をして戦うなんて無理があるでしょうが! 大体、能力が分かってんだから場所を考慮してくれてもいいでしょうに!」
(……って、言えたらなぁ)
人は心の中ではいつも強気なもんさ。そうでしょう? そんなことを考えている間、爽覇の横で淡々と報告をする裏無。彼は爽覇の失態を後始末してくれたが、報告の様子からそれは憐みの情ではなく、事務的なものであったということを示しているようだった。
その寸分の狂いもない単調な言葉に隊長は飽きてしまったらしく、睡魔と格闘しながら話を聞いている。いや、もう闘ってすらいないかもしれない。
「――以上が任務の結果です」
ビクッと隊長が動く。なんだか必死に目を抑え、目薬を差して何度も瞬きをしている。そりゃ目を開けたまんまじゃそうなるよ。
「……了解した。こちらとしても場所の考慮などが必要だったかもしれん。今回については特にお咎めなし! ただし、二度とこういうことを起こさないでくれ」
「はい!」
「なお、燃えてしまった草原については心配しなくていい。あそこは数年前エンマが暴れて全焼させたことがあるからな。また何年かたてば元に戻るさ」
あれ? 今さらっと恐ろしいこと言わなかった? エンマがこう、なんとかって。
ともかく、今回はそれほど大きな問題じゃないって分かって安心したし、なにより武器の扱いが分かったのは大きな収穫だろうと思う。
「それでは失礼します」
「失礼します」
涙目でなんとか体裁を崩さないようにしている隊長を置いて、二人は待機所へと戻っていった。
『うぐぁぁぁ! 目がぁ、目がぁぁぁ!!』
『た、隊長! 大じょ……うわっ! 何やってるんですか!』
『おい! 目薬もってこい! 隊長がいつも使ってるやつだ! 早くしろ!』
『何!? 使い切ってあるだ? バカヤロー!! さっさと買ってこい!』
……俺には何も聞こえないゾ。何も……
――――待機所
待機所に来るとすでに他のメンバーが帰ってきていて、爽覇達を迎える。
「やあ、僕たちより遅かったみたいだね」
「おかえり~。そっちは大変だったらしいじゃない」
「ソウハ! おまえ草原燃やしたらしいな!」
なんでエンマだけそんなに嬉しそうなの? 言っとくけどお前とは規模が違うからな。
自分のことを棚に上げてからかってくるエンマに、爽覇の顔が少し歪む。
「カケルも最初はコントロールが利かなかったけど、さすがにあんな被害は出さなかったぜ」
それは遠まわしにセンスがないっていいたいのか? そうなのか?
メンバーのラッシュは止まない。爽覇は共に行動した裏無に視線で助けを求める。
そして目があった瞬間、ソファから立ち上がり、
――どこかへ行ってしまった。いや、彼はきっと俺を助けに帰ってきてくれるはずだ。
満足したのか飽きたのか、一方的な言葉の暴力は止んだ。
そこで、爽覇は任務中の疑問を思いだす。
「そういえば、ウラナからボーンズのこと聞いたんだけど、あいつの話からすると正義の味方的なものがいるっていうことでいいのか?」
「……えっと、それはどういう意味?」
「だから、『勧善懲悪の思想から生み出された絶対悪』って言ってたから、善悪の善がいなきゃおかしいなってさ」
「つまり、ボーンズを退治する存在とかはいないのかってこと?」
「そういうこと」
短い沈黙の後、ルリカが答えた。
「……いると言えばいるんだけど、ちょっと説明が難しいわね。あなたの世界には無いものだし、アタシたちもそこまで詳しいことは分かってないの」
「そうなんだ。わかる分だけでも聞かしてくれない?」
ちょうどその時、タイミングを計ったように裏無が戻ってきて少し離れたところに座る。その手には何冊かの本を抱えていた。チラッとタイトルが見えた。えっと、『無能な上司を自然に辞めさせる方法』……ヤベェ、こいつさっきの怒ってるよ……
「ちょうどいいわ。ウラナ、あの話してあげてよ。あなたが一番よく知ってるし」
「何のことだ」
イライラした口調で裏無が答える。やめろ、そいつ今ヤバいから、マジで怒ってるから!
ルリカはそれに気づいていないらしく話し続ける。いや、むしろ怒っているからわざと話しかけてるような気もする。
「クロノギア神話のこと。いずれは話さなきゃならないし、そういうのは得意でしょ?」
「わざわざ俺が話さずとも、貴様がすれば十分だろう。俺はまだやることがあるんだ」
そういってテーブルの上に持ってきた本を並べ、パラパラと読み始める。世に言う速読というやつだろうか。
その様子を見てルリカは一度溜め息をつく。
「じゃあアタシが説明するね。まず、クロノギア神話っていうのはこの世界の神話なんだけど、その話に出てくる神様はよく姿を現すらしいの。アタシやウラナが生まれる前、アタシたちの親とかは見たことあるみたい」
「ってことは宗教みたいなものか?」
「んー、まあそういう感じね。ただ特徴的なのは神様自身が悪いもの、つまりボーンズを生み出したことかな」
「じゃあ、その神様の勝手な都合であんな化け物が現れるようになっちまったと?」
「そこは色々説があるんだけど……」
「はい、そこまで~。バスタイムで~す!」
ルリカがそこまで話すと待機所に誰かが来た。どうやら風呂の順番が回ってきたみたいだ。
ここは多くの隊員が所属しているため、部屋の量だけでも半端ではないらしい。その上、土地にも限度があるので風呂は大浴場で交代制でやりくりしている。食事も時間を決めて何チームかずつ食堂で済ませていくという。
「お風呂の時間じゃ仕方ないね。多分そのあと夕食だから、その時にでも」
「分かった。ありがとう」
……その後、疲れたんですぐ寝ました(笑)
いや~、大変だった……え、ああ、はい、すいません。
なんか、こう、調子のってしまって、はい、いや、そんなつもりは……いや、なんでもないです。その、本当に申し訳ないと思ってます。あの、謝りますから。
本当に……………………………………すまないtp痛、ちょ、なにす、いや、すいません。
なんか、怒られました。ともかく、内容に触れていきましょう。皆さんチラリは拝めましたか? あれは拝むもんじゃないですが。
次回はちょっと分かり辛い感じになると思います。
それではまた次回で会いましょう。




