第四話【ガンソード】
はい、というわけで後編です。
戦闘シーンというわけですが、なかなか難しく、微妙な仕上がりになってしまいました……。まあ敵はザコなので元々そんなに長い場面ではありません。
それでは、どうぞ。
――――ピリッポス草原
穏やかな風が吹く中、黒い怪物が暴れまわる。
「ソウハ、早く武器を使え。今回は貴様のための任務なんだからな」
「わかってる」
そういって爽覇は自分の武器を構える。継承式でもらったガンソードを、両手で構える。
「不格好だがそれでいい。貴様の使い易い方法で行け」
黒い塊、ボーンズが動き出すと同時に、爽覇がボーンズに向かって走り出す。
「うおおぉぉぉぉ!」
初撃。怪物には効いてなさそうだ。さらに爽覇は追撃を繰り出すがそれも効果は薄い。その後、怪物の反撃を間一髪でかわし、悲鳴をあげながらダッシュで元の場所へ戻ってくる。
「はぁ、はぁ、ウラナ、あいつの、弱点は、分からないのか」
「このボーンズは見た目通りバランスが悪い。足を攻撃して転ばせ、腹に一撃叩き込んでやれ」
裏無に言われた通り、爽覇は怪物の足を狙いに行く。しかし、相手の武器は狙いである足。攻撃が出来てもバランスを崩す前にカウンターを仕掛けてくるはずだ。
「武器の能力を使え。魔武器なら必ず何かあるはずだ」
簡単に言うな、使えたら初めから使っているよ!
やり方もわからず、爽覇は適当に武器をいじくってみる。そして、剣のグリップの下に、ボタンのようなものを見つけた。
(これか!)
カチッ、という音とともに爽覇の武器が変形し、銃の形になる。さらに、爽覇の周りに十数個の光のかけらが現れた。
「おおっ!」
思わず声を上げる。その隙をつくようにボーンズが攻撃を仕掛けてくる。
「愚か者! 油断するな!」
気づいた頃にはその黒い足は爽覇の目の前まで迫っていた。ヤバい、そう思って爽覇はとっさに身を庇う。
その黒い足は爽覇に振り下ろされた。が、爽覇は無傷。目を開けてみれば、目の前には爽覇の周りを漂っていたかけらが集まって、見事に攻撃を防いでいた。
「――そうか、レヴィアタンは絶対神の作り出した最強の生物。その体はどんなものでも砕くことのできない鱗で覆われているという。その武器の力は最強の盾、ということか」
裏無が淡々と分析をしている間、爽覇と怪物は拮抗していた。
(防いだはいいものの、ここからどうしよう)
ひとたび構えを解けば、この壁は散ってしまうかもしれない。そうなれば痛いだけでは済まない一撃が自分の体に叩きつけられる。かといって、このままでは両脇の隙を突かれてやられてしまう。考えている猶予もあまりない。
「一か八か、賭けるしかないよな!」
爽覇は庇うようにしていた腕を、振り払うように動かした。すると、目の前の光の壁は黒い足を弾き返し、爽覇の周りに集まっていった。
「!?」
「よし!」
体重を乗せていた足が押し返され、四足の怪物は一気にバランスを崩す。足元に広がる草原によって足を滑らせ、大きな体が横になる。そのチャンスを逃さず、爽覇は銃を両手で構える。
「くらいやがれ!」
銃口からオレンジ色の火の玉が乱射され、怪物の腹を襲う。ボーンズが弱ったのを確認し、爽覇がとどめの一撃を構える。
「とどめだ!」
爽覇の銃から熱線が放たれ、弱り切ったボーンズを直撃する。爆音とともに黒い塊が跡形もなく消え去った。
「やった……」
成し遂げたという達成感と恐怖からの解放感から、思わず脱力する。ホッと一息ついたところに、裏無が近づいてきた。
「ソウハ」
褒めてもらえると思った矢先、裏無がおもむろに爽覇の後ろを指さす。
「……やりすぎだ、愚か者」
ゆっくりと振り返った先には、真っ赤に燃え盛る草原が広がっていた。
もっと熱くなれよ!!
……空気が冷めたところで後書きを。
今回は主人公の能力を見せるところでしたので、ウラナさんは傍観しています。というのも、主人公と違って彼には彼の見せ場を用意していますので、そこまで待ってください。
書いたあと思ったのですが、主人公が剣の扱いに慣れてる感じになっちゃいました。いや、彼は運動部所属で、更に元から才能があったのです。後付け上等!
剣の重量は片手だとちょっと無理かな程度で、銃は両手で構える形。振っても体重を持って行かれることはないです。
はい、じゃあ次回のお話について。とはいうものの、またグダります(笑)。個人的にグダグダトークが好きで、今後もちょくちょく挟んでいきます。あ、もちろんシリアスなふいんきをぶち壊すようなことはしません。
絶対と断言したいところですが、絶対っていう人に限って大体信用なりませんからね。だから絶対とは言いません。絶対!
……あ。
では次回もよろしくお願いします。




