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第三話【ボーンズ】

 どうも、ぜろごーきです。

 春休みが明け、なかなか編集が出来なかったのですが、なんとか三話目を投稿することができました。

 今回は主人公の初任務! 果たして彼はどんな結果を出すのか。前後編で書かせていただきます。

 それでは、どうぞ。

――――魔武器対策本部

 自己紹介も終わり、それぞれやりたいことをしているとき、隊員の一人が隊長の元へ駆け寄っていった。


「隊長、Bブロックで反応あり。『ランクD』です。至急派遣チームを」


「はいよ。ちょうどいいや、ソウハ! お前行って来い」


「え、ああ、ラ、ラジャ―」


「あと、誰でもいいからサポート頼む」


 すると真っ先にエンマが手を挙げた。


「じゃあオレが……」


「俺が行きます」


 大きな声で叫ぶエンマを、裏無が椅子から立ち上がって手で制した。


「よし、ウラナ頼んだぞ」


「おい! オレはどうなんだよ!」


「お前じゃコイツを置いてぶっ倒しちまうだろ」


「むぐっ」


 否定することもできず、エンマはまるで水をかけられた火のように意気消沈してしまった。確かに彼の印象からしてすぐに敵めがけて突っ込んでいきそうな気がする。


「隊長。Dエリアに反応あり。『ランクB』です。派遣チームを」


「ちょうどいい。他のメンバーはここに行け」


「おう! やってやんよ!」

「は~い」

「了解です」


「じゃあ各自出動!」


 隊長の声で、全員が各々の任務へ向かった。




――――Bブロック『ジーザス合衆国』上空

 指令が出てから、爽覇と裏無はヘリで反応があった場所へ向かった。ヘリの中で、二人は向かい合ったまま無言で座っていた。緊張のせいなのか、爽覇の手が震えている。沈黙を破るように裏無が口を開く。


「そんなに構えなくていい。Dランク程度なら今の貴様でも倒せる」


「……武器の扱いを知らなくても?」


 下を向いたまま爽覇が話す。


「そうだ。大体、武器の扱いはセンスだが、センスのないやつをわざわざ異次元まで行ってスカウトするはずがない。カケルや貴様のようにな」


「そう言われればそうだけど」


 いつまでも不安がっていては埒があかない。気分転換に爽覇は出動時に渡された地図を広げる。予想はしていたが、この世界は向こうの世界と地形が全く違う。辛うじて北極と南極らしい場所が存在するくらいだ。

 とりあえず目的地を確認する。

 ジーザス合衆国。どうやら聖書に出てくる十二使徒の名前が州の名称となっているようだ。

 今から向かうのはフィリポ州のピリッポス草原というところで、話によれば馬の育成のために使われているらしく、そこで育てた馬は神の加護を受けてかなりの名馬になるという。

 だがそんなことは任務には関係ない。


「なあ、敵の情報とかないの? 例えば武器の種類とかどんな能力だとか」


「組織のレーダーは最先端の技術を使っているが、細かい分析は不可能だ。分かるとすればどんな魔力を感知したかぐらいだが、ランクC以下は魔力が中途半端で判別が難しいな」


「そうか……」


「ほら、着いたぞ。降りろ」




――――フィリポ州、ピリッポス草原

 ヘリを降りると、そこには穏やかな風の吹く草原が広がっていた。

 さすがにヘリの音に怯えてしまったのか近くに馬の姿はないが、足元を見ると所々地面が浮き出ていて、草が食べられたような跡がある。

 一見平和なように見えるが、爽覇たちがここに来た理由である危険な何かが潜んでいるのだ。


「おかしい……」


 不意に裏無が口を開く。振り返ってみれば、裏無が辺りを見回している。

 その姿に不安を感じ、爽覇は落ち着きが無くなっていく。


「どうかしたのか」


「ここには多くの馬がいるはずなんだが、一頭も見えない」


「ヘリでビビって居なくなっただけじゃないか?」


「俺は何回かこの草原に来たことがある。確かにヘリの音で怯える馬もいたが、必ず何頭かは姿を見せていた。一体何が?」


 爽覇はこちらの人間でないためよく分からないが、生まれた時からこちらに居る裏無が言うならばそうなのだろう。爽覇の体に嫌な汗が噴き出てくる。

 では一体何が起こっているのか?

 その疑問は数秒後に解決した。


 裏無が話し終えてから間もなく、遠くから何かが近づいてくる音を確認した。

 その姿を確認したとき、爽覇は思わず『うっ』と顔をしかめた。


「やはりそうか」


 現れたのは怪物。その姿はどす黒く、体の数ヶ所が隆起して脈を打っている。四足歩行というか、足と呼んでいいものかすら疑問に思ってしまう。


「こいつは勧善懲悪の思想に生み出された絶対悪、『ボーンズ』だ」


 ――ある者は問う、正義は何によってその存在を保たれているのか。

 その答えは皮肉にも、悪の存在。

 悪が無ければ正義は無し。正義が無ければ悪は無し。そんな矛盾とも思える相関的な構図が成り立っているのだ。

 もしも悪が無かったとしたら、どれだけ平和なことだろう。それとは裏腹に、正義は恐れうる力として隔離されてしまうに違いない。

 卵が先か、鶏が先か。どちらにせよ、善悪は両方存在しなければ成り立たない。


「そしてそのくだらない思想によって、俺たちの世界にはこんな化け物が現れるようになったんだ」


 黒い塊はうめき声をあげながら二人に襲いかかる。


「さあ、仕事の時間だ。気を引き締めろ」


 爽覇の初任務が今、始まった。




 はい、というわけで前編終了です。

 ぶっちゃけ戦闘に入ってないのでつまらない感じもします。

 まあそれは次回までのお楽しみ、ということで。


※補足

 本編で『魔剣対策本部』となっていますが、怪物退治も彼らの仕事の一つです。

 いや、もう正直に言います。

 ……そこの設定を忘れてました。すいません。

 これは後付けという形で把握してください。


 次回、後編!


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