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殿下、決して盛ってなんかいません!私は真面目にやってるんです。おまけに魅了魔法効かないじゃないですか!どうするんです?  作者: はるくうきなこ


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21-2グレンはいい人?いやな奴?もう、わからないから


 宿に着くと3人で部屋を取ってあった。

 もちろんアリシアはひとり部屋がいいと言ったが危険すぎると言われて却下された。

 1階の食堂で食事もできるがアリシアは少し前に食べたばかりだったのとショックで食欲はなかった。

 「アリシアをひとりにするわけにはいかない。何しろあいつらアリシアの事を探してるはずだ」

 「ああ、何か買って来て食べよう。ヴィル、アリシアを頼む」

 「いや、グレン今度は俺が行く」

 「いいから待ってろ!その代わり油断するなよ」

 グレンは何度もヴィルにそう言って宿を出る。

 そして屋台でパンにソーセージを挟んだものや飲み物を買ってすぐに帰って来た。



 部屋で食事を取りながら話をする。

 「でも、どうしてアリシアが生贄にされるんだ?」

 ヴィルはパンを頬張りながら聞いた。

 「魔狼をおびき寄せるには聖女がオルグの泉で祈りを捧げるのがいいんだって、でも、本当は聖女が死んでその魂の輝きに惹かれて魔狼が現れるみたい。そして魔狼が泉に飛び込んで…そうすれば魔界に戻せるって言ってたような…」

 その後役立たずのアリシアがやっと役に立つときが来たとか…何よ。

 アリシアは気分が落ち込んで大きくため息を吐いた。



 「そんな手っ取り早い事が出来るんだ」

 「グレン。それ、アリシアが犠牲になればよかったって言ってるみたいじゃないか?」

 「違う。誤解だ。そうじゃないんだ。実は今朝ものすごい魔獣の声が聞こえて魔獣の森に行って来たんだ。俺の母は魔王ガドーラの弟の娘だったらしくて…」

 「じゃあ、グレンは魔王の親戚なの?すごい。それに魔王ってガドーラって名前なんだ」

 アリシアはさっきの気落ちは何だったのかと言いたいぐらいその話に食いつく。

 「ああ、そうらしい。それで魔族と話が出来たんだけど…おい、アリシア近い!」

 グレンは身を乗り出したアリシアから人ひとり分距離を取ると頭をわっしゃわっしゃかき回した。

 「ごめん。つい…」アリシアはまるで魔法のランプの精がランプに戻るようにしゅ~うと身体を引っ込めると落ち着くために茶をすすった。


 「それってグレン、やっぱり体臭とかでわかるの?」

 「あのな。俺は臭くない。まあ、でも匂いだ。魔王の匂いは特殊らしくて…まあ、それはいいんだ。本題はここからだ。実は魔王の魂が盗まれたんだ」

 アリシアはお茶を吹き出しそうになった。ヴィルは食べかけのパンを落とした。

 そして声を揃えて言った。

 「「だれに?」」


 「魔狼にだ。あっ、でも、心配するな。魔王は死んではいない。冬眠したみたいに最小限度の魔力で生きている。でも時間に限りがあるらしい。それで俺が魔狼から魔王の魂を取り返してくるように頼まれた。アリシアたちの事も話したのも悪かったが、でも、あの弓矢があればやっつけられるんだろう?」

 グレンはそう言うとヴィルを見た。

 「ああ、そう聞いた。でも弓矢はアレーナ国の王宮にあるんだ」

 「はっ!どうして持って来なかった?」

 「あの時はすぐに戻るって思ったから…まさか国王暗殺の疑いがかかるとは思ってもいなかった」

 「だが、アリシアたちはこんなに早くどうやってティルキアに戻った?」

 グレンがやっとそのことに気づく。


 ヴィルも応えに困ってアリシアが話をする。

 「それは…王宮で国王暗殺の疑いで捕まりそうになって…それで逃げなきゃって思ったら転移魔法が使えて…」

 「アリシア、お前すごいじゃないか」

 「ううん、私だってそんなこと出来るなんて思ってもいなかったのよ」

 「でも、お前にはかなりの力がありそうだもんな」

 「そんなの…グレンの方がすごいから」

 グレンはとても32歳とは思えないほど照れて耳まで赤くなった。

 

 「コホン!ああ、そうだった。ベルジアンがまだ王宮にいるんだ。まあ、あいつは強いからそうやすやすとはやられないからな。そうだ!」

 いきなりグレンが宙に向かって文字を書き始めた。それは空中で金色の文字となって浮かび上がりあっという間に一列に並んだ。


 「これは?」

 アリシアもヴィルは不思議なものを見るようにそれをじっと見つめる。

 「魔波手紙とでもいうのか?この光の文字が高速で相手の所に飛んで行く。目指す相手の前に行くと相手にはこれが手紙だと分かるから相手が読みたいと思った時に文字が浮かぶあがる仕組みになっていて…」

 「あなたってやっぱりすごいわぁ…」

 アリシアのグレンを憧れの君をみるように見つめる。

 その距離はまた近づく。

 「アリシア!だから近い。それにそんなに見つめるんじゃない!」

 グレンはしっしっと子犬でも追い払うように追い払う。


 「あっ、ごめん。それでベルジアンさんは王宮で何を?」

 あの夜帰ってこなかったから心配していたのだ。

 「ああ、父の死亡の原因を突き止めようと思って…だって埋葬されたらもう証拠が掴めないと思ったんだ」

 「毒を盛られたとか?」

 「ああ、ベルジアンは闘技場で戦う奴隷だった。あそこでは色々な毒も使うらしい。助かるためなら何でもやる。だからベルジアンは毒には詳しいんだ。だから父の遺体を調べれば何かわかるかもって…だかそれはもういいからヴィルの弓矢を持ってこっちに来るように手紙にしたためた」

 したためた。なんておかしくないか?と言いたかったがそこはぐっと抑えて。


 「ああ、でもティルキア国まで来るのにどれくらいかかるんです?」

 「いや、俺の執務室に魔法陣があるから、そこに来れば俺わかるから、転移魔法で」

 「「あっ、やっぱり!」」

 ふたりが声を揃えてそう言った。


 「あっ、でも場所は誰にも見られない所にするつもりだ。心配するな」

 アリシアはグレンを羨望の眼差しで見つめた。

 さすがは魔獣の血を引いた。しかも魔王の血を引いたグレン。すごいです。


 

 「そうだ!グレン、転移魔法するなら今でもいいんじゃ?そうよ。私たちがアラーナ国にいけばいいんじゃ?」

 「へっ?アリシア、さっき転移魔法をするなって怒ったじゃないか!だから…」

 「それは人のいるところだったから…あっ、でもここからいなくなったらまずいわね。ううん、いいの。この話は忘れてグレン」

 アリシアはグレンが可愛いと思えて、いきなりぱっと抱きついて誤った。

 「…っ。アリシアいいから俺から離れろ!ったく。むやみに俺に近づくんじゃない!」

 「ひ!!………」

 グレンの眼差しは赤い炎のように揺らめいていてその視線でアリシアをぎろりと睨んだ。

 「グレン。ひどい!」

 アリシアはせっかくグレンを見直したのにやっぱり最低な男だと思った。







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