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07.呪いを抱く聖女に命はいらない


 三人の少女は、祈りの間と呼ばれる城の最奥にある暗い部屋に集まっていた。

 三人が取り囲むようにして立つその中央には、結晶の中に閉じ込められた三つの花がある。

 燃える炎のような真紅の薔薇、深い海のような群青の薔薇、そして生い茂る若葉のような若竹色の薔薇。

 どれも美しい姿を保ったまま、時間をとめられたかのように朽ちる事なく、揺らぐ事なくその場に鎮座している。


「幻想騎士達を終焉の地には向かわせない」


 赤い髪の少女が言う。それに頷いて答えたのは、空色の髪をサイドテールに纏めた少女だった。


「彼らが終焉の地に辿り着けば、幻晶花は失われる」


「私達の花も枯れる」


 桃色の髪の少女が続ける。

 彼女達の目の前にある氷漬けの薔薇は、不変であるように見えるが、それは幻想騎士達と命を繋いだからだ。


 人間である彼女達は本来、時と共に成長し老衰する。

 新たな幼聖が見つかるまで、幻想騎士を縛るものは存在しなければならない。

 人間を捨ててでも、彼ら――呪いから生まれた幻想騎士を縛り付けておかなければならない。


「終焉の地には行かせない。国のためにも……私達のためにも」


 桃色の髪の少女が手を伸ばせば、赤髪の少女も青髪の少女も互いに手を取った。

 一つの結晶の中に閉じ込められた、三つの薔薇。

 一つの思いを胸に決意を固める三人の少女。

 そして、その三人の少女に縛られた、三人の幻想騎士。

 呪われた騎士達を縛る為に、命を凍らせた三人の幼聖は誓い合う。


「呪いは私達が責任持って、封じ込めましょう」


「呪いを抱いた聖女に、命はいらない」


「呪いがその力を失うまで、私達は人ならざるものであり続ける」


 儀式の言葉を紡ぎ、少女たちは頷きあった。

 黒百合のろいを抱く聖女に、いのちはいらない。そう自分たちに言い聞かせるように。

一先ず完結です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

誤字脱字・感想・アドバイスなどありましたらお気軽にメッセージ下さい。

よろしくお願いいたします。

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