死人に口なし、生者に口あり。
このお話は心霊現象や事故の表現がございます。
詳細な表現は控えていますが苦手な方は
ブラウザバックを推奨します。
20代後半のとある女性とその親友の女性がいました。
彼女達は同じ仕事場で働き、
よくお昼のバラエティ番組を見ながら
一緒に食事を取ってた。
二人はとても仲が良く小さい頃からの幼馴染で
家も近く、休みの日でも少女は親友の家に行って
一緒にお昼ご飯を食べながらお昼のバラエティ番組を
見ながら雑談している。
お昼のバラエティ番組では視聴者を会場に招いて
一緒に番組を盛り上げながら進行していく。
美味しい食事処やスイーツを紹介したり
ちょっとした視聴者参加型ゲームをしたり
視聴者からのお便りを読むコーナーがある。
二人はその番組の情報を共有して雑談するのが
日課なのであった。
ある日、二人はいつも通りお昼のバラエティ番組を
見ながら食事を終えて、雑談を楽しんでいた。
気づけば、あれしたい、何したい、どこ行きたい、
ああしよう、こうしようと、夢や将来の話に花を咲かせ、
未来の話をしたかと思えば、あの時は良かった、
あの時は楽しかった、あの子どうしてるかなと、
昔話に花を咲かせる。
なんら変わりない、二人のいつも通りの日常。
ある日、親友はで脳出血で亡くなった。
突然死だった。
急な出来事に女性は言葉をなくし
三日間ひたすらに泣いた。
切り替えの速さが取り柄の女性は必死に
親友が亡くなった事を自分に言い聞かせ
四日目にケロッと立ち直った。
本当はそんな簡単に立ち直る訳ではなく
周囲に迷惑をかけまいと立ち直った振りを
しているだけだった。
必死に親友を亡くした喪失感からか
女性は親友の馬鹿な話を愚痴のように周囲に話す。
親友は自分の話はあまりしない人で
周囲に自分の話をされるのも嫌だった。
亡くなってしまった今だから怒られずに
話せるけど、親友がもし聞いていればと思うと
時々、申し訳ないなとも思った。
しかし、女性は親友の馬鹿話でもしないと
気力が保てなかった。
親友が亡くなって数日後にある手紙が届く。
それは親友と一緒に応募していた
いつも一緒に見ていたお昼のバラエティ番組の参加枠
当選の手紙で、中には二枚のチケットが入っていた。
受け取った女性は亡くなった親友涙を流し
無かったことにしようとしたが
数日考えて番組に一人で参加する事にした。
都内某所のテレビ局に到着して
スタジオに案内され席に着く女性。
周囲には五十人程の観客がいる。
隣に座っている筈だった親友の席は空席。
番組がスタートしていつ通りの流れで進行していく。
隣に親友がいたらどれ程楽しかっただろうか
そんな事を考えながら目に映る光景を流し見ている。
何事もなく最後のお便りのコーナーに入った時
会場はとんでもない出来事で騒然としてしまう。
司会者がお便りを手に持って読みあげようとした時
手に持っていた紙が司会者の手から離れて
落ちることなく空中にピタリと止まっている。
全員何が起きてるか理解出来ずに
不思議そうな顔をしていると突然……。
「許さない」
会場にマイクが拾った音声が響き渡り
空中にピタリと止まっていた紙がヒラヒラと落ちた。
スタッフや客席の人達は恐怖から慌てふためく中
驚きながらも演者の対応で何となく放送は終わる。
いったいあの声は何だったのだろうか。
人間のものとは思えない憎悪に満ち溢れた声。
頭に残り響く謎の声で酷い頭痛に悩まされる女性
スタジオを出て向かい側の道路に亡くなった筈の
親友が笑顔で立っていた。
女性は堪らす涙を流して助けを求める様に
亡くなった筈の親友の元に駆け寄る。
女性は大型トラックに跳ねられ
トラックの下敷きになってしまう。
レスキューが直ぐに駆けつけるも
とても残酷な姿で救出され即死が確認された。
きっとこの女性は親友の嫌がる事をしてしまったが為に
故人の怒りに触れてしまったのでしょう。
どうか皆様も故人の嫌がる事は
本人に知られる事がないとはいえ、
しない様にしましょう。
ご覧頂きましてありがとうございました。