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魔王ちゃんとサキュバスちゃん、洋服屋さんに入店する

 町までの移動は基本的に徒歩だ。


 キュピス諸島の入り組んだ地形とは違い、この広大な一面の砂景色の中では銀翼竜での移動はあまりに目立ち過ぎる。


 新設魔王城からある程度の距離まではアサルトバンカーを利用して移動してもいいが、そちらも目立つ上、射出した杭を差し込める岩盤を見つけなければならないので、基本的には砂漠での移動には適さない。


 そんなこんなで、砂上を歩き通して三時間弱。

 魔王ちゃんとサキュバスちゃんは白のテリトリー"ネヴィリオ自治区"へとやって来た。


「やっぱりキュピス諸島とは丸っきり違う景観だねー」


「緯度も経度も全然違うからね! 私はこの辺りではどんな食材が手に入るのかが気になるな~っ! えへへ、新しい土地に来ると食べられる料理も変わるから結構楽しみなんだ~!!」


「魔王ちゃんは本当にお料理が好きだねー」


「もちろん! 作るのも食べるのも大好きだよ~!」


 二人は適当な雑談をしながら、砂丘を降りて人族の町の中に紛れ込む。


 この辺りの人族はキュピス諸島とは違って布面積の多い服を着ている。

 直射日光の激しい赤道付近の地域だからこその衣装ということだろうか?


「サキュバスちゃんの格好だとかなり目立つね」


 魔王ちゃんは通りがかったお店で適当な服を見繕う。


 魔王ちゃんたちは人族の目から見て魔族とバレないよう、白のテリトリーでは常にカモフラージュの魔法を掛けている。

 しかしその魔法の効力にも限界があるもので、さすがに今のサキュバスちゃんの露出度は、ここ"ネヴィリオ自治区"では通用しそうもない。


「これとかどうかな? サキュバスちゃんに似合いそうだけど」


「うーん……私あんまり布面積が多い服好きじゃないんだよねー……。なんか布が擦れる感じとか嫌だしー、暑いし-、私の魅惑のボディが隠れちゃうでしょー?」


 それっぽいポーズをしながら、微塵も思っていなさそうなセリフを吐くサキュバス。

 魔王ちゃんははいはいと軽く流し、何点か選んでサキュバスの前にかざしてみる。


「魔王ちゃんー、思うんだけどー別に民族衣装である必要無くなーい? 魔王ちゃんだって白のワンピースなんだし、私もそれくらい適当な服でいいと思うんだけど-?」


 そう言われて、ネメスは鏡で自分の服装を確認した。


 いつもの白いワンピースだが、これくらいなら別に町で浮くこともないとは思う。

 実際、ここまでの道のりではサキュバスだけが視線を集めていたし、たぶん問題ないはずだ。


「それもそうだね。サキュバスちゃんは着るならどんな服がいい? 今着てる下着みたいなのは無しね?」


「魔王ちゃん、私のデフォルトの服装に対して結構辛辣だけど、そういう魔王ちゃんのデフォルトの服装はどうなのー? なんか、見る度に衣装のデザインが少しずつ違う気がするんだけどー?」


 サキュバスの素朴な疑問に、魔王ちゃんはふんすと胸を張る。


「私はデフォルトが裸だから、これは全部自分の魔力で編んだ自家製だよ! 可愛いでしょ!」


 魔王ちゃんはくるりと回り、今着ている白のワンピースを黒染めのものに変更する。


「その魔力勿体なくなーい?」


「裸でいるほうがマズいよ! 恥ずかしいし!!」


「でも魔王ちゃんは肌も綺麗だし可愛いから、そんな服で誤魔化さなくてもいいと思うよ-? そもそも、大抵の魔族は服なんて着ないんだしー」


「魔族基準ではそうかもしれないけどっ!! 人族基準ではお洋服は着てなきゃいけないものなのっ!! 私は人族との和平がしたいんだから、最低限の身だしなみは整えなくちゃダメ!!」


「とかいってー、魔王ちゃんはただただ可愛いお洋服が好きなだけでしょー?」


「まあ、それはそうだけど……」


 魔王ちゃんの回答に、サキュバスはにやりと笑う。


「ふふー! じゃあ今日は、私が魔王ちゃんに似合いそうな服を見繕ってしんぜようー!」


「あれ……? なんか話の方向がおかしなほうに進んでる気が……」


 サキュバスちゃんは魔王ちゃんの肩を持ち、そのままお店の奥の方へと入って行く。


「いいからいいからー! うふふ、魔王ちゃんを私好みに改造するぞー! おー!」


「なんか凄い格好させられそうで嫌だなぁ……」

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『Mephisto-Walzer』

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