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魔王ちゃん、今後の予定を立てる

 最初にキュピス諸島に降り立ってから二週間経った。


 最終防衛ラインのベーシックスライムは無事繁殖に成功し、箱に詰めて第一から第三防衛ラインにあたる各島へと運び込んだ。


 雷トカゲの繁殖も順調に進んでおり、このままのペースで行けば明日には最終防衛ラインから第三防衛ラインへと運び込むことも出来るだろう。


 雷トカゲが増えるまでの間、生態系については手を出す必要がなくなった。


 さて、生態系の下層が安定するまでの間、魔王ちゃんがするべきことは何か。


 それは情報収集である。


 前回勇者ちゃんに殺害された時に捨てられた人族の国王宛ての手紙……あの手紙にまつわる情報は未だ掴めていない。

 というか、情報収集については全面的にサキュバスちゃん任せであるため、その他の情報についてもあまり成果が得られていない。


 キュピス諸島とパルパ半島の地形についての情報は既に充分に得られている。

 ただ、人族の戦力や装備、動向についての情報は逐一追っておきたいところだ。


 いくら魔王ちゃんが人族との戦争を避けたいと思っていても、あちらがそうだとは言い切れない。

 というか、人族はほぼ100%魔王ちゃんに対する殺意を抱いている。


 人族が魔族を嫌悪し可能であれば滅ぼしたいと考えている以上、身の安全のためには最悪の事態への対策がいくらあっても足りないくらいだ。


 とはいえ、サキュバスちゃんがいないとなると情報収集も自らの足で行うより他に手段がない。


 頑張って聞き込みをしてもいいのだが、その時間で他にやれることがあると思うと重い腰が上がらない。


 とりあえず防衛ラインを敷いたとは言え、それは東側のパルパ半島からの攻撃に備えたものでしかなく、裏に回ってしまえばガバガバ防衛のがら空きもいいところ。


 現時点で防衛を前面に集中したのはキュピス海域の魔族が対艦船迎撃用に優れた機能を発揮するからであって、わざわざ人族が裏へと回る遠回りのルートを選ぶことはないだろうと想定した上での配置でしかない。


 こちらの手の内さえバレてしまえばこの防衛ラインも用を成さないわけだ。

 可能であれば背面の守りも固めたいとは思うのだが、前面すら整っていない今やるべきこととは思えない。

 下手に弄って訝しまれて、島に上陸されては魔王城の在り処がバレてしまう。

 焦って欲を掻いて悪手を取るのは避けたいところ。


 そういうわけで、前面の戦力が整うまで大掛かりな作業は出来ないわけだ。

 とりあえず一旦魔王城側の作業は置いておくとして、今やれることは小規模な作業に限られる。


 一日一体の魔族生成は、捕食を行わず繁殖もしない、生態系に一切の影響を及ぼさないゴーレム系統のみに限り、継続して行うつもりだ。

 魔力回収については食事と泳ぎで定期的に回収しつつ、残った時間で白のテリトリーを散策する。


 サキュバスちゃんが居てくれればやれることも増えるのだが、贅沢を言っていても仕方がない。


「そうだ! テリトリーの散策ついでに、サキュバスちゃんへのプレゼントを買おう! そうしたらサキュバスちゃんも私のこと許してくれるかも!!」


 傍らに控えていたゴーストは思う。


 物で釣ろうと考えるあたり、根本的な部分でサキュバスの気持ちとすれ違っていると。

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『Mephisto-Walzer』

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