第七話
「ヴィン様、誰ですかその女」
なぜ私は、嫉妬深い婚約者のようなことを、義理とはいえ父親に言っているのだろう。
「え?私の奥さん候補の方だよ」
リビングのソファに腰掛けるヴィン様はいつものようににこにこ笑っている。
今日は仕事はお休みの日であるし、それは別に良いのだが。
その隣に腰掛けているーー否、べったりともたれかかっている女が問題である。
「えーダーリン子どもいたの?ユカこんな大きい子のママとかやだぁ」などと吐かしているーー失礼、あまりの驚きについ言葉が汚くなってしまった。
人様を格好で判断したくはないが、胸元を曝け出したまるで娼婦のような服を着て、品のない言葉遣い。
私だって小姑みたいなことを言いたくはないがもう少しこう…あるでしょう!!!
ピキリと額に青筋が浮かぶ。
「ダーリンと結婚したらこのお屋敷ユカのものになるのー?」
「そうだよ」
「やったぁ!お金も好きに使っていいんでしょお?」
そんなわけあるか。
「帰ってください」
「まってアリア、ユカにもちゃんと良いところが…」
言い訳しようとするヴィン様をうるさいと一喝する。二人が私の勢いに身をすくめた。
「良いところ以前の問題です!貴方の奥様は、少なくとも男爵家の仕事や社交の出来る方ではないと務まりません!!!」
ダーリンは好きだけどお貴族様ってめんどいのねと言って、ユカさんは帰っていった。
どこで引っ掛けてきたのだ、本当に。
せめて貴族から選んでくださいとヴィン様に伝えると、分かったと返ってきたが本当にわかったのか。
真剣にお見合いの釣書を見て選んでいる姿を見て、安心したような胸が痛いような。
不思議な感覚に囚われながら、私はリビングの扉を閉めた。
痛くなった頭や胸を抑え、料理長にヴィン様の夕飯後のデザートは抜きでと伝えにいく。
試行錯誤した結果、この罰が一番効果的だったのだ。
しかしその後、隣国の王位継承権第二位の王女様、夫に先立たれた五十歳の未亡人などを連れてきたヴィン様に私は罰が甘かったと反省した。
確かに貴族…貴族以上ではあるけども!!!
そしてその次の休みの日、以前の反省を忘れて金目当てのバニーガールを連れてきた瞬間、私は書き置きを残して家出した。