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第一話

十二歳から三年通った学園の卒業式後の夜会。


「アリア!俺のリリイに行った、数々の嫌がらせやいじめにもう我慢ならん!リリイはもう卒業するのだから人前で言う必要はないと貴様を庇ったが、俺は黒いカラスを白と言う王になりたくなどない!貴様のような国母に相応しくない女とは、婚約を解消する!!!」


自分に酔ったように声高に叫ぶ婚約者。

その罵倒を聞きながら、私、アリア・ロトファールはただただ気持ち悪いと思った。


自分の思うことを思うように叫んで悦に入っている婚約者であった王太子殿下。

腰を抱かれ困ったような顔をしながらも、まんざらでもなさそうな男爵令嬢。

その二人に飛びかからないように肩を押さえている、冷たい目をした私の義弟。



三人とも、気持ち悪い。

というか「俺のリリイ」が一番無理、嫌悪。


王太子殿下も小さな頃から婚約者と言われ、男爵令嬢と出会うまではうまくやっていた。

身を切り裂くようなときめきはなかったけれど、大事だなと思っていた。彼の守るこの国を一緒に守りたいと、思っていた。


義弟だって、後妻であるお義母様の連れ子だったけれど、仲良くしているつもりだった。

彼女が現れるまで。

ふたりとも、彼女に何を言われたのか知らないが、私の話に聞き耳を持たなくなったのだ。


国の中核を担う者、個人に肩入れをするな。

勉学に励め。

王太子及びその側近としての仕事を忘れるな。


人として、婚約者として、姉として、当たり前のことを二人に注意していただけだ。


男爵令嬢へのいじめや嫌がらせなどは一切行なっていない。

二人の尻拭いをしつつ、王妃教育に励み、学園での勉強も疎かにせず、社交もしっかりとやっていた私のどこにそんな時間があるというのだ。


二人の主張には証拠がない。

反論しようと思えばできるだろう。


でも、もう彼らに何も届く気がしない。

ここまで何も対策をとれなかった、殿下の気持ちを止められなかった私が悪い。


「かしこまりました。王太子殿下」


淑女の礼をする。

礼儀にうるさい先生からだって百点を頂いたお辞儀に、王太子がぴたりと固まる。


「弁明は、ないのか」


先程までは聞く耳を持たないという素振りだったのに、私が騒がないと分かれば自分の慈悲深さをアピール。

その狡さは王としてはまぁ良いのではないでしょうか。

夫としては最悪ですけれど。


泣き喚くのを期待していましたか?

もうここまできたらそれをした方が逆効果ってこと、馬鹿でも分かりますもの。


「特にはないのでこのまま失礼したいのですが、殿下のお慈悲に感謝して一言だけ」

「…許す、申せ」



「賢明な王になられることを願っております」


私の婚約者だったのですもの、間違っても愚王だなんて歴史に名前を残さぬよう。


切に、お祈り申し上げます。




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