エンディング:その後のAランク冒険者
――それから一ヶ月後。俺たちはとあるダンジョンに挑んでいた。
「暗いな……」
普通、ダンジョンって言うとマナの力で明かりが灯っているものだが、ここは真っ暗だ。
俺はハァっとため息をついた。
「あのときみたいな状況ならともかく、超級ダンジョンにこんなメンバーで挑むことになるとはな」
パーティメンバーはあのときと変わらない。
オレ、アリッサベル、アルバコア。そしておまけのウェンズディ。
せめて冒険者を2人追加して、5人PTで挑みたいところだったのだが……
「誰のせいだと思ってるかしらっ!?!?」
俺の愚痴を聞いて、首を掴んでがくがくと揺さぶるは、例のごとく魔法少女装備のアリッサベル。ぐえー。
俺を秒速16回で振り回したかと思うと、ダンジョンの地面にぺたりと尻もちをついて、泣き出す。
「あーん、もう! わたしってば、なんであのとき誘いに乗っちゃったかしら!?」
「なんだよ、オレが悪いっていうのかよ!?」
「誰がどう考えても悪いかしら!?
ダンジョン・デストロイヤーなんて、妖精さんに睨まれるわ、パーティも避けられるわで散々かしら!?」
そう! あの『ダンジョン・デストロイヤー』という称号。
なんとパーティメンバー全てに付与されていたのである。
そんな称号がついた俺たちをパーティに入れてくれる人などいるわけもなく。
「うう……わたしもガチャ妖精界に戻れなくなっちゃったのです……」
ウェンズディがさめざめと泣く。
称号はウェンズディにも付与されたらしい。
おかげでこうやって着いてくる羽目になったというわけ。
一気に一億カキンされて、餓死は免れたっていうのに不憫なやつ。
「ぷーくすくす。まさにアンラッキーだな、お前」
「誰のせいだと思ってんですかぁっ!? くぬっ! くぬっ!!」
「ぐえー」
ちょっと前の『ナバルさん大好き』って言ってたあの可愛いウェンズディに戻ってほしい。
「はいはい。いいからさっさと進むわよ。
ダンジョンコアとかいうものを探さないと」
そんな俺たちのやり取りに呆れたように、アルバコアがスタスタとダンジョンを行く。
――このダンジョンの名前はハルベル超級ダンジョンという。
そう。
俺たちがぶっ壊したあのダンジョンである。
「そうね! 精霊王様じきじきにいただいた依頼なんだから、ちゃんとやるかしら!」
「はい! なんとしてでもこの不名誉な称号を返上せねばなりません!」
アリッサベルとウェンズディが気合を入れる。
いま俺たちここにいる理由。
それはこの国の精霊王様から依頼されたクエストにあった。
内容は『ハルベル超級ダンジョンを修復せよ』。
なんでもダンジョンには自己修復機能というものがあって、ハルベル超級ダンジョンは瀕死ではあるが、まだ完全に破壊されていないのだとか。
それで、湖のど真ん中に突き立ったマイハウス『アンドレアス・キャッスル』からダンジョンへ降りることができる俺達に依頼が来たのだった。
「よし。ここだな」
そうしてたどり着いたのは壊れたダンジョンの最奥。
そこにはホタルのように小さな光が輝いていた。
いわく、これがダンジョンコア。
ほとんどの冒険者が見たことのないレアな存在である。
「これに借りた聖杯に溜まった水をかけるだけでいいんだっけ?」
オレは借り受けたダンジョン復活用の聖杯(国宝)を取り出した。
舐めてみたくなるようなキレイな水が溜まっているが……
「ええ。精霊様の依頼だとそういう話だったかしら」
ここまで来るのは大変だったけど、やること自体は単純なのね。
じゃあ聖杯を取り出して、と――そのときだった!
「ふははは、そこまでだ!!」
声が聞こえたかと思うと、
ずどおおおおおん!!!
盛大な爆発が俺たちを襲った。
その爆発の威力に、健気に復活しようとしていたダンジョンコアは木っ端微塵子!
それどころか、借りた聖杯すら消し炭に!!
「ふぁああああああああ!!!!」
「なんじゃこりゃあああああ!!!」
見上げた先には一人の……女?
俺たちが怪訝な顔をしていると、その女は高笑いを上げた。
「おーっほっほ! 我が名はフィロア。
かの有名な魔女12使徒の一人にして最も黒魔法の扱いに優れし者!」
「……。誰?」
「ちょっと見たことないです」byウェンズディ
「わたしが知るわけないでしょ」byアルバコア。
アルバコアはもちろん知らない。ウェンズディもわからない。
だが、アリッサベルその名を聞いて盛大に驚く。
「ほあぁぁぁ!? 大魔王12使徒の『魔黒のフィロア』かしら!?」
「知っているのか、アリッサベル」
「ええ。大魔王12使徒……。文字の通り、この世の何処かにいるという大魔王の腹心中の腹心にして、ガチャで魔王血を当てた豪運の持ち主かしら!」
「ふははは! よく知っているな、そこのアホみたいな格好をした娘よ!」
「おおおぃぃぃ!? そんなもんをガチャの景品にしてんじゃねえ!!
ガチャで腹心を選ぶとか、それでいいのか大魔王!?」
「っていうか、アホって言わないでほしいかしら!?
だいたい、そのフィロアがいったいなんの用なのかしら!?」
「ふはは! 教えてやろう!
我が目的は『ダンジョン・デストロイヤー』!の回収
ダンジョン・デストロイヤーとはこの世の理に逆らいし、逆賊の称号。
かつて大魔王様が封印されたときに分かたれた力の源なのだ! 故に、所有者が現れたなら、魔族の全勢力を持って殺しにかかるのだ!」
「まじかよ……」
この要らんやつがそんな大層なものだったとは。
俺たちが絶句した理由を勘違いしたフィロアがさらに高笑いを上げる。
「ふははは。恐れよ! 震えよ!
我が至高の黒魔法の前に今度こそ消し炭になるがいい!」
フィロアは勝ち誇るが……。
「アルバコア」
「ええ」
修復スプレーをぷしゅー。
ぐぐぐとアルバコアが大きくなって、腕からバジバジと謎エネルギー。
狙いはもちろん大魔王12使徒。
「え?」
ぴちゅーん…………ギャー。
・
・
・
――今日、ここひとつの悪が滅んだ。
だがしかし、この世に悪の根がある限り、大魔王は滅びはしない。
具体的に言うと、魔王血とかいうやつ、またガチャにラインナップされるらしいし。
……こうして俺たちと大魔王の宿命の戦いは始まったのであった。
「――っていうか、おおい!?
この消し炭になった聖杯どうすんだこれぇ!? ここまで破壊されたら、修復スプレーでもさすがに無理だぞ!? こんなのバレたら――」
「どうなるの?」
アルバコアの問いに、ウェンズディは震えながら首を横に振った。
「ダンジョンを壊した上に聖杯まで壊したとなると……よくて死刑です。裁判なしでギロチンへレッツラゴーです」
「うひぃ……かしら」
俺たちは色んな意味で背中に冷や汗が流れるのを感じた。
ぜったいハルベルの街には帰れない。
じゃあ、どうするか?
「よし!」
そんなの、決まってる!
俺は絶望に顔を青ざめさせるみんなに手をパンと叩いた。
「逃げよう。どっか遠い国に行こう」
「異議なしなのです!」
「意義なしかしら!」
「意義なーっし!!!」
そんなわけで、俺たちはこっそりとダンジョンを抜け出し、遥か長い旅に出たのだった。
俺たちはまだ登り始めたばかりなんだからな。この果てしなく長いガチャ道をよ。
ということでこのお話はここで終了となります。
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