湖が割れてずごごごーって登場するやつ
「アーハッハッハ! さすがのお前たちもこの魔導ゴーレムには唖然とするしかないようでありますね!」
俺達が巨大魔導ゴーレムに唖然としていると、クスィフィアスは勝ち誇ったような嬌声をあげた。
だがしかし、このダンジョンの風物詩となりつつあるアバコビームを持ってすれば――
「チッ。フル装備ならともかく、今の状態であれを相手にするのはさすがにきついわね」
「なん……だと」
アルバコアのセリフに思わず愕然とする俺。
アバコビーム以外にあれに太刀打ちできそうな方法なんて持ち合わせてないんだけど!?
「アーハッハッハ!
そう! このゴーレムこそ魔導人形の判断力と魔導ゴーレムの力強さを掛け合わせた、我が祖国による最新式のゴーレムなのであります!!」
なるほど。
強力だけど繊細な魔導人形と、大ざっぱだけど頑丈な魔導ゴーレムのいいところどりをするために造られたってことか。
魔導ゴーレムの雄姿を見たアルバコアが髪をかきあげる。
「ふっ、このアルバコアの目を持ってしても、あんな物が残っているとは見抜けなかったわ」
「おおい!? 冷静に言ってる場合じゃないんだけどぉっ!?」
「アーッハッハッハ。
アルバコア! ここでは狭いので、外で決着をつけるであります!」
その言葉を聞いて、勝ち誇るクスィフィアス。
それと同時に。
ずずずず。
格納庫が振動に包まれる。
これは巨大魔導ゴーレムが起動する音と、そして。
ぱか。
格納庫の天井が割れた。
わー。お空がきれい!
たぶんあそこから、この巨大魔導ゴーレムが射出されるのだろう。
「……って、ちょっと待て。確かあのあたりって」
「湖の真下かしらー!?」
どどどどど。
開いた天井から凄まじい勢いで水が流れ込んでくるんだけど!?
「湖の大きさと深さから計算すると……余裕でここが水没するわね」
あのゴーレムよりもこっちのほうが遥かに危ないよ!?
っていうか、流れ落ちる水の先って……
「……あ」
「ああああ! 2000年分溜まりにたまった土砂と水が押し寄せてくるであります! へるぷ! へるぷみー! であります!」
ぐじゃ。
「ぶー!?」
2000ぶりに起動した決戦用魔導ゴーレム。
一歩も歩くことなく水没す。
「びゃああああ! 土砂が! 水が! 魔導操縦室にまで入り込んでくるであります!!」
土砂が降り注ぎ、さら泥水の追い打ち。
水流に合わせて巨大魔導ゴーレムの指がビクンビクンとしているのが物悲しい。
「なあ、やっぱり古代文明って……。研究者がアホだから滅んだのでは?」
「ふっ。どうやら現代人はロマンというものを解さないようね」
いや、ロマンで自爆しちゃいかんだろう。
「い、いや。まだ……まだであります! うおおおおお! 立て! 立つでありまああああっす!!」
なんかロボットアニメの最終回ばりに頑張り始める巨大魔導ゴーレム。
「お前はまだやれるであります!
リーサル・アルビオンは伊達じゃないであります!」
おお? なんか土砂の勢いにも負けずに頑張り始めたぞ。
うーん? パワー的には五分五分?
「立ち上がれ! 立ち上がれ! 立ち上がれ! アルビオおおおん!!!
古代文明の意地を! わたしたちに託された願いの重さを見せるのでありまああああっす!!!」
ピカぁっ!
アルビオンの真っ白だった表面に、何やら緑色の模様が浮かび上がる。
「おおお!? エネルギーゲインが3倍になり始めたであります!!」
ぐぐぐ。
リーサル・アルビオンが土砂を押し返しはじめる。
「頑張るかしら! あとちょっとかしら!」
「いけるぞ! そこで右手を……こう!」
「アルビオンさん、ファイトなのです!!」
巨大魔導ゴーレムの必死さに心打たれた俺達も応援し始めて、ようやく土砂から開放されようとした――そのときだった。
「あ、負荷がかかりすぎて、鹵獲されたとき用の自爆装置が起動しちゃったであります」
「「「え?」」」
『あと10秒……』
ピッ……ピッ….
Q.これってなんの音?
A.自爆装置のカウントダウンの音。
それを見たアルバコアが「あらまあ」と呑気に口を手で覆った。
「言っとくけど、あれが爆発したら――まあ、死ぬわね」
冷静に言ってる場合じゃねえ!?
『あと5秒』
ピッ……ピッ……
秒読みが進むごとに、外から見てもはっきりわかる。魔導力の暴走がアルビオンの全身に巡り始める。
あ、これ確実に死ぬやつ。
「なんて言ってる場合じゃねえ!!!
に、にげろおおおお!!!」
――ズゥゥゥウン。
ダンジョンの奥で大爆発の音が響いた。




